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19話 元魔王、転移陣にびびる


 緊急クエストに参加する事になった俺達は、早速ロッテから説明を受けていた。


「それでは、緊急クエストの参加ありがとうございます。今回は規定人数となり次第、そちらの転移陣に乗って頂き、元『序列21の魔王 分裂のミズモ』が治めていた『月の森林』へ向かって頂きます」


「へえ、規定人数なんてあるんだな」


「あたし達だけではないんですね」


「カタ」


「今回はあと4人の参加が決まれば現地へ転移が開始できます」


 そういわれて周りを見るが――


「見事に誰も居ないんだが?」


「ワタクシたち以外は参加資格がないんでなくて?」


 チラホラといた奴らも既に良いバイトを見つけたらしく、ギルド内には俺達しかいなかった。


「集まらないならしょうがない。ロッテ!」


「はい、なんです?」


「1500Gだけ渡して俺達を帰らしてくれ」


「ホントにバカですね。ギルドが損しかしてないじゃないですか」


 いや、だって完全に過疎ってるじゃん。


「じゃあ、もう帰るかポミアン?」


「何をしに来たかもう忘れたのっ!? お金を稼ぎに来たんでしょ!」


「そ、そうですよゲルオさん。ポミアンさんの為にも頑張らないと!」


「ええ、ホントにワタクシの為にも頑張ってほしい。ほんとに……」


「はぁ、心配しなくても違うギルドからの募集も合わせての人数ですよ」


「ん? どゆこと?」


「つまり此処とは違うギルドでも募集して、そこを合わせて8人で組んで転移をしてもらうんです」


「別の場所で参加した人と合わせてって事か」


「はい。だからもうちょっと待っていてください」


「はいはい」


「カタカタ!」


 う、ごめんよアロマ……ハイは一回ですよね。


「カタ、カタ」



――――10分後


ポーン!


「ん!? 何だ今の音!」


「あ、やったわ! そろった! これで――」


「そんな事はどうでも良いんだ! ロッテ、今の音は!」


「はい、漸く規定人数に達したようですね」


 やはりか、正直待ち時間が長くてババ抜きしてたぞ。


「ゲルオ! やっとワタクシが勝ちそう――」


「ポミアン、遊びは終わりだ。行こうぜ!」


「そうですね。行きましょうポミアンさん」


「え、でもワタクシちゃんと能力使わずに……」


「ポミアン。もうその話はやめよう、誰も幸せにならない」


「いきましょう? ねっ!」


「ええぇ……わかりましたわ」


「カタカタ」


「茶番も終わったようですし、サッサと乗ってください」


「あ、はい」


 転移陣はさっきと違い淡い光が立ち昇っていた。


「ほう、転移可能って事か?」


「あ、はい。別にホントは光ったりしないんですけど、異世界の人達がなんか違うって騒ぐんで、敢えて光らせてるんですよ」


 聞きたくなかったな、そのプチ情報。


「では、皆さん転移を開始しますので絶対に円からはみ出ないでくださいね」


「えっと、はみ出ちゃうとどうなるんですか?」


「その部分はこちらに残っちゃいます」


 ひぃい! 何それ、超恐いんですけど!!


「ううう、聞くんじゃなかったですぅ」


「はみ出なきゃいいだけですわ」


 そう言いながらお前すっげえ髪プルプルしてるからな?


「じゃ、始めますね! 頑張ってください!」


「皆、ちゃんと真ん中寄って! ポミアン! 髪がはみ出てる!」


「そ、そんな事言われましても!」


「ア、アロマさん! ギュってしてもらっていいですか?」


「カタカタ!」


「いってらっしゃーい!」


 その言葉と共に視界が光で溢れた――



――――

――


 うう、め、めを思いっきり開いてたせいで、良く周りが見えん……


「お! 知らない人がいるぞ!」


「みたいね。ソウタ」


「うん……」


「先に待機してた人なんじゃないの?」


 なんだ? 聞きなれない声がするな、いったい……


「ゲ、ゲルオさん! 知らない人がいます!」


「どうやら他のギルドから来た人みたいね」


「カタカタ」


「うう、ちょいまて。目がさっきので……」


「カッカタカタ!」


 おお、すまんアロマ。なんて優しい骨マッサージ!


