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砂漠化する世界でオアシスを創る  作者: 地下水
第一章 砂漠のオアシス
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プロローグ

 肌が焼け付くような暑さの中、俺は山中で日課のランニングをしている。腕時計をチラ見する。16:33と時計の針は時間を教えてくれた。

 3カ月前から始めたランニング。最初より走ることに慣れて、長く走っても疲れにくくなった。目に見えて成果が表れるのでつい嬉しくなる


 「はぁ…はぁ…そろそろ…休むか」


 山道の隅の木陰に入り、息を整える。涼しい風が時折吹いてとても気持ちがいい。

 白Tシャツとパンツは汗で水をかけたように濡れている。額からは汗が零れ、前髪は汗で湿り気持ちが悪い。

 山に入る途中に自販機で購入した水のペットボトルを飲む。冷えた水が喉を通り胃に染みわたる。暑い中走り、体の中の水分が汗として排出されて喉が渇いていたので、水を一気に飲んだ。


 「はー、走った後に飲む水は一段と美味いな」


 島緑しまみどりは今年大学生になったばかりの男だ。4月から心機一転するためにランニングをすることにした。ランニングはお金がなくても、走る意思さえあれば誰にでも出来るのでお金がかからない趣味として気に入った。


 十分程休憩をしたので汗も引いてきた。家に帰ったらシャワーを浴びて汗を流そう。腕時計を見る。16:33と休憩する前と同じ時間で針は止まっていた。


 「まさか壊れたのか?それとも電池が切れただけなのか?」


 俺は意識を腕時計に集中していたせいで周囲を見ていなかった。

 時計から目を離すと周囲はいつの間にか白い霧で覆われていた。


 「うわぁあ!?いつの間に!」


 1mメートル先が白い霧で全く見えない状態。この山道は3か月間通ったランニングコースでよく知った道だ。だが、下手に動くと転ぶ危険性が高いと思い、動かないで同じ場所にいることにした。

 すぐに霧も晴れていつもの様になるさ。その時はそう考えていた。体感時間で10分過ぎても1時間が過ぎても霧は晴れることはなかった。腕時計は相変わらず故障しているようで針は止まったままだった。恐らく今の時間は午後6時くらいだろう。7月8日と夏の季節だがあと1時間もすれが日は落ちる。


 「俺がいる場所が偶然霧が濃いのか?」


 島緑しまみどりがいる所だけ霧が濃くて少し進めば霧は晴れるのではと考えた。

 視界が悪い中転ばないよう来た道を慎重に戻ることにする。


 「おかしいなぁ…あれから2時間以上は歩いてるはずなのに景色は変わらないし、霧も晴れる気配がない。ここが何所なのかもわからない。遭難したのか…?」


 つい独り言が出てしまう。話してないと不安なのだ。

 虫の鳴き声も風の音もないことが一層不気味に感じた。

 腕時計を見ると15:33と針が動いていた。


 「どうなってるんだ?」


 視線を腕時計から周囲に向けると眩しい光が目に入り、つい目を閉じてしまった。

 目を開けると俺は山中にいるはずなのに、辺り一面砂漠が広がる場所にいた。


  

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