EX 元魔王とハロウィン?
せっかくのハロウィンなのでこんな話を一つ
「うう、さみぃ」
「カタカタ」
すっかり寒くなってきた今日この頃。
俺は朝から布団から離れられず二度寝の体勢に入っていた。
「んじゃアロマ、あったかくなったら起こしてくれ」
「カタ?」
マジで離れられん。
つい最近まで暑かったってのになぁ
ドンドン!
「カタ」
「おいおい、朝からなんだよ……」
「ゲルオさん! 起きてますよね!」
どうやら本田がドアを叩いてるようだ。
「ったく、起きてるけどこれから寝るよ」
「じゃあ起きてるんですよね? 失礼しまーす!」
「お、おい!?」
バンっ!
「じゃーん! トリックオアトリート!!」
「と、とりーと……」
「鳥とお菓子取りトぉオでしヨ!」
「……なんだその格好は」
こっちの許可なく開けたと思ったら、何故かネコミミを生やした本田と包帯だらけのヴォルに……エロい恰好したポミアンがそこにはいた。
「ふっふっふ! 今日はハロウィンですよゲルオさん!」
「はろうぃん? なんだそりゃ?」
「ゲルオ様! ヘナ格好しタラお菓子が貰えマシ日なんでシヨ!!」
「変な格好ねぇ」
なんじゃそりゃ?
俺はやたら露出度の高い恰好のポミアンへ目を向ける。
「ち、違いますわ! ワタクシはその、嫌だといったのですけどあのエルフが暴走して……」
「ああ、見ないと思ったら。てか俺も貰えるのか?」
「え? ゲルオさん何言ってるんです」
おい、何だよその真顔は。
「ゲルオ様も変態して楽しみマシよぉお!」
「変態でなく変装ですわよ! へ、ん、そ、う!」
「変装って何に変装するんだよ」
「本田曰く魔族やアンデットらしいのですけど……」
「いや、ポミアンは元々魔族だしヴォルはアンデットだろ?」
「違いますよ? ポミアンさんはサキュバスでヴォル君はミイラ男にコスプレしてもらってるんですよ! あ、因みにあたしは猫娘ですにゃん!」
いや、お前はネコミミ付けただけだろ。
それに猫獣人は魔族じゃねえじゃん。
「で、何の用なの?」
正直そんな恰好見せられてお菓子くれとかイミフなんだけど?
「どうやらヒロの世界ではこの日は別の種族に成りきって一日過ごすらしいのよ。でしょ? ヒロ?」
今度は後ろからブタの鼻を付けたエルフがやってきた。
お前はそれでいいのか……
「あ、まぁそんな感じの日だよ、うん」
ウソだな。
「よそは他所、うちは家だ。オレは関知しないから勝手にやってろよ」
フニフニ
ん? この可愛い足音は……
「ゲルオさん、一緒に楽しまないですか?」
「おおう、ミズモ……なのか?」
そこには上目遣いでこっちを見るカボチャを被ったミズモがいた。
「ハロウィーンパーティーをギルド主催でやるそうだぞ」
「あん? おお、ボン!」
ボンはオールバックで黒いマントをしていた。
ち、イケメンが……
「てかパーティーがあるのか?」
「ああ、但し変装するのが参加条件らしいがな。僕もそれで吸血族の格好をしいるのさ! どうだゲルオ、良い服だろコレは」
「あ、ああ」
「うわあ、ボンさんこれってあのアルマニンのモノですか!」
「お、流石リリアだね。そうなんだコレは――」
どうやらエルフとボンが何時もの服談義を始めちまったみたいだ。
「ミズモ、お前も行くのか?」
「はい! 今日はボクが作ったカボチャを使った料理がいっぱい出るんですよ!」
「へぇえ、そりゃいいな!」
ミズモが丹精込めて作ったカボチャかぁ
「しかもタダでし! タダなんでシヨ!!」
「お、おう」
ヴォル、すっかり貧乏性に……
「じゃあアロマと俺も変装していくかね」
「カタ!」
「開始は九時からですからね!」
「はええな」
「ああ、夜のですよ」
「早えよ! なんでもう変装してんだよ!?」
「だってせっかくなら一日中変わったことしたいじゃないですかぁ」
たく、ガキかよお前は……
他の奴らも楽しそうにして全く……
…………
「……で、俺は何に変装したらいいかな?」
「ゲルオさん、ちょっとウキウキしてません?」
「し、してないよ? ただほら? パーティーに俺も参加したいなって思ってな?」
「もう、隠すの下手ですねぇ」
うるせぇえなぁ、変身願望がちょっと湧いてきちゃったんだよ。
「で、俺は――」
「もちろん一択デシネ!」
「あ、ちょ、ヴォル君!」
「へ?」
ぐぐぅ……か、体が!?
