表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/73

21話 元魔王、流石に腹が立つ


「ポミアン、じゃあ早速お前のプランを教えてくれ」


「え、ええ。良いのですけどなんでお前はキメ顔しているのですの?」


「カタカタ!」


 フッ ありがとなアロマ。


「お前がドヤ顔したからつい対抗心でな、んな事より何をするんだ?」


「簡単な事よ、ワタクシの力を忘れた訳じゃないでしょ?」


「えっと、なんでも集められるんですよね?」


「ええ、そうよ。ワタクシの望むモノなら基本なんでもよ」


「つまり、増え続けているミズモの本体だけ此処に連れてくるって事か!?」


「カタカタッ!」


 なるほど、確かに本体を何とかすれば増殖も止まるだろうし、報酬も当然がっぽりだろう。

 何よりさっきの奴らも骨折り損って訳か。


「でも、相手は元でも魔王ですよね? 大丈夫かなぁ」


 うう、そういわれると不安だな。


「ポミアン、当然そこのところも案があるんだよな?」


 あんだけドヤ顔でいったんだ。


 まさかそれで呼んだら後は頑張るっ! みたいなフワッとした考えなわけ――


「あ、えと、そのぉワタクシの蒐集と、そのゲルオの伸縮で、こう……ね!」


 ですよね! んな事だろうと思ったよ!


「リスクがあるじゃん! ヤメヤメ! 楽して稼ぎに来て苦労なんかしたくねえよ」


 あーあ、こういう時にご都合主義でボンとか来ないかな……ん?


「ポミアン、蒐集でボンを此処に呼べないか?」


「え、いやよ。あくまで欲しいと思える“モノ”だけですもの」


「おいおい、そんな後出しでいわれてもなあ」


「そうですよ、肝心なとこはいつも抜けてますよね」


「えええ!? なんで急に責められてるのワタクシ!?」


「ポミアン! ボンが欲しいって思え!」


「む、無理ですわよ! それにワタクシにも矜持がありますわ! ボンをモノとして扱いたくないもの」


「元魔王のミズモはいいのか……」


 まあ、ボンも数少ないポミアンの友達だもんな。そう考えると許せちゃう!

 だって俺もボンぐらいしか友達いないもん!


「魔王の能力って意外と融通効かないんですね?」


「ええ、ワタクシのような強力な魔王はその分ね。むしろゲルオの伸縮が柔軟すぎるのよ」


「ふははは! まあ、なんせ俺だからな!」


「カタカタ!」


「なるほど、ゲルオさん素が弱すぎですもんね!」


「ええ、本田以下の耐久ですもの」


「は、ははは……ちくせう」


「カタカタ……」


 仕方ない、何かでヒマ潰すか。



――――

――


――1時間後


「ああっ! 見て下さいアレ!」


 本田が泉の方を指して何か言ってるがそんな事より、


「本田、それよりもお前いい加減にスペードの9出せよ。お前だろ絶対」


「そうですわ! ワタクシもうスキップ3回使ってしまったんですから、お願いします!」


「ええ、じゃあもうあたしの勝ちでいいですよね? ってそんな事よりもアレ!」


 くそっ! 7並べでは時止めのゲルオと恐れられていた俺が……負けるだと!


