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砂漠化する世界でオアシスを創る  作者: 地下水
第一章 砂漠のオアシス
2/43

砂漠

 自分が置かれている状況が全く理解できない。山中でランニングをしていたら霧に包まれた。霧が晴れたと思ったら島緑しまみどりは砂漠にいた。

 うだるような暑さに加えて、太陽の熱ががんがん体を照らす。とても夢だとは思えない。砂を触ってみても本物の感触がある。 


 オカルト雑誌で昔読んだ話を思い出した。外国の話だったはずだ。それによれば、車を運転していた男性が何百キロ、何千キロと離れた場所に一瞬にして移動ワープしてしまったという事例があったそうだ。当時は信じることは到底できずに、ただ面白いなとしか感じなかった。いざ自分が似たような状態になるとまた違った感情が湧く。


 「俺は…鳥取砂丘に移動ワープしてしまったのか?」


 サハラ砂漠やゴビ砂漠の名前が一瞬脳裏に浮かんだ。世界一広い砂漠であるサハラ砂漠はアフリカ大陸、ゴビ砂漠はユーラシア大陸にある。流石にそこまでは移動ワープできるとは思えなかったし、考えたくなかった。

 でも…もし俺が鳥取砂丘にワープしたのなら1日あれば家に帰れると思った。何かの話のネタにはなるかな?

 ポケットに入っている小銭入れの中身を確認する。普段はジュースを買う小銭しか入れてないので残り330円しか入っていなかった。


 「親に電話するしかないか…」


 ひたすら前を歩く。足が砂に囚われて上手く歩けないがそれでも進む。

 歩いても歩いても、見渡す限り砂漠。所々に、緑がある。正式名称は分からないが、砂の大地に根を張る植物は偉大だ。

 海も森も町も見えず、ヒトなどの生物は発見できない。

 なんとなく分かっていた。ここは鳥取砂丘ではなく別のどこかだ。


 「喉が渇いた」


 ペットボトルの水は砂漠に着いてから少しずつ飲んだ。後、一口の量しかない。

 最後の水で俺の生命線。砂漠で水を確保することが容易ではないことは想像できる。

 最後の一口の水を飲んでしまった。


 改めて自分の持ち物を確認してみる。何か役に立つものがあるかもしれない。

 小銭入れとお金が少し。これは今は役にたたないだろう。

 ペットボトル…ただし、中身はない。最終手段として自分の尿を入れてみるか…?

 最後の持ち物の腕時計で時間を見ると16時49分だった。

  

 「今日は砂漠で寝るしかないのか?」

 

 砂漠は昼が暑くて夜が寒いと聞いたことがある。今の恰好は白Tシャツに下着にランニング用の黒のハーフパンツにランニングシューズ。砂漠に住む人の恰好を思い出してみる。薄着の長袖の恰好だったはずだ。直接日光が直接腕に当たる半袖姿。帽子がない恰好は砂漠で過ごすのに適していない。


 ようやく自分が置かれている状況が分かった。

 

 「ここはどこなんだ?誰か助けてくれー」


 誰もいない砂漠で叫んだ。

 

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