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13話 元魔王、ゴミを処理する


 ダンジョン化、それは魔王が居ることによって引き起こされる現象の一つだ。力の強い魔王であればあるほどその影響は色濃く出てしまう。その為魔王はむやみやたらにダンジョンを発生させないように力を抑える義務があるんだが――


「どうやらココの近くに魔王がいた、若しくはいるみたいだな」


「カタカタ」


「へえ、魔王ですか……」


 な、何だその目は?


「い、いっとくが俺じゃないぞ! 自分で発生させたダンジョンくらい流石にわかるからな」


「ゲルオ? ちゃんとはなせばおこらないでちよ?」


 おい、ガッキそんな目で俺を見るんじゃない。


「ふむ、ゲルオの言う通り違うと思うな」


「ボン!」


 流石は相棒だぜ! 俺の事がわかってきたな!


「ゲルオは元魔王の癖に弱すぎるからな、ダンジョンなんか発生しないだろ?」


「ああ! 確かにそうですね!」


 流石は相棒、俺のことわかってきたな……


「じゃあ、ちかくにマオウしゃんがいるんでしゅか?」


「そうなると魔王を探すか、ダンジョンを攻略するかの二択だが……」


 面倒臭えなあ、どっちにしろ。


「いや、多分そのどっちもやることになるかもしれない」


「んん? どうゆう事です?」


「ほら、これを見てくれ?」


 そうボンが指さした物はさっきまでゴミと草に隠れていた家の表札だった。


「あっ! 家の人の名前ですかね?」


「ああ、ご丁寧に序列から書いてあるな」



――――『序列9の魔王 蒐集しゅうしゅうのポミアン』――――



 ポミアン? どっかで聞いたことある様な?


「カタカタカタ!」


 ん? アロマが何か言ってるな?


「まさかあのポミアンがこの家の主だったとはね」


「知っているんですか?」


「ああ、蒐集のポミアンといえば別名『玉石混交ぎょくせきこんこうのポミアン』と呼ばれていた有力な魔王だったんだが……」


 うーん、ポミアン、ポミアン、どこで聞いたんだったかなぁ?


「何か問題がある魔王だったんですか?」


「良くも悪くも前時代的なエリート魔王でね。結構周りに嫌われていたんだよ」


「カタカタカタ」


 わかってるってアロマ! 今思い出すから!


「僕も一度お会いしたことがあるけど、ワタクシ口調で高圧的な方だったよ」


 ワタクシ? あっ!!


「思い出したぞ!!」


「きゃっ! なんでしかおおごえだちて!!」


「ああ、すまん。そのポミアンって奴どっかで聞いたなぁと思ったらな、ちょっと前に魔王神城で聞いたんだよ」


「カタカタっ!」


 よし! ああ、スッキリしたぜ! そうそう、確かアロマに結果をいった……後に……


「へえ、ゲルオはあの城に行った事があったんだな。でも何しに行ってたんだ?」


「……リストラ言い渡されに」


「あっ」


「そ、そうか」


「カ、カタカタ!」


 うう、アロマありがとな。元気出さないとな?


「まあ、それは置いといてなるほどな。ゲルオがそのタイミングで聞いていたって事はあの噂は本当だったんだな」


「ああ! ガッキもしっているでしゅよ! リストラっていうのをされたマオウがほかにもいっぱいいるってハナシでしゅよね!」


 な、なに!? 俺以外にもいたのか!?


「ああ、その一人がポミアンじゃないかって言われていたんだが……」


「ともかく、今日はもう帰ろうぜ?」


 ダンジョンどころか魔王なんか相手にとか無理でしょ?


「ううむ、だがゲルオ。たぶん明日にはまた元通りのゴミ屋敷に戻っているぞ?」


「はぁあ? 何でだ?」


「ポミアンの能力は『蒐集』聞いた話じゃ昔、近くの街を丸ごと自分の支配下に持ってきたという話がある」


「それって集める能力って事ですか?」


「ああ、実はなゲルオ。ここのゴミ屋敷は最近までなかったんだ」


「ああん? 最近ってどの位だよ?」


「お前とベヘモット退治に行った時はなかった」


 おい、それってもしかして……


「明日にはゴミが集まっているって事か?」


「ああ、というか奥を見てくれ」


「え? なんです……!!」


「おいおいマジかよ……」


 そこにはさっきまで無かったはずのゴミが散乱し始めていた。


「この調子だと元に戻るか、若しくは推測だけど――」


 ああ、俺もなんか予想できたんだけど。


「――あの虫達がゴミを食べてくれていたとしたら空白地帯の此処、今日の比じゃないかもしれないぞ」


 はあぁ、結局今回も骨折り損かよ。


「やるしかないんですか? 取り消しとかは……」


「できない事はないだろうが、良くは思われないだろうね」


「カタカタ」


 はん、別にどう思われても構いやしねえよ。


 それよりもう帰って風呂入りたい。


「ごめんなしゃい。ガッキがいらいをだしたせいで……」


「ただ流石にこの規模の問題なら解決すればギルドからの報酬は凄いだろうな」


 !?


