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32話 元魔王、久々に働く


ジュウゥウウ!


 なんだ……起きたら香ばしいベーコンの匂いがするぅ……


 俺はその匂いにつられるように食堂へと向かった。


「はようぅアロマぁ」


「カタカタ!」


「おおう、今日はベーコンエッグかな?」


「カタ」


 そう応えながら卵を次々と器用に落としていく。


ジュゥウウウウゥゥ


 ん~ん、いいね!


「お、おはよう。ゲ、ゲルオ」


「ん、ポミア……誰?」


 ポミアンの声がした方を向くと、其処には美人だけど何処か可愛さもある女性が座っていた。


「ワタクシよ! 昨日見ているでしょうに!」


「あ、ああ。ポミアンか」


 あの以上に長い前髪を、バサーっと足元まで下していたイメージが強すぎてな……


 マジで誰かと思ったぜ?


「ふん! まったく」


「カタ?」


「ああ、アロマありがとな」


「カタカタ」


「あ、ありがとうアロマさん」


 机には輪切りにしたパンと大きなベーコンエッグが用意された。


「んじゃ、いただきます」


「カタっ」


「いただきますわ」


 はふぅ……うーん、うまい!


 まあ、それ以外ないな! この美味さを表現するとしたら!


「ひょういや、んん、本田とエルフは?」


「あの二人ならもうギルドへ行ったわ。何でも、いい依頼があるんだって」


「へぇえ、ミズモは今日も農場だっけか」


「ええ、子牛が生まれるとかで忙しいらしいわ」


「そっか」


「まあ、ワタクシ達が朝遅かったってのもあるでしょうけどね」


 確かに、見ればもう10時になりそうなとこを指していた。


「そうだな」


「ええ……」


 それにしても、本田達がいないと結構静かなもんだな……


「うん、あむ」 


「はむ……」


カチャカチャ……


「カタ?」


「んん」


チラッ


「……」


 え? なにこの空気?


チラ


「ん?」


「ん、んん!」


 なんかさっきからポミアンがチラチラこっち見てはソワソワしてんだけど?


「ゲルオ!」


「おわっ!? な、なんだよ?」


 いきなり大声出すなよな?


「きょ、今日から確かギルドで働けるのよね?」


「ああ、謹慎は昨日までだな」


「そ、そうなのね」


「ああ、働きたくねえなぁ」


 ずっと休みだったから尚更ね。

 わかるかなぁこの気持ち、休めば休むほど何故か働く気がなくなる。


「えっ!? 行かないの?」


「いや、アロマがな……」


「カタッ!!」


「て訳で二人で行くことになってる」


 昨日さんざん行こう行こうってカタカタしてなぁ


「カタカタ」


「ふ、ふたりで……なのね……」


 あら? なんかポミアンの奴ますますソワソワしてんだけど……


 ああ! もしかして!


「おい、ポミアン?」


「な、何よ」


「一緒に行くか?」


「っ!?」


 そういうとポミアンはパーって音が顔から出る様な笑顔をしてから、


「あっ! ううん! まあ、ゲルオがどうしてもっていうならついて行ってあげるのも考えなくもなくなくないわ!」


 それってあるのかないのかどっちだよ!?


「……じゃ、いくかアロマ。ちょっと着替えてくるな!」


「カタ!」


 俺はポミアンに返事をせず、そそくさと食堂を出ることにした。


 さて、今日からアロマと二人で頑張りますかね!


「あ、ちょ、まって! 行くから! 行きますから!」



――――

――


――「闇の囁き亭」


 ふはは! 帰って来たぞ俺は!

 さて、先ずは一直線にいつものとこだな!


 ……別に他の人に対して人見知りしている訳じゃないよ?


 ホントだよ?


「よおロッテ」


「久しぶりね無職」


「おい、ここで働いてるだろが一応っ!」


「二週間は無職だったでしょうに。で、なんの御用でしょうか?」


 ああ言えばこう言いいやがって!


 ……く、大人になるんだ俺。


「仕事くれ。できれば簡単で稼げる奴」


「バカなの? Eランクのくせに」


 相変わらず口悪いなぁ


 だがな、


「おっと! 今日は俺だけじゃないんだぜ!」


 そういって俺の後ろにいたポミアンを前に出す。


「ちょ、何するのよ!」


「わわ、ポミアン様来ていたんですね! 声を聞くまでわかりませんでしたよ!」


「え、ええ」


 まあ、いつもあの全身を覆う黒髪形態だったしな。


「ポミアンをリーダーにしてくれりゃ、俺のランク関係なしで良いのがあんだろ?」


「カタカタ」


「はあ、そういう知恵が回るの何とかなりません?」


「無理だな」


「カタ」


「無理でしょうね」


 というか悪い事じゃねえだろうが、なあ?


