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砂漠化する世界でオアシスを創る  作者: 地下水
第二章 砂漠の楽園
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砂漠のご馳走

 「ラクダレースは盛況ですな―――」


 いつもの白服に茶色の革袋を持ったウインターが、ハンモックで寝そべる島緑に一方的に話しかけてくる。昼寝時間に急に話しかけてくるのは初めてだ。ゆっくりさせてくれ。

 ラクダレースに参加した島緑とクリスは連戦連勝している。

 客でレースは常に賑わっている。

 

 「それで今日はどのようなご用件で?」


 昼寝から起こされて不機嫌な気持ちがあるので早口で言う。

 

 「今日は…なんと…砂漠で一番のご馳走をお持ちしました。見つけるのが苦労しましたよ。砂の中にいるので運が悪いと見つからないんですよね」


 それから10分ほどウインターが持参した食べ物がどれほど美味しいのかと話をした。

 一体何だろう?砂漠の砂の中にいる生き物?まさか…砂・ワームではないよな?あれは食べれるのか。ミミズの巨大化したような外見だし仮に美味しくても食べたくないな。


 「これが砂漠のご馳走です」


 ようやく話を終えたウインターが、左手で持っていた革袋を逆さにする。何と袋から生きたサソリが出てきた。警戒するような動き。全長20cmはある大きな体。赤黒色の体。ザリガニのようなハサミ。手をうかつに出したら大変なことになりそうだ。何より後ろの長い尾が尖っている。これが噂に聞く毒針か。砂の中に逃げようとするサソリをウインターさんはナイフで阻止する。


 「これは…サソリですよね?本当に美味しいのですか?」

 「その反応、やはりこの辺りの方ではないようですね…。味は食べれば分かります」


 もう一つ聞いて見る。


 「万が一、後ろにある尻尾の毒に刺されたらどうなりますか?」

 「死にます」

 「…は?」

 「このサソリの毒は強烈です。刺されたら命はありません。気をつけてください」

 

 毒サソリか。命の危険があるほどの毒を持つ生き物がご馳走か。危険をおかしてまで食べる必要があるのか。島緑の目を見たウインターが慌てて付け加える。


 「このサソリは臆病なのです。サソリから人に近づくことは…滅多にありません。なので砂漠で毒サソリ見つけることはないでしょう」


 滅多に……。砂漠は意外と危険が多いみたいだ。


 鍋にオアシスの水を入れる。次に中にサソリを入れて何十分も茹でるだけだ。味付けは全くない。そのまま食べれるとのことだ。せっかくの好意は無駄にできない。食べてみた。


 「どうですか?」

 「…美味しいです」


 味はエビ?カニ?の様な味だった。日本で暮らした島緑には薄味に感じた。


 「ところで、オアシスに生き物が増えましたね…」

 「家畜の山羊が7頭。最近では鳥も来ます」


 専門に雇った若者に家畜の世話を任せている。

 果実とオアシスの管理も人を雇い対処している。


 水があるところに緑が出来て、生き物が暮らせる環境が出来る。人間は水なしでは生存できない。

 一つ気になっていることを聞く。


 「隣国に行くルートの為の第三オアシスはまだ必要ありませんか?」

 

 今はまだ果物の安定的な供給の方が重要だと釈明するウインター。


 「俺は隣国まで行ってみようと思います。そこで約束通り、ノダル砂漠の中継地点として第三のオアシスをつくりましょう。これまでで最大規模のオアシスを作ると約束しましょう」

 「待ってください。ミドリ殿がいなくなればこのオアシスはどうなってしまうのですか?」

 「お気づきだと思いますが、水は私が生存する限りなくなることはありません。果物も採取しても1日あればまた取れるようになります。何も心配することはありません」


 本当の魔法の事を彼に話す必要はないだろう。

 島緑が隣国に行く理由は一つ。

 隣国アストラ国は野生のワイバーンの産地。

 移動手段の確保と個人的な趣味の為に、どうしても自分だけのワイバーンが欲しい。

 

 

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