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20××年6月17日 経緯と準備

 下村から北欧の土産とやらで、植物の種を貰った。

 あいつが言うには、「マンドラゴラの種」だとか。

 そんな馬鹿な。本物のわけがない。どうせジョークグッズとかだろ?

 と、その場では笑ったが、マンドラゴラではないにしても植物の種であることは間違いないらしい。

 生まれてこの方、小学校の朝顔くらいしか育てたことがないので、収穫まで成長させるより途中で枯らす可能性のほうが高いが、せっかくの土産なので育ててみることにする。


 マンドラゴラ。

 ファンタジーの世界ではお馴染みの植物だ。

 薬草のたぐい? 根を煎じて不老不死の薬にしたり媚薬にするというから根が食用なのだろう。

 根菜類、カブや大根の仲間なのかもしれない。そうすると野菜なのか?

 よくテレビや漫画で見るマンドラゴラは人の形をした茶色、もしくは白い根っ子である。

 あれを味噌汁にして食いてぇ、とかサラダにしたらオシャレでヘルシーかも、とは思わないのだがなぁ。

 良薬口に苦しというし姿形は関係ない気もするが、あれを薬とはいえ最初に口に入れようとした人の精神状態を知りたい。

 相当なブラックな仕事場で働かされ、追い詰められていたのではなかろうか。

 いっそ死のう、死ねそうなもの口に入れようとしてマンドラゴラ食べてみたら死ねなかった! 寧ろ不老不死になっちゃった! 的な悲喜劇があったのではなかろうか。

 だって不気味だし、あの見た目。


 北欧土産の「マンドラゴラの種」は至って普通の種だった。丸い粒で、大きさは小指の爪より小さい。

 触るのも躊躇う紫色をしているとか、種の表面にシワが寄り人の顔に見える、ということは全くない。

いたって普通。そして黒い。


 とりあえず育て方が分からないのでネットで検索してみた。

 マンドラゴラなんてファンタジーな植物の栽培方法は、いくらネットでも載ってないだろう。

 カブとか似たような植物を参考にすれば良いかと、期待しないでパソコンに向かう。


 あった。

 あったよ!

 何気に一般家庭で栽培されてたよ!

 世の中には知らないことが多いもんだな!

 庭や畑で育てるのが一番良いらしいが、プランターでも大丈夫そうだ。

 雛子がベランダガーデニングに嵌まって飽きて放置したプランターを持っていたはずだから、明日貰ってくることにする。

 あいつのことだから意地張って「ま、まだ花育ててるし」とか言ってごねるかもしれないが、わざわざ買うのも勿体無い。

 どっか水族館でも連れていけばご機嫌になるだろう。面倒くさ。


 そうと決まれば明日は午前中から雛子の家だな。

 

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