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最強無敵のユーミルファナー  作者: 王国民
1章 英雄誕生
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続・魔法の訓練

 息子の天才ぶりに我を忘れて、ご近所の皆様に迷惑を掛けていたセレスティーナをメイドたちが止めた。

 気を取り直したセレスティーナは、息子の魔法の練習を進める。


「いい? 集めた魔力を使いたい属性に変換するのは、魔方陣に組み込むの」


 セレスティーナは手本を見せるように右手を突き出す。その手の前に赤い光を放つ魔方陣が出現した。

 複雑な模様と文字が書かれていて、レオンハルトにはさっぱり理解できない。首を傾げて魔方陣を見つめている。


「これは解りやすく色が付いてるけど、熟練になると色を変えたりするから惑わされないようにね? 色が属性で模様が属性を決めるからね。書かれた文字が古代魔法文字で呪文になってるの。まずは古代魔法文字を覚えないとね!」


 さらりと魔方陣を構築したが、普通の魔法使いは数十秒は掛かり、熟練の魔法使いでも10秒は掛かる。

 熱心な顔で母の魔方陣をジーっと見ていたレオンハルトは、同じように右手を突き出すして魔方陣を構築した。


「おかあさん、できた!」


 母のやり方を見て、瞬時に魔方陣が魔力で書かれていることを見破り、(えが)いてみせた。

 その息子の姿に、セレスティーナはぷるぷる震えたかと思うと、大きく息を吸い込んだ。


「うちの子ォォォォ! ほんとに天才なんでむぅぅぅぅ!」


 メイドに口を塞がれた。

 レオンハルトはまったく気にせず魔方陣を突ついている。

 その後ろではセレスティーナとメイドたちのガチバトルが始まっていた。


「はあっ、はあっ、分からず屋のメイドたちだわ! 息子の自慢をして何が悪いのよ~」


 魔力の鎖でメイドたちを拘束してから、膨れっ面でブツブツ言っている。

 これが英雄の成れの果てだと思うと、泣き出す人間が居そうだ。


「ぼっちゃまはスゴいですね~。さすがぼっちゃまです!」


 ピアが撫でていた。


「こらっ! なに抜け駆けしてるのよ! 私のことは止めたくせに~」


 ピアの頬っぺたをツネッて息子から離す。


「ねえー! おかあさん、早く教えてよ!」


 魔方陣に飽きたレオンハルトが魔法の説明を求めると、セレスティーナは笑顔に戻り、息子を抱き締めて頬擦(ほおず)りした。


「レオ~、あんた天才ね~。お母さん嬉しいわ! 最高の魔法使いにしてあげるからね~。…………あまりの天才ぶりに自信無くすけど」


 母としては嬉しくても、魔法使いとしては複雑な心境らしい。


「じゃあ、魔方陣を書いたあとは、魔法の名前を唱えると発動するからね。……ファイアブリット!」


 再び魔方陣を構築し、魔法を唱えると、魔方陣から直径5センチほどの火の弾丸が複数飛び出した。

 かなりの早さで飛んで行く弾丸が、あらかじめ張っておいた結界に当たって消える。


「……この部分が魔法の名前、ここが魔法の内容を表してるの」


 レオンハルトの構築した魔方陣の文字を()して説明する。


「込めた魔力によって威力が変わるから気を付けようね? あと、自分の魔力だけだと威力は弱いけど魔方陣が早く書けるよ。魔力を取り込んで変換する手間が省けるからね。この部分を描かなくてすむの」


 今度は魔方陣の模様の一部を指差す。

 どうやらその部分が魔力変換のための回路のようだ。そこから魔力を流すと、使いたい魔法の魔力属性に変換される。

 母の説明を理解したのか、魔方陣に魔力を注ぎ込んだ。

 それを見てセレスティーナは顔を青くした。


「まっ」


「ファイアブリット!」


 セレスティーナが制止の声を発する前に、レオンハルトの魔法が発動した。

 慌てた様子で魔方陣を構築するセレスティーナをよそに、レオンハルトの魔法が飛んで行くと、威力が強すぎたらしく結界を粉々に破壊してしまった。


「マジックキャンセル!!!」


 セレスティーナの魔方陣が飛んで行き、街に被害を出す寸前だったレオンハルトの魔法に命中する。

 火の弾丸を包み込んだ魔方陣ごと魔法が消失して、大惨事は回避できた。


「ああ~、消えちゃった~」


 レオンハルトは自分の魔法が消されて残念そうだが、セレスティーナとメイドたちは冷や汗を掻いている。


「初級魔法で結界を壊すなんて……あの一瞬でどれだけ魔力を込めたのかしら?」


 息子の力に戦慄するセレスティーナ。


「でも、レオったら天才すぎ!」


 魔法が消されてうなだれる息子の背中を抱き締めて喜ぶ。

 親バカの見本のような母親だ。


「とにかく! 魔力は込めすぎないようにね?」


 さすがにメイドたちの視線が痛かったらしく、レオンハルトに注意する。


「わかった! きをつけるよ! おかあさん、リアに見せてきてもいい?」


 早速、覚えた魔法をフィーリアに見せに行こうとする。


「まだダメ! コントロールがちゃんとできるまで、お母さんの居ない所で魔法は使わないようにね?」


 威力調節ができないと、街中(まちなか)で魔法は危な過ぎるので、当然の判断だ。


「リアちゃんだって魔法の練習してるんだよ? ちゃんとできないとカッコ悪いでしょ?」


 男の子はカッコ悪いのが大嫌いなので、こう言われると弱い。


「……わかった。ちゃんと勉強する」


 しぶしぶ納得したレオンハルトは、決意を新たに魔法の練習を続けた。

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