「で、ワタクシにふさわしそうなクエストはどうなのかしら?」


 おお、ポミアンの奴ちゃんと言えてるじゃないか。

 ただ、前と違って目が泳いでるのがガッツリ見えてしまってるが……


「あ、ああ、はい。えっとですね、現在でしたらSランクがひとつとAとBが二つほどありますが……」


「そ、そうなの……」


チラッ


 俺をいちいち見るなよ……仕方ねえな。


「そんな高ランクなの割に合わん。Cとかでサクッと終われてボロっと稼げるのないのかよ?」


「そ、そうね! ゲルオのいうようなのはないかしら?」


「ううん、あんまり高ランクの方が受けるのは好ましくないんですがね……」


「そこをなんとかできない?」


 おお! いいぞポミアン、頑張れ!


 正直俺が言ってもコイツは全く聞く耳持たないからな。


「まあ、今回だけですよ」


「ええ、ありがとうね」


 よっしゃあああ!


「カタ!」


「へい!」


パチっ!


 ついアロマとハイタッチしてしまった。


「あ、ワタクシも……」


「……ナイスだ! ポミアン!」


「当然よ!」


ペチっ


「カタカタ!」


「へ、へい!」


パチッ!


「何やってんですかねあなた達は……」


 絆をたしかめ合ってたんだよ!


「では、Cランククエストの害獣討伐なんて如何ですか? 一体500Gで比較的狩りやすいモンスターなのでおススメですよ」


「と、討伐かぁ」


「他にはないのかしら?」


「うーん、後はかなりAよりのBランク火竜討伐と、何故かS並のCランククエストだけですね」


「なんか少ないな」


 というか、なんだよそのCランククエスト……詐欺じゃねえか。


「いや、あなたたち昼近くに来ておいてそれはないでしょ?」


「そうなの? あまり利用したことないから知らなかったわ」


「これだから元魔王は……」


 なんかロッテがブツブツいってるが、


「それなら最初のCランクの害獣討伐でいいんじゃないか?」


「そうね。ワタクシとゲルオの能力ならそうそう危険な事にもならないだろうし」


 安全マージンも考えて妥当なラインだろうしな!


「それにアロマもいるし!」


「カタカタ!」


 考えてみればポミアンの能力はかなりえげつないうえ、アロマは疲れ知らずで凄い頑丈だ。

 俺は……まあ、イケてる方とは思うしな!


 あれ? もしかして凄くないかこのパーティって?


「ではCランククエスト害獣指定『魔獣:ラピットベアクマァ』の討伐頑張ってくださいね!」


「おう!」


「カタ!」


「ま、任せなさい!」


 ……ん? なんかすごい怖い名前の害獣だった気がするんだが?


「さあ! 場所は近くの山間部ね。ゲルオ行くわよ!」


「あ、ああ」


「カタカタ」


 まあ、なんとかなるっしょ!



――――

――


「なあ? 何とかなるのか?」


「は、はぁあ、ゲルオ」


「なんだ?」


「いいから今は走りなさい!!」


「わかってるよ!!」


『グギャァアアガアアアアアア!!』


「カタカタ!」


 ロッテのやろう……!


「確かに見た目によらず狩りやすいモンスターだったよ!」


 そう、山間部ですぐに魔獣『ラピットベアクマァ』を見つけてサクッと倒せはした。

 

 したけどよ!


『ガァアアアアアアアアア!!』


 その吠えにビビッて後ろを振り返れば、其処にはもう数えきれないほどの数の魔獣がひしめき合って追っかけてきていた――


「多すぎんだろうがぁあああああ!!」


 しかも吠える度にどこからともなく奴らはやってきやがるし!

 これ、こっちが実はSランク並とかのほうじゃないよね?


『ガァアアアギャアアアアア!!』


「ま、また増えましたわ!!」


「カ、カタカタ!」


「いやいやいや! 絶対Cランクじゃねえだろコレ!!」


 あいつやっぱり間違えて渡しただろう!!


 くそ、生き残ってやる! 絶対生き残ってやるからな!!


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