表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/73

3話 元魔王、はじめてのお仕事


 冒険者ギルドではSSSからEの八段階でクエストの難易度と、冒険者の力量を分けているそうだ。


 そんな中での最低ランクEのクエスト。


 それは基本子供のお使い並の物が多く、大抵の冒険者はここをすっ飛ばしてDランクから始めるそうだ。


 つまり何が言いたいかというと、


「なんで俺がガキと一緒に公園の掃除なぞやらねばならんのだ!!」


「うるちゃいわよゲルオ、こっちはちゃんとギルドにちゃのんでいゆんだからしゃんとしてよね」


「ぐぐぅう」


「カタカタ」


「アロマしゃんはさしゅがでしゅね!」


「カタカタ!」


 くそっ! 大体公園なんぞどっかの誰かに任せればいいだろうに! なんでわざわざ冒険者ギルドになんぞ依頼をだしたんだよ!


「ゲルオ、ちゃんとやらないとほうしゅうはアロマしゃんにぜんぶわちゃすからね!」


「はいはい! 任せておけガキ! 元魔王の真の力を見せてやる!」


 みよ! これこそが我が力『伸縮』!!


「おおー! しゅごーい!!」


「カタカタ!!」


 ふふふ、俺の伸縮はあらゆるものを多分伸び縮みできる力!


 だからこんな風に公園の溜まっていたゴミなんかもホラこの通り!


「手のひらサイズまで縮ませることが出来るのだ!!」


「こえでおおきいゴミもかいしゅうできましゅね!」


「ああ、後は何処にあるんだガキ?」


「むうう、ガキじゃないでしゅ! ガッキってなまえでしゅ!!」


 あんまかわらないじゃないか……


「カタカタカタ!」


 ん? なんかアロマが慌てているんだがどうした?


「ああ! これはしゅごいゴミでしゅよ!!」


「ああん!?なんだとガキがぁあ!」


「ばっ! お前何言ってんだよ!!」


 そのガッキが指さしてゴミといったのは明らかにヤバイ雰囲気のおっさんだった。


「す、すいませんでした!」


「おいおい、謝られてもなんも意味なんかないんだよ!」


「こ、こどもにょ言った事にゃんだ、か、勘弁してくださいよ」


「あんた保護者だろ? どういう躾してんだよ、ああん!」


 くそっ! どうして俺が因縁つけられてるんだよ! こうなったら、


「誠にすいませんでした!!」


 どうだこの土下座は!


「あのなぁ? 土下座で済まされるとおもってんのかよ?」


「え、えええ」


 マジか!? 土下座無効化しやがったよコイツ!


「そんなんで気は収まんねぇんだよ!!」


ボフ!


「ごヴぉ!」


 いてぇえ! こいつ何しやがんだよ! マジ痛いんだが……


「げ、ゲルオ! このゴミがなにしやがるんでしゅか!!」


 そういってガッキが俺の前にでやがった。


「だ、だめだガッキ前にでちゃ――」


「そもそもテメェが俺をゴミ扱いしやがるからだろうがよぉお!!」


 くそっ! このままじゃガッキが、


「ほんとにゴミねあんた」


ボゴン!!


「ヴぉうぇええええ!!」


ズシン!


 もの凄い音とともに相手の男が口から色々吐きながら後ろに倒れてしまった。ていうか、


「ぅゎ、ょぅ|゛ょっょぃ」


「?? ゲルオいまのどうハツオンしたんでしゅか?」


「いや、気にするな。というかガッキ強かったんだな」


「そんなことはどうでもいいから、こいつをちぢませるでしゅ」


「え? いやその人体に向けた事なんてないんだけど……」


「べつにゴミだからかまわないでしゅよ?」


 こわい、ほんと子供って怖いとおもった。


――――

――


 結局大きなゴミはそこらに放置して、俺達は夕方ごろに漸く掃除を終わらせられた。


「よくがんばったでしゅゲルオ! アロマしゃんもありがとうございました!」


「ふん! この元魔王の伸縮のゲルオにとっては簡単すぎたな!」


「カタカタ」


 まぁあ、たまにはこういう綺麗にするというのも悪くはないな!


「ではこれがほうしゅうのぶつでしゅ!」


「おお! なんだ! 100万Gとかか?」


「んなわけないでしゅ、ゲルオはもっとせけんいっぱんをしるでしゅ」


「くっ……」


 そういってガッキが渡してきたのは……


「はい! がんばったごほうびのあめしゃんでしゅ!!」


「あ、あめ……」


「アロマしゃんもどうぞ!」


「カタカタ!」


「それじゃあまたあったらおねがいしましゅ! バイバーイ!!」


 俺があまりの事態に呆けているうちにガッキは目にも止まらぬ速さで去ってしまった。


「……あめ、たべるか」


 半日の労働で飴一個とはね。


「カタカタ」


 アロマが何かをいっている。


「ああ、まあ確かに野宿するには綺麗な公園にはなったのかな」


 俺はガッキから貰った飴を口に放り込んで、感じのいい芝生にねっころがるのだった。


「あ! くぉの飴めっちゃふぅめぇえ!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