「まあ、やめるとすれば明日どころか、今日にも中級から先の冒険者が殺到してしまうだろうね」


「ええ!? それってこの庭のゴミ掃除をしないでって事ですか? ちょっと損な気がしちゃいますね」


 !!?


「でもしかたないてしゅ。ゲルオもあめしゃんでがまんしてくだしゃい」


「いや、やろう」


「うん? いいのかゲルオ?」


「ああ、皆。俺達がキャンセルしている間にもゴミが増え続けてしまう。その間近隣住民はまた苦しむんだぜ! だから俺達がここでなんとかしなければいけないんだ!!」


「ゲ、ゲルオさん!」


「そうでしゅね!」


「カタカタっ!」


「……報酬と赤の他人が楽するのが許せなかったんだな」


 ボン、流石は俺の相棒だな。よくわかってるじゃないか。


「と、ともかくだ! 全員このボンが持ってきたマスクとゴーグルを着用してゴミ屋敷攻略を開始するぞ!!」


「カタカタッ!!」


「ん? いうんでちか?」


 …………


「す、するぞ!!」


「カタッ!!」


「お、おぉぉ」


「おーでしゅ!」


「はぁ」


 まとまんねえなコイツ等。



――――

――



「うう、マスク越しでもきついな」


「中は壁以外全部ゴミに埋もれているな」


 玄関から入ってみたが埋め尽くされていてとてもじゃないが進める状況でなかった。


「一個ずつじゃらちが明かないな、ちょい俺動けなくなるがいいか?」


「お、お願いしますゲルオさん」


「んじゃ、家はダンジョン化してるからな――」


 この家全体のゴミを範囲指定して縮小してしまえば、


「――ぐぅうう、縮めぇえ!」


フッ


 うまくいったようで、ゴミ壁以外は全て小石程度の小さなゴミになってくれた。ただ力を限界まで使ったせいか、まるで肩が信じられないほど凝ったような疲労感が襲ってきた。


「はぁあぁ、はぁ」


「おお!! ホントにすごいです!!」


「ゲルオだいかつやくでしゅね!」


「こう見るとお前の能力って強力なんだな?」


「カタカタ、カタカタ」


「あ、後は任せて平気か?」


「うむ、僕は今のところ良いとこないからな。任せてくれ!」


「あ、あたしも支援します!」


「ガッキもやりましゅよ!」


「カタカタ」


 ホント、頼んだぜみんな!


「あっ! これどうぞでしゅ!!」


「おお? ああ、あんがとな」


「アメしゃんたべてげんきだしてくだしゃい!」


 そういってガッキはまたあの旨い飴をくれた。


「はむ、ごり、うみゃえ」


「カタカタ」


 俺は飴を口に放り込んでみんなの後ろをのそのそとついていった。


――――

――


「はぁああ!!」


スパン!


「ボンさんかっこいいです!」


「……まあな」


「えい!」


ドスン!


「カタカタ!」


 虫しかいないと思っていたが、なんかヘドロみたいな人ぐらいのモンスターも現れてきて一時はどうなるかと思った。


 しかし、それを難なくボンとガッキが撃破し意外なほど順調に奥へ進めた。


「ふぅう、奥のモンスターが虫型でなくて良かったよ」


「けど臭いは酷いですね」


「マスクでもこれでしゅもんね!」


「ああ、ゴミは縮めても臭いはどうしようもないからな」


 そうやって進んでいくと、一際豪華な扉だったとおぼしき物を発見した。


「これ、如何にもって感じですね?」


「ああ、濃い魔力も感じられる」


「マオウしゃんがいるんでちかね?」


「カタカタ」


 さってと、遂にボス戦ってか?


「さあ、いく――」


 今扉を開けようとした時だった、


バン!


 突然扉が大きな音を立てて開き、そして――


「お前らがさっきからワタクシの家でうるさくしているゴミどもか……」


 そこには黒く長い髪を全身に覆ったような女が立っていた。


「ワタクシが序列9の魔王、蒐集のポミアンと知っていての狼藉だとしたら……到底許せんぞゴミどもぉおお!!」


 ああ、ヤバい。


 これかなりヤバい奴だわ……



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