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砂漠化する世界でオアシスを創る  作者: 地下水
第一章 砂漠のオアシス
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訪問者

 ラクダのクリスを仲間にしてから1週間過ぎた。1週間毎日、ラクダで騎乗の練習をしていたのでコツを掴んだ。

  

 「ご飯にしようか?」

 「ミドリ、僕はバナナが欲しいです」

 「分かったよ。新しいバナナの木を出すよ」

 

 クリスは変わっていて、ラクダなのに草以外にリンゴやみかんにバナナも食べた。特にバナナが大好きらしい。贅沢なラクダだ。今も美味しそうにバナナを食べている。


 「僕とても幸せです」

 「そうか。良かったな。ん?」


 雲一つない空に影が出来た。雨が降るのか?頭を上に向けると巨大な飛行生物が飛んできた。


 「え?クリス、クリス!今の見た?」

 「何ですか!僕は今、大事な食事中ですよ。もう、邪魔しないでください」

 「それどころじゃない!空に…何か巨大な生物がいた!」

 「えっと、飛竜ワイバーンですね。前に1度見かけましたよ」


 重要な事なのに聞いてない。日に日にクリスの俺に対する態度が悪くなってるのは、気のせいではないと思う。創造主様しまみどりを敬う気持ちも大切だと言いたい。


 「飛竜ワイバーンに人が乗っていたような気がしたけど、クリスは見えたか?」

 「調教された飛竜ワイバーンは1人だけ乗ることが出来ます。推測ですけど、商人のウインター達からオアシスの情報が洩れて、偵察しているのでしょう」

 

 場所がばれるのは問題ない。

 島緑しまみどりは本当に異世界に来たんだなぁと思った。周りが砂漠とオアシスで変化がない。他人と異世界交流も1度しかしていない。ウインター達が次に来るのは早くて一ヵ月以上時間がかかるだろうと思っていた。


 その夜はワイバーンを見たことに興奮して中々眠れなかった。

 クリスがハンモックを揺らす。


 「起きて下さい、起きて下さい、ミドリ!大変です!」

 「ふぁああ」


 朝方まで起きていたので寝不足による欠伸が出た。

 口はしっかり手で押さえたよ。


 「おはよう。クリス。またご飯はバナナか?まだ実はあると思うけど」

 「おはようございます。それどころじゃないです。人が見えます」

 「人?もうウインター達が来たのか?」

 「違います。大勢のラクダと人がこちらに向かって来ています」


 遠くに見える砂漠で砂埃が舞う。10人と15頭くらいのラクダが俺の楽園オアシスに向かって一直線に目指しているようだ。だんだん近づいてくるのを眺めていた。どの人も武器を携えて物騒な予感がする。それより視力があがったのか?遠くまではっきり見えた。


 「クリス、戦闘になったら頼むよ。俺に戦う力はない」

 「何言ってるんですか!僕はただのラクダですよ」

 「普通のラクダが人間と会話するわけないだろ!」


 わーわーぎゃーぎゃーと、島緑しまみどりとクリスが話していると武装した一団が到着したようだ。まずいな。完全に囲まれた。ラクダから一人の女が降りて前に進む。

 

 銀髪に少しツリ目の少女。歳は俺より2歳下くらいか。褐色肌に、自己主張が激しい女性の象徴。長袖で肌を隠して、ドレスのような赤と緑に黒色の民族衣装を身にまとう美しい女性。人種的には西アジア(中東)のような顔つき。

 

 「お前がオアシス第一発見者か?このオアシスはレニー様が貰うことにした。光栄に思え!」


 少女レニーはソプラノの美しい声で宣言した。

 俺の楽園オアシスを寄越せだと。どうしよう…か?

 


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