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41話 元魔王、配下とコミュニケーションする


「えっと序列3の魔王『変換』のヴォルデマールいいマシ! これからよろしくお願いしマシです! にひひ!」


「魔王だが俺の忠実な配下として此処に住むことになったから宜しくな」


 取り敢えずポミアンの同意もとれた俺はさっそく帰ってきたエルフと本田にヴォルデマールを紹介した。


「え? 何それこわい」


「んん? 魔王なんですか?」


「ああ、だが俺の言う事はちゃんと聞くからな! 大丈夫だ!!」


「アい!」


「んじゃ、以上! 解散で」


 さて、疲れた事だし風呂入ってさっさと寝ますかね。


「ちょっと待ってくださいゲルオさん!」


「あん? なんだよエルフ」


「いやいや! 説明が無さ過ぎでしょ!」


「えっとじゃあ……俺とポミアンでコイツを倒したら仲間になった」


 うん、大体あってるよな。


「だよなポミアン?」


「まあ、要所だけ言えばそんな感じかしら。あ、あとはゲルオの古い知り合いらしいわ」


「へえ、ゲルオさんの知り合いですか……なんか変な人ですね」


「あっとそうだった! コイツこう見えてド変態だから女子は気を付けるように!」


「にひゃ!? ボクは変態じゃないでシヨぉお! ゲルオ様にだけデシ!!」


 なお悪いわ!


「で、でも魔王ヴォルデマールといえば狂乱にして災害! 決して触れてはならない最恐の魔王なんですよ!」


「え、そうなのリリア?」


「人族の街を丸ごと生ける血肉にした狂った魔王なのよヒロ」


「うわあ、どん引きだねぇ」


「まあ、それだって昔の事だ。今現在のコイツは会話だって通じるしそんな悪い奴でもないからな。だよなヴォルデマール?」


「アい! ボクはゲルオ様の言う事なら何でも聞きマシです! だからもう人型を喰ったり街一つを変換したりは命令されない限りシナイです!」


「という事だ」


 うん、人喰ってたんだ……

 しっかり手綱は握ってないとな。


「でもそれってゲルオさんの言う事しか聞かないって事じゃ……」


「ふ、不安すぎる……」


「不安な気持ちもわかるのですけどワタクシとアロマさん、それにゲルオがいれば難なくコイツを無効化できますから。ま、危害を加えるものがどうなろうと知ったこっちゃないですが」


「ヴォルデマールちゃん! あたしはヒロっていいます仲良くしようね!」


「あ! ヒロ! わ、私はリリアよ、仲良くしましょうね!」


 調子いいなこいつ等……


「アい? ゲルオ様この二人は仲間何でしか?」


「ああ」


「にひひ! ゲルオ様のお仲間なら仲良くしるデシよ! あと、ボクは中身は男デシからちゃんは恥ずかしいデシ……」


「えっ!? そうなの?」


「ああ、聞いたところコイツは自分に変換使って男にも女にもなれるそうでな。普段は女に変態しているが元々は男らしい」


「……じゃ、じゃあヴォルデマール君よろしくね!」


「アい! ヒロよろしくデシ!」


「まあ、仲間と思えば心強いか……よろしくねヴォルデマール君」


「アい! エルフよろしくデス!」


「……なんで魔王って私の事名前で呼んでくれないんだろう」


 そりゃリリアよりエルフの方がしっくりくるんだもんお前。


「あ、ゲルオさん早速問題が発生しましたぁ!」


「問題?」


 本田がいうと嫌な予感しかしないんだけど……


「お風呂ですよお風呂! ヴォルデマール君って体は女、心は男でしょ?」


「ああ、確かにな。だったら風呂ん時だけ男になればいいんじゃね? それでいいかヴォルデマール?」


「え、それは嫌デシ」


「おい」


「まったく言う事聞いてないじゃないですか!」


「所詮はゲルオさんって事ですかねぇ」


 ああ、なんか俺への信頼度も急降下してる!