「やっぱゲルオ様はこの恰好に変態するのが一番デシよ」
「ぐ、ぐぐぐ……ヴォル、いやヴォルデマール!」
「アい!」
「い、今すぐ元に戻せ! 性懲りもなくテメェはぁああ!」
「に、にひゃあああああん!」
くそ、また俺を女にしやがって……
――――
――
――「闇の囁き亭」
「はあ、結局この恰好で参加する事になるなんてな……」
「似合ってますよゲルオさん! ね、ヴォル君!」
「アい!」
「くぅう!」
俺はあの後何だかんだと女のままで過ごす事になり、そのまま変装したことにしてパーティーに行くことにした。
「カタ」
「そういやアロマはこのままでいいのか」
まあ、一応ハロウィン使用のメイド服を着てはいるんだけど……
「カタ?」
正直ふだんと変わらん。
「アロマさんはそのままでもハロウィンぽいですからね。いいんです」
「そっか」
「あら? もしかしてゲルオ?」
「うん? おお、ロッテって……」
ギルドに入るとそこには頭に矢が刺さったロッテがいた。
「うん? どうしました?」
「いや、それも変装にはいるのか?」
「はい、ゾンビの格好ですよ」
「そう」
よく見るとギルド職員はみんな服に血がついてたり剣や槍が刺さってたりしていた。
「楽な格好だな」
「実は一人本物のゾンビの方がいるんですけどね」
「え?」
「ウソですよウソ」
「そ、そうだよな」
「ええ」
うん、目は笑ってないけど信じよう。
「で、合格か?」
「はい、ご参加ありがとうございます。こちらの名簿に書いて貰ったらお好きなように」
「おう」
「カタ」
「それにしても凄いいっぱいいるな」
「みーんないつもと違う格好で面白いですね!」
「だな……」
本田は楽しそうにしているが正直アンデットの群れに突っ込んだ気分なんだけど……
「んじゃ、各自好きなように行動でいいか?」
「ええー! みんなで一緒に行動しましょうよ!」
「いや、俺としては飯食ったら帰りたいんだが」
「わ、ワタクシもゲルオに賛成ですわ!」
うん、ポミアンはかなり目に毒な格好でちょっとかわいそうだもんな。
「ホントあなた達は社交性皆無ですね」
うっせ。
「じゃあ私は――」
「ひ、ヒロちゃん!」
「げっ」
あら? リョウタか?
どうやら犬人族の変装をしているみたいだな。
「やっぱヒロちゃんも来てたんだね!」
「ええっとあたしに犬耳生やした知り合いとかいないんで人違いです」
「え、あのヒロちゃん?」
「ささ、リリアいきましょ」
「え、ええ」
「ヒロちゃーん」
あわれだなリョウタ……強く生きろよ。
あと、マジにその女はやめとけ? な?
「カタ」
「ん? ああ俺らも行くか」
「デシねぇにひひ!」
「うう、早く帰りたいですわ」
さて、何を食べよっかなぁ
なんて物色してたら、
「ああ! 見てみてお母さん!」
「うん? どうしたのマコちゃん」
「あのお姉ちゃんの骸骨のコスプレ可愛いし本物みたーい!」
「ええ、そうね」
「カタ?」
なんかどっかで見た事あるような母娘だなぁ
「ねえお姉ちゃん! トリックオアトリート!」
「カタ」
「わぁあ! ありがと!」
アロマは持っていたお菓子を女の子に渡したようだ。
「良かったわねマコちゃん」
「うん! そうだ、お姉ちゃんにもはい!」
「カタカタ」
「じゃあねえ!」
母娘はぺこりと頭を下げて去っていった。
「……良かったなアロマ」
「カタカタですね」
「え……アロマお前いま一瞬……人に……」
「カタ?」
「……いや、なんでもない。さ、折角だから楽しもうぜアロマ!」
「カタ!」
異世界人の奇行な祭りもたまにはいいもんかもな。