「カタカタっ!」


 ううん? アロマも何か言ってるな、いったい何が……


「おお! 泉の青いのが減ってるじゃねえか!」


「へえ、あのガキかはわからないけど大分ミズモの分体を減らせたようね」


「しかもさっきから白い光がこうズバっと出てますよ! なんかファンタジーって感じですね!」


 いや、お前から見たらずっとファンタジーだったと思うんだけど。


「このままなら待ってりゃ終わりそうだな」


「ええ」


「今頃向こうではお相手さんも必死でしょうね。でも……」


「ん? どした本田?」


「分裂してるとはいえ一体相手に冒険者が総出って、ちょっとかわいそうだなぁって」


 ふむ、本田みたいな異世界人はそういう感覚なのか。


「本田、俺達魔王はそういうもんだ。基本は勇者パーティーが数に物を言わせて一方的にボコられるもんさ」


「まあ、そうね。一度も勇者と戦った事のないゲルオがいうと腑に落ちないですけど」


「でも、もう魔王じゃないんですよね」


「あ、そう、だな」


「ええ、そうですわね……」


「いきなりほっぽり出されるのって寂しいですよね……」


 …………はあ、リストラされた魔王か。


「ポミアン、本田。行くぞ」


「え、あ、はい」


「はあ、ワタクシも丸くなりましたわ」


「カタカタ」


「出来るだけ近くまで行きたいんだがいいか?」


「ええっと、どうするんです?」


「決まってんだろ? 一番おいしいとこを頂くんだよ!」



――――

――


 大分近くまで来たが、どうやら元の泉が見えるぐらいまで分体は減っているようだ。


「うわあ、あのズラッと囲んでいるの全部冒険者ですか?」


「みたいだな。ていうか一ついいか?」


「なによゲルオ」


「ミズモの分体が可愛い件について」


「うっ! たしかに」


「なんか青いグミみたいで可愛いですね!」


 そう、青いグミに丸いプニプニした足が四個付いており、顔はつぶらな瞳が付いているだけという非常にシンプルながらも可愛らしい見た目をしてた。


「多分スラゲっていうスライムが進化した魔王なんだろうけど……スラゲは目もなく口だけのかなりグロテスクなモンスターなのに」


「マスコットみたいで可愛いですねぇ……」


「ああ、けど……」


『どりゃああ! 死ね!』


『喰らえ! 元とはいえ魔王め! ブラストクラッシュバーン!!』


『よくもリリアを! 真龍咆哮光臨斬しんりゅうほうこうこうりんざん!!』


 あのユルい見た目のモンスターにガチで攻撃する冒険者が実にシュールなんだが。


 しかも、


『く、ボクが盾になるうちに……』


『お、おか……さん……』


『どうしてボクをいじめるの……』


 いちいち心に刺さるようなセリフを残して消えていきやがるとは、やるな! ミズモ!


「ううむ、良い作戦ね。冒険者はこれじゃあ毎回ココロに負担が掛かるんじゃないかしら?」


「ううう、見ていて可哀そうですよぉ」


 にしても、あのぶっとい光はあのガキだったのか。

 技名聞いて吹きそうになったんだが、龍は何処から来たんだよ?


「ゲルオさん、大分ミズモの数が減っちゃってますよ」


「まあ、流石にずっと能力を使い続ける事は出来ないからな」


 ううん、まだ様子見で大丈夫か?


「むむ! 誰か来たと思ったが、お前たちか」


「ん? 誰だ?」


「ああ! ギルドマスターさん!」


 其処には木に寄りかかって膝をつくカラ坊がいた。


「はん! もうジジイの癖に出張るからそうなんだよ」


「ぐぐう、ちがわい! 俺のケガはあのむやみやたらに光を出すガキのせいだよ!」


「そ、そうか」


「まあ、全然まわりを気にせず放出してますもんね」


 大方、今アイツは最高に主人公してるつもりだろうからな。


「たくっ! だいたい今回は分体をある程度抑えて、ミズモの息切れを狙う作戦だってのに! このままじゃ……」


「マズいな、冒険者の奴らミズモ本人も討伐する気か?」


「今回は規模が規模だからな、念を入れて人族の国に協力を要請したんだが……」


 それが仇になったってか?


「ふん、未だ奴らの国は魔族排斥を謳うバカがいるらしいですものね」


「はあ、せっかくの祭だったというのに。それもこれもあの勘違いしたガキが出張りやがるから……っ!」


 うおお、カラ坊の奴ガチで怒ってんな。


「さて、大分囲む円が小さくなってきたがそろそろだな?」


「何をする気だ、ゲル兄?」


「まあ、見てろって――」


『いい加減にしてよ!!』


 な、なんだ! 急に泉の方から大声が……


『ボクが何したっていうんだ! ボクは、ボクはただ寂しくて、だから自分を増やしただけだっていうのに!!』


 どうやらこの中性的な声はミズモが出しているようだ。


『そんな理由でお前はこんな事をしたのかよ!!』


『え、えええ! だ、ダメなの?』


 おいおい、全然ちゃんとした理由な気がするんだが?


『お前のせいでみろ! こんなに傷ついた人たちがいるんだぞ!』


「あのガキめ、ココロの傷以外はほとんど光の剣の巻き添えだろうがっ!」


「周りが見えてないんだな、アイツ」


 仕方ない、まだ若いし自分本位でしか物事が見れないんだろう。


 まあ、俺は許さんがな!


『し、知らないよそんな事! 寄ってたかってボク達をいじめて! 』


『知るかよ! お前のせいでリリアは大怪我したんだぞ!!』


 な、なんだそりゃ? 戦ってるんだからケガするのは当たり前だろ!?


『ボクは、ボクはただ……う、ううう』


 気が付くと、周りの冒険者達は泉から離れて行き――


「ちょっと、流石に可哀そうだよな?」


「ああ、なんか俺達も大人げなかったていうか……」


「実は戦いながらもシュールすぎて辞めたかった」


「よく見るとカワイイしな? うう、思い出したらココロが……」


「正直、一体連れて帰りたい」


 ――なんて言いながら皆、次々と攻撃の手を納めていった。


「もう少し近づくか?」


 話が聞き取れん。


「ええ、というかアイツの他の取り巻きは……近くに居るのね」


 泉の近くまで行くと、たしか、えと、ああ名前思い出せん。


 とにかく、ちびっこドワーフとネコミミも、ソウタの近くでミズモの分体を減らしていっていた。



「ともかくお前は増えすぎたんだ! 喰らえ!」


「いけソウタ!!」


「……」



 って、しびれ切らして話も聞かずにっ!!


「だ、だれか……ボクをたすけ――」


「ポミアンっ!!」


「わかってるわ! 来いっ!!」


 瞬間、目の眩むほどの光が放出される――



「ふん、リリアを傷つけた罰だ……」



 ――光が収まる中そんなどうでも良い決め台詞が聞こえたが。


「残念だったなぁああ! ミズモは回収させて貰った!!」


「っ!?」


 さて、いい加減腹立ってきたわ。あのガキどうしてくれるかね?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