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砂漠化する世界でオアシスを創る  作者: 地下水
第二章 砂漠の楽園
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果物を売る

 「ここがアストラ国、2大都市のうち一つ、アルブか」


 石や泥で造られた茶・白色の建造物が、地の果てまで立ち並ぶ街並み。町の外2大都市は奇跡的に残る、大河の恩恵を受けて発展しているので、アストラ国の中でも豊かな地域である。そのアルブに、仕事や食べ物を求める流民が大量に流れ込み、現在問題になっている。大河も数年前と比べ、水嵩が減り、国の上層部では何とか解決しようと頭を悩ませている。


 島緑はクリスから降りて話しかける。

 

 「クリス、もう一度確認するが、絶対に人前で話すなよ?」

 「何度もしつこいです。僕もやればできる事を教えてあげます」

 「もし約束を破ったら…わかるね…?」

 「う、大丈夫です。僕はどこにでもいる善良なラクダです」

  

 人語を話すラクダが、大勢の人間が生活する町中に現れたら、どのような事態になるか分からない。いざとなったら、モンブランに守ってもらおう。モンブランは万が一に対応できるように、外で待機してもらっている。色が白金のため、遠くからでも目立つのでそこは注意してもらう。


 島緑がアルブに来た目的。それは、魔法の果物と、オアシスで栽培した野菜を売るためだ。

 『ミドリの島』は食べ物や水はあるが、他の物資が不足している。ならば、ミドリの島で採れた、果物や野菜などの食べ物を売ってお金を稼ごうという話にまとまった。

 ライフ元村長は商人の伝手と、文字の読み書きができるので一緒に来てもらった。

 元アストラ国民だったということもあり、内情が分かるので大変頼りになる。

 島緑はなぜか異世界で会話はできたが、文字は日本語ではないため全く分からない。

 

 「ライフさん、出店の出店の許可は大丈夫ですよね?勝手に店を構えて、後で問題になったら大変ですから」

 「安心してください。グロ村に来る行商人の親商店に話をつけてきました。クロワッサン通りの3番地が目的地です。少し裏通りありますが、ミドリ様の魔法の果実は全部売れますぞ」

 

 出店を開いて初日なので、リンゴ100個とトマト50個を販売する予定だ。

 果実は貴重だと聞いているので、値段は少し安めにした。トマトは現地で販売されてる値段とほぼ同じにする。

 初日の売り上げの反応次第で、その後の予定を組むつもりだ。

 裏通りに入るとガラっと雰囲気が変わる。島緑達をじっと見つめる嫌な視線を感じる。

 

 「本当に、この場所で合っていますよね?」

 「え、ええ。そのはずです。ありました。あそこです!」

 「おー、祭りみたいな雰囲気の屋台でいいじゃないですか?」

 「祭りですか…?」

 「あ、やべ。何でもありません。ところで、他の食べ物の値段はどうですか?」

  

 話をそらして、2人で開店の準備を進める。

 こそこそ腕時計を見て時間を確かめたらまだ10時だ。時計の時間は、鐘の音に合わせて時間を変えたから正確だろう。

 夕方4時に店を閉めようと話ていたので、その時間までに全部売れればいいと考えていた。

 

 「ミドリ様、本当にお一人で…」 

 「クリスもいるから平気です。ライフさんは市場の調査と物資の補給をお願いします。俺は文字が読めなく、地理に疎いので、ライフさんがここは適任だと思います」

 「分かりました。では、3時前には戻ってきます」

 「はい、よろしくお願いします」


 痩せていたライフさんも顔に生気が戻り、今では生き生きと暮らしている。

 ライフの後ろ姿を見送りながら、荷解きをする。

 お祭りの屋台のようなものに、リンゴとトマトを並べる。値札はライフさんに書いてもらった。


 「よし、終わり。どれくらい売れるかな?」


 リンゴは初めて出した魔法の果実。魔法のオアシスで栽培したトマト。どちらも愛着がある。味には自信がある。食料も少ないようだし4時には全部売れるかな。


 「おう、兄ちゃん。珍しい物を売っているな。リンゴを一つくれ」

 「はい、どうぞ」


 お金を受け取り、リンゴを渡す。

 初めてのお客は、頬に傷がある30代後半の男だ。腰に剣をさし、近寄りがたい異様な雰囲気を纏っている。お金を沢山持ち歩いているのか、お財布の袋からジャラジャラと、硬貨が鳴る音が聞こえた。男はその場でリンゴを勢いよく食べる。


 「ご馳走様。美味かった。これほど、冷たくて、甘いリンゴは食べたことがない。どんな仕掛けがあるんだ?教えてくれないか?この値段で採算とれるのか?」


 島緑に詰め寄り、質問をいくつも投げかける。

 

 「当店で扱っている果物は現地から直送しておりまして、価格を抑えています。冷たくて甘い部分は企業秘密です…」


 男は何か考え込むような仕草をする。


 「決めた。これほどのものは滅多に手に入らないはずだ。全部買おう。その代わりに少し安くしてくれ」

 「ありがとうございます。リンゴ100個にトマト50個で――」


 まさか、開店直後に全部売れるとは思わなかった。一人何個までと制限を設けた方がいいのか?大量に購入したから値引き交渉をしたのか?1個でも値引き交渉するのが普通なのか?それはこれからの課題だな。頬に傷のある男は、どこからか現れた仲間と食べ物を運ぶ。残されたのは商品がない屋台と島緑たちだった。

 3時まで5時間もあるし、適当に観光でもするか?

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