姉妹!?
30分ほどミリーと話した。自分が異世界人であることを主張しても覆られなかった。
もうどうとでもなれと思い、ミドリは19歳にして結婚することになった。
「転んでもただでは起きないぞ」
「な に か 言 っ た ?」
「気のせいです」
あれからミリーはミドリの傍に張り付き離れない。くすぐったい。もう日本に帰れないと思うし、この地を第二の故郷と思うことにする。日本に帰ってもやりたいことなんてなかった。だがこちらの世界では、オアシスを自由自在に創り出す魔法を使える。水が人命より貴重の中、ミドリの魔法はまさに神の如き力といっても過言ではないと思う。砂漠に自分の国を作って好き勝手に生きてやるさ。
ミドリは「幼妻」を手に入れた。ミリーを一言で表すなら愛くるしい少女。ミリーは可愛い。今も隣でポテチを食べながら、オアシスを満喫してるようだ。
「ミリー姉様本気なのですか?こ、こいつと結婚するなんて」
「うん」
ミリーの妹のレニーは唖然とした表情をしていた。
ミドリのタイプはどっちかというと妹のレニーの方だった。姉のミリーは「土の魔法」が使えるようになったので、老化しなくなり幼い姿のままである。
しかし、妹のレニーは違う。魔法が使えないので普通に成長している。ミドリとより1歳くらい年下なのに……胸がでかく、少しばかりキツい目つきをしている。長い銀髪を靡かせ……なにより物凄く美人なのだ。
「レニーさん?」
「なんだ?ミドリ。私はお姉さまと話している。邪魔をしないで」
「まあ、まあ落ち着いてください。遠くから来たのでしょう?お腹も減って、喉も乾いていると思います。遠慮なく、『ポテチ』と『レモン水』(名称を彼女らに分かりやすいように変えた)を食べて、飲んでください」
「ふん、気が利くのね。いいわ、そこまで言うなら食べてあげる」
ミリーがこれはわたしのものと抗議の声をあげるが、ミドリがまた作ってあげると言ったら大人しくなった。
「ささ、どうぞ」
レニーは小さな口を開ける。恐る恐るといった感じでポテチを口に入れる。
「……ン……ア……」
なぜか色っぽい声を出すレニー。彼女のソプラノの声は良く響く。
「『レモン水』もどうぞ」
コクンと可愛く頷き、木のコップから『レモン水』を一気に飲み干す。余程喉が渇いていたみたいだった。
「どうですか?」
「美味しい……あっ……今のは無――」
レニーに全部の言葉を言わせない。
「今、レニーさんは美味しいと言いましたね。僕の家に来て、僕の料理を食べた。美味しいと返事をした。これでレニーさんも僕と結婚することになりましたね」
「知らない。知らない。そんな事言ってない」
顔を真っ赤にして否定している。今にも腰にある剣を引き抜きそうな迫力がある。
「ミリー、この世界では一夫多妻制はありますか?」
「あるの。王族や貴族に限らず、庶民でも養うだけの経済力があれば何人も娶る人もいるの」
ミリーでいいと言われた。本当はミドリより年上だけど結婚するからいいらしい。
「なら問題ありませんね」
「ねー」
何が嬉しいのか笑顔になったミリー。
「私が問題ある。だ、誰がお前、ミドリ何かとけ、結婚なんてするかー」
「でも、この世界の文化なんでしょう。男の家に入り込んで、手料理を食べた。その返事に美味しいと返事をした。それは求婚を了承したことになるという」
「む、でも!」
「これで一緒なの」
ミリーの複雑な表情をレニーとミドリは何とも言えない空気になる。そうか、彼女は周りが成長していくなかで、ずっと停滞していた。妹が自分より成長していたのを――
「ミリー姉様……って、誤魔化されませんよ」
「あれを」
ミリーが指さす方向を見る。何とモンブラン(白金の飛竜とミリーが乗ってきた白金の飛竜が求婚の仕草をしていた。『希少種』のワイバーンは非常に数が少ない。そもそも希少種は知能が高く、他の飛竜より大型で狂暴である。人間如きが使役できるものではない。普通は……。
「どうします?」
「大変目出度いの。わたしのワイバーンの名前はビュラエ。ミドリのは?」
「モンブランですが」
まさかここ子作りするつもりはないだろうな。ワイバーンの生態はよく分からない。オアシスには子供もいる。教育によくないと思い、慌てて、2頭の希少種の飛竜を別のオアシスに「転移」させた。
「ミドリ。これはどういう事ですか?」
一仕事終えたミドリを迎えたのはラクダのクリスだった。
この世界のミドリの相棒。しゃべるラクダ。自分を人間だと思っている?
「ん?何が」
「僕という者がいながら結婚なんて絶対許さないです」
クリスの声は、少年の声変わり前のような声。
「は?クリスはラクダだろ?そして、男だ」
「やだ、やだ。僕を置いてかないでー」
クリスを捨てるつもりはないのだが。何か勘違いしている。
「クリス」
「謝ってもゆるしません」
「ミリー達が乗ってきたラクダに可愛い子がいるんじゃないかな?」
「あー。あの子は僕に相応しい毛並みをしてます」
クリスはオアシスで休んでいるラクダの群れに突進していった。
たくましいやつだ。以前別れた別の子の事はもう忘れているな。
転んでもただでは起きない。
ミドリは幼妻と、その妹のレニーと結婚することになった。
ミドリの国とレニーたちの従者は喜んでくれていた。
ただ、ザコーだけは羨ましそうな顔をしていた。




