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25話 元魔王、バランス考えろと思う


 久しぶりの『巨獣の魔窟』でのクエスト。

 とはいっても一回しか行った事ないんだけどなぁ


 取り敢えず今回は目の前にいるえっと、18人の勇者と共に行くのかな?


「ああ、その前にロッテ」


「なんです?」


「今回はまともなクエストなんだろうな?」


「?? まともなクエストしか覚え無いんですけど?」


「おい、そんな不思議なものを見る目をするんじゃねえよ!」


 だいたい最初は飴だったし、次はSランククエストだったりゴミ屋敷だったり!


「……自業自得な部分もあるでしょうに」


「ぐぐぅ」


 くそ、なんでそう正論ばっかかざすんだよ!


「まあ、お金の事だけでしたら心配しなくてもだすのはあちらの勇者達ですから。こっちとしても仲介料だけでウィンウィンな関係なんで大丈夫ですよ」


「そ、そうか」


 てかウィンウィンでないと俺って駄目なのか?


「じゃあ、自己紹介していくか?」


 どうやらそんな事やっているうちに自己紹介の流れみたいだが、


「ボン、こっちは良いけど相手は何人いるんだ?」


 これから18人も一々やっていくとか勘弁なんだけど?


「ああ、大丈夫ですよ。実際は代表で3人しか行かないんで」


「へえ、そうなの」


 どうやら昨日しゃべてた子達が代表みたいだな。

 いいのか? 残り15人、モブから背景になっちまうぞ?


「今回のクエスト、宜しくお願いします!」


 そんな事考えてたら、昨日本田に一番突っかかっていた男が行儀よく頭を下げた。


「お、おう。よろしく」


「はい!」


 な、なんだよ。なんかいい気分だな、頭下げられるのって!


 それはともかくとしてだ。

 取り敢えず、自己紹介とか昨日のトラウマがあるんでボンに目配せする。


「しかたない。じゃあ、僕からでいいかな?」


「お願いします」


「ええ」


「はいよ」


「ボン、ついでに俺も一緒に紹介しといてくれ」


「あ、ああ」


「カタカタ」


「ボクはボン、一応貴族で――」


 流石は俺の相棒! アロマの事まで紹介してくれたぜ!


 ただ、


「――なんでゲルオは、そんな本田さんを見兼ねて一緒にパーティーを組んだのが出会いらしいよ」


「げ、ゲルオさん! リストラされた身でありながらヒロ、でなくて本田さんを助けてくれるなんて!」


「朝あった時は酷い人だと思ったけど、勘違いだったみたいね」


「ああ、人は見かけによらねぇんだな!」


「あ、ああ」


 ちょっと良く言い過ぎじゃないか? いや、うれしいけどさ。


「ゲルオは基本小物臭い奴だがやるときはやってくれるんだ! その……相棒なんだ」


「う、ううボン」


 いや、うれしいよ? うれしいんだけどね!


「なっ?」


 やめろ、そんな目で見ないでくれ!? 俺はそんないい奴じゃないんです!


「カタ、カタ!!」


 アロマも俺をよいしょしないでくれ、変なプレッシャーが……


「よし! こっちの自己紹介だな!」


 そう一番元気な奴が言うと、さっき頭を下げた優等生って感じのが一歩前に出た。


「じゃあ、おれ、でなく自分は『鈴木 リョウタ』っていいます!」


「武器は何を使っているんだい?」


「いちおう槍を使っています!」


「たしか異世界召喚されて、しかも勇者何だって?」


「ええ、実感は全く無いんですけどね」


「リョウタはしかも火炎魔法が得意なんだぜ!」


「ほう、そなんだ」


 異世界からきて勇者で火炎属性って、主人公かよ!?


「で、そういう君は?」


「ああ、おれは『佐藤 シンヤ』ってんだ!」


「得意なのは何なんだ?」


 まあ、こっちのが火っぽいイメージだが。

 髪も赤茶っぽいし、日に焼けて健康的な感じだしな。


「ほのうだぜ! こうゴォオって感じの!」


「そ、そうか」


 え? 火炎と何が違うの?


「武器は己の体一つ! ってとこだ!」


 アツイね、君。


「最後は私ですね。名前は『藤田 マリ』っていいます。」


 前髪パッツン子だな。


「ちょっとファンタジー世界にはミスマッチしているかもしれないんですが、カタナを使わせて頂いています」


 ああっと、ここでロマン武器が来たね。

 でも刀とかさっぱりだから、お願いだから解説とか辞めてね?


「因みに得意なのは?」


「私は熱ですね。加熱が得意です」


 おいおい、見事にかぶってないかコレ?


「なあ、属性が似たり寄ったりな気がするんだけど……」


 おお、ボン良く言ってくれた!


「あ、すいません。実は皆、似たり寄ったりにスキルを取らされまして……」


「その中でも差別化や強力なのが私達3人なんです」


 こ、こんだけいて全員そうなのかよ……


「他の召喚されてきた人は違う属性系統なんですけど……色々ありまして」


 まずいっ!!


「そ、そうかっ! まあ、その話はし辛いだろうし、今はお互い目的に向けて頑張ろうぜ!!」


「あ……はい! 有難うございます! ゲルオさん!!」


「そんなのいいってことよ!」


「お、おい。どうしたんだ急に」


 そうボンが近づいて耳打ちしてくる。


「あれは聞いたら取り返しがつかなくなる系統の話だ。危なかったなボン」


「そ、そうなのか」


「ああ、絶対に」


「カ、カタ?」


 あの神妙な感じで、「ゲルオさんには関係ない事ですけどね」とか言いながらちゃっかりフラグが立つに決まってる!


「ゲルオさん、いやゲルオ兄貴は度量のある男みたいだぜ!」


「ええ、これなら本田さんの事もあんまり心配しなくても大丈夫じゃない?」


「ああ、そうだね。こっちのクエストに集中できそうだよ!」


 んん? なんか今までに感じた事のない視線を浴びてるんだが?


「じゃあ、行こうか! 目指すは『巨獣の魔窟』キングベヘモットの上位種!!」


 へ、なにそれ? 上位種?


「ええ、では皆様方。月に一度の『ベヘモットロード』討伐、頑張ってくださいね!」


『おおー!』


 ちょっと待て。キングとロードって何が違うんだよ!


 因みに数分後――


 もうこの際クエスト受けるのは良いとしてだ。


 頭痛いの何とかなんないかなぁ


「っ! カタカタ!」


「おお? アロマ何だこれ?」


「カタ」


 の、飲めってか? この粉末を?


「カタカタ!」


「わ、わかった」


んぐっ


「カタ」


 俺はアロマに渡された水で一気に飲みこんだ。


「うげぇ、苦い……」


 マジで苦い、ホントに苦い。

 にがいって何度も思って気を紛らわしたいぐらい苦いんだけど


「カタカタ」


「うう、アロマなんてものを……あれ」


 なんか今のが衝撃過ぎて忘れてたけど、頭の痛みが引いてる。


「……流石はアロマだな!」


「カタッカタッ」


「ふふふ、そんな事はないぞ」


 よし、これで心置きなくクエストへ行けるぜ!



「す、すごいなゲルオさん。骨のカタカタだけなのに意思疎通している!?」


「ゲルオ兄貴、やっぱりただ者じゃないぜ」


「素敵な主従関係ですね」


「ゲ、ゲルオの株が上がっているだと?」


「はあ、お待たせ。よし行こうか皆」


『はい!』


「おお、凄い気合いだな」


 そんじゃ、行きますかね。


「カタカタ」



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