「ヴォルデマール、お前わがまま言うんじゃねえよ!」


「こ、これだけは嫌デシ! 男の体とかマジでキモイでシヨ!」


「風呂に入れてやんねぇぞ!」


「ゲ、ゲルオ様だって体が女の方が良かったて思ってタデシよね? 男とか臭くてきもいだけでシヨぉお!」


「うう、お、思ってねぇえよ! これっぽちも!」


 まあ、ちょっとはね? うん、興味ぐらいは出ちまったけど。


「うわぁゲルオさんマジキモイ」


「ていうかあの人一度は女に体を変えたって事?」


 本田、俺泣きそうだからその顔やめろ。そんな目で見るんじゃねえ……


「大体なヴォルデマール、俺の使ってる風呂はドラム缶風呂でな、その体の……」


 ん? そういやコイツの力使えば……


「どうしましたゲルオさん? 俯いちゃって……」


「……」


「あ、あの言い過ぎましたごめんなさい。その……」


「うん? ああ、大丈夫だ気にしてるけど。それよりいい考えが浮かんだわ」


「あ……もう!」


 なんだ本田の奴?


「それよりいい考えって?」


「ああ、ちょっちついてきてくれ」


 うん、流石俺だなこれなら!



――――

――


「ゲルオさんのドラム缶風呂まで来ましたけど」


「あ、ゲルオもしかして」


「ああ、ポミアンは察したか」


「え? 何がです?」


「ヴォルデマールはな、しりとり変換ってのが出来てな」


「へぇえ」


「んでだ、ヴォルデマールいいか」


「アい」


「露天風呂って知ってるか?」


「ろてんぶろ? アい! 昔に聞きまシタデスね!」


 お、おお。昔に話してたんだな俺。


「じゃあ後はわかるな?」


「アい!」


 応えるとヴォルデマールはドラム缶風呂へ近づいて行く。


「ヴォルデマール! 一応もうちっと離れて……そう、そこら辺でやってくれ!」


「ココでしかね! いきマシよ、ドラム缶風呂でロだからロテンブロ!」


 そういった瞬間ドラム缶は崩れ、ヴォルデマールを中心に勝手に土が抉れて気が付けば岩でできた立派な露天風呂が出来上がっていた。しかも既にお湯も満タンだ!


「うぉおお! すげぇえぞヴォルデマール!」


バシャン!!


「にひゃああ! あ、熱いデシ!」


 湯気で見えんがどうやらそのまま風呂に突っ込んだようだ。


「へぇえ、こういう使い方もあるのね」


「……わぁああ! 凄いですねゲルオさん!」


「スンスン。うーん、温泉にはならなかったみたいだが」


 ま、それは流石に贅沢か。


「温泉はンがついてしまうからかしら?」


 あ、なるほどね。


「おーいヴォルデマール! 大丈夫かぁあ!」


「アーい! 最初は熱かったデシけどダンダンと気持ちよくなってきたデシよぉ」


 うう、俺も入りたくなって来たな。


「んじゃ、風呂問題は解決って事で!」


 仕切りやらなんやらは今度ポミアンに集めて貰ったり、それをミズモが分裂したり、まあ俺が伸ばしたりすりゃあいいか。


「あ、あのぉゲルオさん」


「ん、なんだ本田」


「あたしはそのぉ日本人という種族でしてぇ」


「あ、ああ」


 異世界人にも種族ってあったんだな。


「日本人ってお風呂好きなんですよぉ」


「それで?」


「たまには使わせてもらえないかなぁなんて……」


 そういう本田は何処かしょんぼりしている。

 露天風呂を見る目は懐かしい物を見る様なまなざしだった。


「ううむ……」


「ダメですか……」


 ああ、そういやこの文化は異世界人のモノだったか……


「しゃあねえな。そもそも此処はポミアンの庭だしな、俺に権限はねえよ」


「あ……」


「ワタクシは外とか嫌ですけど、たまには交代でもいんじゃないかしら」


「という訳だ」


「はい! やったぁあ! リリア、今度一緒に入ろうね!」


「う、うん」


「んじゃ、早速俺も入るからお前ら散れちれっ!」


「ぶぅう! ゲルオさん、ヴォルデマール君のこと体が女だからって襲っちゃだめですよ!」


「誰が襲うかよ!!」


 背筋がゾッとして鳥肌立ったぞ!


