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砂漠化する世界でオアシスを創る  作者: 地下水
第二章 砂漠の楽園
31/43

新たな住人

 「爺さん、痛い。痛いから杖で頭を叩くのは止めてくれ」

 「ミドリは何度言えば分かるのか?体で覚えさせるしかない」

 「ネフド 先 生!これでいいですか?」

 「最近の若者は年長者を敬う気持ちが足りない――」


 長杖でミドリの頭をぽかぽかと殴る。

 貴族の家庭教師がうまくいかなかった訳が分かった。先生と呼ばないと鉄拳制裁(杖)が飛ぶ。

 

 さっそく初めての教えを受けた。この世界に姓があるのは貴族と魔法使いだけらしい。ミドリは水の魔法使いだけど身分を隠すことにする。

 臨機応変に対応するために、ネフドの話を聞いて、姓を名乗るのは止めた。

 家庭教師をしていた爺さんの名前はネフド。

 今年で51歳になるらしい。予想より若かった。妻とは死別して、息子夫婦と暮らしていたそうだ。

 2人目の子供が出来て、ネフドが使っていた部屋を開けるために、ミドリの家庭教師として家を出ることができて良かったらしい。孫に会えなくて寂しくないかと聞いたら、いつでも会えるさと強がっていた。

 ネフドはミドリがノダル砂漠に住んでいると聞いても、引かなかった理由が分かった。

 家庭教師のネフド先生が仲間になった。

  

 「こちらです」


 腕時計を見ると午後2時50分だった。思いの他に時間が過ぎていた。

 屋台に着くとライフさんは既に到着していた。

 ハンカチで目を拭いていた。泣いているのか?何やらライフさんの様子がおかしい。


 「ライフさん遅くなりました。ところで何か問題でもありましたか?」

 「いえ、彼女オリーブの生い立ちを聞きました。それで、ミドリ様はオリーブちゃんを保護されるおつもりなのでしょう?」

 「保護?何のことですか?これはオリーブに買ったサンダルだ。裸足だと痛いだろ?」


 ライフさんの質問に返事をして、サンダルと店番をした代価をオリーブに渡す。


 「では帰りましょうか」

 「そちらの男性を紹介してくれないのか?」


 ネフド先生に促されて仕方なく答える。

 ネフド先生の身分を明かしたらライフさんは驚いていた。

 貴族の家庭教師をしているのは珍しいことらしい。そんなことはどうでもいい。ミドリはさっさと帰りたい。

 オリーブを置いていこうとするミドリをクリスは咎める。

 

 「ミドリの鬼畜。外道」


 しゃべるなと何度も言ったのに、約束を守らず人前で話すクリス。

 クリスとオリーブも普通に会話していた。

 その様子を、ネフド先生は興味深そうに眺めている。


 「オリーブはどうしたいの?ここでお父さんが来るまで、ずっと待つつもりなの?」

 「うん」

 「13日も待って来なかったのはなぜかな?きついこと言わせてもらうと捨てられた…」

 「違うもん。絶対来るもん」


 まずい。大人げない事を言ってしまった。

 オリーブの目に涙が浮かび泣きそうになる。


 「あーー。ミドリが女の子を泣かせたー」


 クリスに続いて、ネフドとライフもミドリに文句を言う。

 

 「そうだね。だけどこれからどうするの?お金がないと食べ物は買えないよね?ということで、俺に雇われないか?」

 「……何をすればいいの?」

 「簡単な事だ。俺たちが果物や野菜を屋台で売る補佐をしてほしい。俺たちは四六時中ここにいることはできないし、どうしても店番が必要だ。この場所にいればオリーブと父の約束も守れると思う」

 「うん…それなら…できるよ」


 オリーブが仲間になった。


 「ミドリの島に戻らないか?ここは暑くて俺には耐えられない」


 一行はモンブランと合流して、ミドリの島に移動ワープした。


 「何と!これは!」


 ネフドは白金のワイバーンのモンブランを見て驚き、砂漠にあるオアシスの存在に2度驚く。

 オリーブはよく分かってなさそうな顔をしていた。ただ、急に移動ワープしたことには驚いていた。ワイバーンを近くで初めて見たと後で教えてもらった。

 

 「君たち2人を新たな住人として歓迎しよう。ここはミドリの島。俺の国へようこそ」


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