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砂漠化する世界でオアシスを創る  作者: 地下水
第一章 砂漠のオアシス
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オアシスの支配者

 「師匠、あれは…オアシスですよね?ノダル砂漠には水源オアシスはないはずだったのでは…僕たちは大発見をしてしまったのでしょうか。それとも暑さでおかしくなり、僕は夢でも見ているのでしょうか?」

 「儂にもオアシスに見えるな。どちらにせよ、オアシスに行くしかないようだな」


 護衛のナッシュはオアシスに向けて走って先に行ってしまった。

 護衛対象を置いて先に行くとは…生還したら減給だな。


 「マルコ、儂たちも行くぞ」

 「あ、待ってくださいよー」


 透き通るような綺麗な水が広がるオアシス。その水はそのまま飲めそうに思えた。何より砂漠地帯とは思えないように涼しい。オアシスが砂漠の楽園とはよく言ったものだ。

 

 ウインターとマルコはオアシスの水を飲んだ。ついでに3頭のラクダにも飲ませた。

 ラクダの世話をする。ラクダも水をごくごくと美味しそうに飲んでいる。


 「お前は何者だ!」


 突如、護衛のナッシュの怒声を含む声が聞こえた。

 声をする方を見ると、ナッシュは刀身1mメートルある剣を抜き、一人の異国風の男と対峙していた。

 ウインターは隊商として外国にも行くので色々な人種を見てきた。オアシスにいた男は白と黒の奇妙な服装をしている。我々と同じ黒髪に平たい顔をした男だ。


 「見慣れない顔だな?もう一度だけ言う。お前は何者だ?」

 「島緑しまみどりです。外国風に言えばみどりしまです。…言葉が通じている!?私は日本人です。気がついたらこの砂漠に居ました。ここはどこですか?」

 「日本人?聞いたことがないな。ここはエリモス王国の西にあるノダル砂漠だ。俺は隊商キャラバンの護衛をしているナッシュという者だ。後ろにいる男が商人のウインター。横にいる子供はマルコだ。俺たちはピソーク・ワームに群れで襲われてノダル砂漠に逃げ込んだ」

 「エイモス王国に、ノダル砂漠ですか?それに、ワーム?なら…アメリカ…―」

 「どれも聞いたことがない国だな。電話?飛行機?も分からない」

 「どういうことだ…」


 ミドリ・シマと名乗った異国の男は困惑しているようだ。家名があるのはどこかの貴族様なのか?敵意は感じないし、強そうにも思えない。ここは商人である儂が交渉した方が早そうだ。


 「ミドリ・シマ殿、儂は先ほど紹介されたウインターと申します。このオアシスはミドリ殿の物で間違いないですか?」

 「どういうことですか?」

 「ノダル砂漠には水源オアシスはもうないとされ、もし見つけたら第一発見者が所有者となる決まりがあります。水は大変貴重なものです。それを我々は勝手に飲んでしまいました。もし、金銭を要求するなら可能な限りお支払いします」

 「金は要りません。その代わり情報を下さい」

 「分かりました。我々が知る限りの情報をお教えします――」

 「……色々な情報・・ありがとうございました。疲れたでしょう?今日はここに泊まったらどうですか?客人として歓迎しますよ」

 

 ウインターはまだミドリと話たいことがあった。何よりまだ子供のマルコが疲れているので、お言葉に甘えて休ませてもらうことにした。


 「リンゴにバナナ、まさか…砂漠の真ん中でご馳走になるとは夢にも思いませんでしたよ。これを他人に話しても信じてもらえるだろうか…」

 

 なんとオアシスには飲める水だけではなく、バナナとリンゴの木があり、夕食に別けてもらえた。

 貴重な食べ物と水を無償で提供された。

 異国人は気前が良いのか?それとも無知ゆえの振る舞いか。


 「美味いな、俺はバナナ?というのは初めて食べるがこれは町で売れるんじゃないか」

 「僕はリンゴだな。あっ、バナナも美味しいです」


 儂が包みからパンを取り出すと、異国人みどりが興味津々に見ている。

  

 「これは、エイモス王国で作られたパンです。よければ食べますか?長持ちするので、時間が経っても問題ありませんよ」

 「頂きます。ほう…これがエイモス王国産のパンですか…」


 夜になり、儂らはハンモックなるものに案内されて寝た。

 寝心地は最高だった。

 朝、起きて顔を洗い水と果物を食べた。これも無償で提供された。

 


 「ミドリ・シマ殿、昨日話したことをもう一度確認します。この場所を隊商キャラバンの中継地点として活用してよろしいですか?もちろん対価はしっかりと払います」

 「問題ありません」

 

 水と食べ物を分けてもらい、ウインター達はオアシスを後にした。


 「これは大発見ですぞ。悲願だった儂の祖父らの交易ルートが復活するかもしれん」


 オアシスの支配者が気まぐれを起こさない限り、我らの代は安泰だとウインターは思った。

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