「カタ」


「うん? アロマも行っていいぞ」


「カタカタ」


「はあ、心配性だなぁ」


「カタ」


 ま、コイツとは付き合いも長いしいいか。


「ゲルオ、わかっているわよね?」


 ポミアンにまで念を押される。


「大丈夫だって。流石にあんな変態を――」


「そうじゃなくて。あっちが襲ってくる場合もあるでしょ?」


「あ……」


 そ、そうだった……


「ぽ、ポミアン。一応お前も居てくれ!」


「い、嫌ですわよ! どうしてワタクシがあ、あな、貴方の裸なんか……」


「くぅうっ! あ、アロマ!」


「カタ?」


「絶対ここに居てくれよ! 何かあったら大声出すから!」


「カタっ!」


「ゲルオしゃま~、お風呂気持ちいデシよぉ~」


「ちくせう、せっかくの露天風呂なのにぃ」


 これじゃあゆっくり浸かることが出来ないかもしれん……


 取り敢えずアロマに着替えを取ってきてもらってから絶対に此処を離れないよう念押しして入ることにした。



――――

――


ちゃぷん……


「はぁあああぁぁ」


 気持ちイイなぁ……


サァアアア


カラカラカラ


 外はもうすっかり秋めいてきたせいか、湯で火照った頬に冷たい風が当たりそれがまた心地いい。


 風の音とそれに吹かれた落ち葉の音がまた風情を感じさせる。


 ポミアンに集めて貰った提灯がまたいっそう心を落ち着かせてくれる雰囲気を作っていた……


「ここ最近の疲れがぶわっとでてきて……染み出るみたいだなぁ」


「……ゲルオ様」


「ん? なんだ」


「幸せデシねぇ~」


「ああ、そうだな」


 こういうのが良いんだよなぁ……


「ヴォルデマール……」


「なんでしか?」


「わりいな」


「??」


「お前の事を覚えて無くて」


「……いいデシよ、しょうがないデシ」


「なあ、なんでもっと早く会いに来なかったんだ?」


 俺は千年間もあの城に居たからな。

 百年前より昔は自由だったろうしなんでだ?


「……ボクは頑張り過ぎマシた。アンデットとして蘇って、記憶を戻すのに気付けば魔王になってました」


「魔王になってって、ああ!」


 そっか……


「にひひ、魔王がよその魔王に会うなんて一昔前なら戦争でシヨ? ゲルオ様に会いに行くわけにはいかなかったデシね」


 そりゃそうだな。俺だってそういういざこざが嫌で引き籠っていた部分もあったしな。


「だから、今回はチャンスだったデシよ。最後のチャンスだと思ったデシ……」


「そっか……」


「そうデシ」


 …………


 ……


「ヴォルデマールって長いからよ、ヴォルって呼んでいいか?」


「っ!?」


「ダメか?」


「……あ……」


 そう尋ねるとヴォルデマールは俯いてしまった。


「あ、その、なんかマズかったか?」


「ち、違いマシ……」


「ん? あ、お前……」


 ヴォルデマールの俯いた先の水面には、いくつかの波紋が広がっていた。


「違いマシです……もう、誰もそな、そな風に呼ぶ人いなかた、デシからぁあ」


「そうか」


「あぁあああん! うれしいデシよぉおおん!」


 えっと、正直こんな泣かれると対応に困るんだけど……


「うわぁああああああん!」


「ま、風呂だしな。このままでいいか」


 近所迷惑かもしれんが、今日ぐらいは勘弁してやってくれ。


 俺はヴォルが泣き止むまでゆっくりとお湯に浸かるのだった……



――――

――


「う、ううう」


「このバカ! なんでこんな時間まで浸かってたの!!」


「ぽ、ポミアンか?」


「そうよ、ホントに大丈夫?」


「う、ううヴォルがアンデットなの……忘れ……」


「カタカタ!!」


「ご、御免なさいデシ! ゲルオ様ぁああ!」


 千年間分の涙にアンデットの体は生きてる俺にとっては長すぎました……




お読みいただきありがとうございます!<(_ _)>

感想は一言から幅広く受け付けておりますのでお気軽にどうぞ!(/ω\)

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