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砂漠化する世界でオアシスを創る  作者: 地下水
第一章 砂漠のオアシス
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レニーとレモン

視点がレニーに変わります

 エイモス王国で一番有名なのは誰なのか、と5歳の子供に聞いても同じ答えが返ってくる。『ミリー・ホブズ』エイモス王国民が普段食べているパンはミリー・ホブズが魔法で作り出したものだ。

 彼女が魔法に目覚める10年前は食料が十分になかった。国民は常に飢えていた。ミリーが砂からパンを生みだす魔法に目覚めてから国民は飢えに苦しむことはなくなった。


 ミリー・ホブズに妹のレニー・ホブズという少女がいることは、意外と国民に知られていない。

 レニーは、常にミリー様の妹と呼ばれ名前を呼ばれることがなかった。

 レニーは欲しい物が何でも与えられた。姉のミリーに家が欲しいと言えば豪邸、奴隷のレモン、姉の優秀な部下と何でも与えてくれた。


 レニーは功績が欲しかった。周りから認められたかった。情報屋のケムリに高いお金を払い、ある情報を買った。『ノダル砂漠にオアシスを発見』


 初めて聞いた時はありえないと思った。何度か取引して信用を得てから高い金を騙す詐欺の常套手段。偽の情報を掴まされ、高額な料金を騙し取られたと思った。情報屋のケムリという男は顔を常に隠していて、年齢も素性も不明。ただ、一つはっきりしていることがある。ケムリの情報に嘘はない。独自の仕入ルートれ先があるのか隣国の情勢も詳しい。


 半信半疑に思いながら、飛竜ワイバーンを2度、ノダル砂漠に飛ばしてオアシスの存在を確信した。飛竜ワイバーンは軍事用の竜で一般人は利用できない。ミリーに頼み込み、何とか使うことができた。


 お気に入りの民族衣装を着て奴隷のレモンに、部下の男たちを率いてオアシスに向かった。

 自分の目でオアシスを見て涙が零れた。

 今までの努力が報われると思った。

 オアシスに奇妙な姿の男に、言葉を話すラクダがいた。オアシスは第一発見者のものになるなので、武力で追い払った。何が悪い!私のお気に入りの奴隷のレモンを与えてやったのでヤツも満足しただろう。



 「レモン、服を持ってこい」

 「レニー様。レモンはあの男に移譲させたのでは?」

 

 180cmを超える背丈に鋭い眼光。額には縫った跡がある。姉の元部下で、今は私の手足となり動いてもらっている。


 「失敗したな…。ジン、オアシスの調査を始める。水の量、周囲の木の種類、分かる情報全て調べて報告しろ!」

 「はっ!お前らついてこい」


 ジンは仲間を引き連れて調査に行った。

 

 「ここは涼しい。暑い砂漠の中とはとても思えん。それにリンゴの木があるな。どれ一つ食べてみるか。レモン…」

 

 レモンがいないことを思い出した。全部あの異国の男が悪い。

 仕方がなく、自分で木から1個とり食べる。今まで食べたリンゴとは比べられないくらい甘く、美味く感じた。


 「レニー様報告します」

 「ジンよ、リンゴは食べたか?」

 「いえ、許可がないので」

 

 レニーが食えと命じたのでジンは口にする。


 「これは!」

 「美味いだろ?」

 「レニー様っ!!」


 ジンは食べかけのリンゴを投げ捨て、レニ―を守るように徒手の構えをする。レニーの目の前に、朝方別れた異国のミドリがいた。


 「なっ!?どこから現れた!待て、レモンはどうした?まさか…置き去りにしたのか?許さんぞ。私のレモンを!!」

 「第二の楽園オアシスから来ました。…第一楽園オアシスを返してももらえませんか?」

 

 ミドリの指先を見ると砂漠の地に緑と水が見えた。ありえん!ここ以外にオアシスがあったのか?いや、来るときはなかったはずだ。

 私が混乱しているとミドリは消えて、レモンと人間と会話する奇妙なラクダを連れて再び現れた。


 「彼女レモンはもう奴隷ではないですが、お返しします」


 レモンが私の元に戻りたいと訴えてきた。自己主張をしない大人しい子だと思っていたのに。


 「レニー様、お聞きください。ミドリは水の魔法使い様なのです。このオアシスと向こうにあるオアシスはミドリの魔法で創造されたものです」

 「それがどうしたっ?あいつを捕まえろ!」


 突如オアシスは消えて、私たちの足元の感覚が消えた。冷たい。全身が水で冷える。

 どうやら私は水の中にいるらしい。


 「うっぷ。溺れる。誰か、私を助けろ」

 「レニー様、深くありません。オアシスの底に足がつきます」

 

 ミドリに忠告されて足が底に当たることが気が付いた。


 「もう、俺と争うのは止めませんか?貴方たちでは俺に敵いません…。オアシスを利用することは隊商キャラバンのウインターさんに許可しています。レニー様も使いたいなら許可しますよ?」


 なぜ一方的に従わなくてはならないのだ。ジンを見るが首を横に振っている。どいつもこいつも肝心な時に役に立たない。仕方がない、今は従ってやる。 



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