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砂漠化する世界でオアシスを創る  作者: 地下水
第三章 砂漠の王国
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魔法の水

 ミドリは現在、面倒な勉強から解放されて、涼しいそよ風が頬に当たるハンモックの上でくつろいでいる。

 2人を新たな住民に迎い入れて2週間経った。元アストラ国民同士で話も合い、今の所特に問題は起きていない。

 ネフドの爺さんは人に自分の知識を教えるのが好きらしい。ミドリだけではなく、勝手にオリーブやザコ―や他の住民達にも文字や歴史を教えている。長い目で見れば国民の教育は大切だと思うのでミドリは何も言わないことにした。文字や文法も少しずつ覚えた。オリーブも自分の名前が書けるようになったと飛び跳ねて喜んでいた。

 オリーブは一番年下の女の子なので住民全体から可愛がられている。境遇を感じさせられないほどの明るさと、何事も率直な所が好感度が高い。


 商売に行かない日は、午前はネフド先生に勉強を教えてもらい、午後からはミドリの島を巡回したりする。

 昼食後なのでゆったり過ごす。

 最近、エイモス王国側のオアシスには行ってないな。こちらが落ち着いたら行くか。

 

 隣にいるラクダのクリスが目を潤ませながらミドリを見る。


 「今日もミドリの島は平和だな」


 と、独り言をつぶやく。


 「無視しないでください。勝手に話したことは反省しています」


  大人げないかもしれないが、約束を破って人前でオリーブと話した罰として2週間口を聞いていない。

 

 「夜にトイレに行きたくなり起きました。その時、僕は見てしまったのです。ミドリがレニーから譲ってもらったダガーを夜中なのにじっと見つめていました。アルブこうでラクダの肉を食べて、美味しかったと話してたとネフドから聞きました。前は冗談だと思ってましたけど、僕を食べるつもりなの?僕は善良なラクダなので美味しくありません。うわーん。許してくださいー」


 クリスがミドリに突撃してくる。涙と涎でミドリの服はべとべとに汚れる。

 よしよしとクリスの頭をなでなでするとさらに頭を近づけてくる。

 あの生意気なクリスが反省している。少しやりすぎたか?


 「男の子…?…だろ?人前で簡単に泣くなよ。俺もクリスに対してちょっとやりすぎた。ごめんなさい。昨夜レニーのダガーを見てたのは俺も偶然夜起きて、布で磨いていたからだよ。このダガーは特別な物だから大切にしたいんだ」

 「そう…だったんですか…?僕たちはこれからも友達ってことですか?」

 「…ああ、そうだよ」

 「ごほんっ。話中すまないがそろそろ昼の勉強を開始する」


 ネフド先生が近くにいることに気がつかなかった。


 「先生、午後も勉強するのですか?」

 「そうだ。今日からみっちり勉強する。ミドリ…いや、水の魔法使い」


 ここまであからさまだと流石にばれてるよな。


 「午後も勉強なんて嫌だ。忍法雲隠れ!」

 

 ミドリとクリスは果樹が生茂るオアシスの北側から、南側の居住区に一瞬で移動ワープする。


 「逃げて良かったのですか?」

 「平気だ。息抜きも必要だしね」

 

 目の前のオアシスで水瓶に水を汲むオリーブの姿があった。

 

 「オリーブはそこで何してるの?」


 クリスはフレンドリーに話しかける。

 オリーブは後ろを向いて目を丸くなる。


 「きゃ!あなたたちいつの間にいたの?」

 「ついさっきだよ。それで、水を汲んで何しているの?」

 「アズキに頼まれて料理で使うお水を汲んでるの!見て見て。あたしでも簡単に持てる!」


 オリーブは水を満杯まで入れた土の水瓶を持ち上げて、ミドリたちに見せつける。

 10ℓ以上は入ってるので、少なくとも水だけで10キロはあるだろう。

 普通の女の子が軽々しく持てるわけがない。

 魔法の水は重さすら感じなくさせる。 


 「ここのオアシスの水はすごいね。洗濯してもすぐに綺麗になるし、お水も冷たくて、とっても美味しい。じゃあ、仕事に戻るね。クリスちゃんまた遊ぼうね?」

 「うん、お仕事頑張ってねー」


 オリーブがミドリの島に来て2週間過ぎた。薄汚れた格好も洗濯と水浴びをして綺麗になった。

 洗濯や水浴びした水を飲料にするのは危険だと思われる。これは何度も利用するうちに気づいていた。

 魔法のオアシスの水は洗浄効果があり、汚してもすぐに綺麗になる。

 魔法って何だろう?いま一度考える必要があるかもしれない。

  

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