 視力が回復して声の方を向いてみる。

 其処には異世界人の男子学生と3人の“美少女”が此方を見ていた。


 もう一度言う“美少女”だ。


「えっとオレ、『光の栄光亭』から来ましたソウタっていいます!」


「あ、ああ」


 な、なんだコイツ。そんな急に俺のパーソナルスペースに入ってくんじゃねえよ。


「こっちはエルフのリリア。んでドワーフのルリと猫獣人のミイです」


 そう紹介されて女の子達は軽く会釈をした。


「一応オレ達はSランクパーティーで『蒼の絆』ってよばれてます」


「そ、そうか」


 なに? なんで勝手に自己紹介始めてきたの? 俺も言わなきゃダメなの?


「緊急クエストは初めてで、お互い即席のパーティーですけど頑張りましょう!」


「あ、う、ああ」


 マズいな、この押せ押せの雰囲気。

 すっかりアロマを除いて怯えちまってる。コミュ症にこのノリはキツイ……


「はあ、ソウタ。そんな初対面の人にグイグイいったらダメしょ?」


「ええ! そんなことないでしょ? ね、ルリ?」


「……うん」


 いや、そんな事しかねえよ。


「えっと、じゃあこっちから紹介しますね。私はエルフのリリア、弓と風の魔法が得意よ」


 えええ! さっきサラッと紹介したじゃん! 何でまた!?


「……ルリ、どわふ……いじょう」


 あ、この子とは友達になれそう。


「ふん! ミイは猫獣人よ! ソウタ以外には気安く話されたくないわ」


 ああ、誰が話すかよ。


「……なまいきな」


 あ、早速ポミアンのヘイトが上がってますねえ。


「じゃあ、良かったらそろそろ……いいですか?」


 え、何が? 


『…………』


 あ、ヤバいな。すげえ自己紹介しろって空気になってる。


 あとポミアン、そんな縋るような視線を寄越すんじゃねえよ……仕方ない、アロマ頼む!


「カタカタ」


 よし、通じたみたいだな。流石は俺の配下だ!


「カタカタカタカタカタ、カタカタ。カタカタカタ」


「えっと、これはスケルトンか? 悪いんだけど何を言ってるかわかんないんだけど……」


「カ、カタカタ……」


 くそっ! 駄目か、薄々通じないとは思っていたが。


「おい、本田お前のとこの人間だろアイツ? お前からやれよ」


「ええ、あたしからですかぁ」


「年功序列だ」


「それじゃあ毎回ゲルオさんが……」


「帰ったらお前の好物買ってやるから」


「ホントですか!」


「ああ、ポミアンがな」


「ちょっ!」


「じゃあ、あたしからですね。あたしは本田ってなまえです。以上です」


「え、えっと……それだけ」


「え? 他にあります?」


「い、いや大丈夫だよ。宜しくね本田さん」


「ああ、そういうのいいですぅ」


「あ、あはは」


 おいおいおい! すげえ向こうの女子が睨んでるんですけど!?


「次はワタクシかしら?」


「俺より年下だかんな」


「わかってるわよ」


「カタカタ」


「んん、ワタクシは知っているとは思うけど元序列9の魔王、蒐集のポミアンよ。気安く話しかけたら……わかっているわよね?」


ざわっ!


 んん? なんかやっこさんざわついてんな?


「ま、魔王だって? でも元?」


「ポミアンってあの玉石混交のポミアン!? 嘘でしょ?」


「……けど、すごいぷれしゃ……です」


「ふ、ふん! た、たいしたことはない……にゃ」


 まあ、いいか。


「さ、最後になるが、お、俺はゲルオ。元だが――」


「それじゃあ自己紹介も終わったし皆、行こうか!!」


「ええ! ソウタ」


「おぉお……」


「ふん! 行ってあげるわ」


「え、なんで仕切ってるんです? あの人?」


「イライラするわね」



ザッザッザッ



「――魔王なんですよ。ねえ、伸びたりとか、ち、ちぢん、だり……」


「カタカタ」


 ちくせう、ふざけやがって。



「あれ? ゲルオさんは?」


「後ろにいるわね。ゲルオ! 何してるの早く来なさい」



「……行こうか、アロマ」


「カタカタ!」


 絶対に許さないリストにあのガキの名前を記し、俺は皆について行った。


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