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最強無敵のユーミルファナー  作者: 王国民
2章 王立養成学校
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謎の女性

本日2度目の更新です。

 教官たちが生徒の無事を確認している間に、レオンハルトは吹き飛ばされた人を捜しに行く。

 一応、防御魔法が掛かっていたので大丈夫だったらしく、1キロメートルほど先で見付かった。

 恐怖のあまり気絶して──気絶したから吹き飛ばされたのかもしれないが、怪我をしている者も居なかった。

 レオンハルトが揺すって起こすと、恐怖に顔を引きつらせて謝り出す。


「ひっ。スミマセン許して下さい!」


「これからは破壊神を信仰しますから命だけはお助けを!」


「子どもだと思って(あなど)ってました! お許し下さい破壊神様!」


 レオンハルトの表情が曇り出すと、粗相をしたと勘違いした上級生たちは、レオンハルトを言葉でますますイラつかせる。


「オレは破壊神じゃないんだけどな」


 眉をぴくぴくさせているが、何とか我慢しているらしく、レオンハルトの声が震えている。

 その言葉に青ざめた上級生たちは土下座をし始めるが、レオンハルトは早く帰ってフィーリアに会いたいので、転移魔法を発動させた。


「もういいですから、先輩たちも魔法陣の中に入って下さい」


 慌てて従う上級生たちが魔法陣の上に乗る。


「トラベルゲート」


 魔法陣が足下から上昇して、範囲内に居たレオンハルトたちを光で包む。

 レオンハルトたちの身体が光を帯びて、その光が弾けるように消えた瞬間、フィーリアたちの居る場所まで戻っていた。


「レオ君、おかえりなさい。センパイたち大丈夫だった?」


「大丈夫だぞ。怪我もないからリアの神聖魔法も使わなくても大丈夫だ」


 勢いを付けて抱き付いてきたフィーリアを受け止めて笑い掛ける。


「全員無事だったか!」


 マーティス教官が人数を確認し、ホッとして深い息を吐く。


(すさ)まじい爆発だったから心配したぞ。ここが無事だったんだから大丈夫なのは当たり前だけどな」


 教官たちが生徒たちの怪我のチェックを終えて、遺跡の在った場所を探りに向かう。

 危険があるかもしれないため、生徒たちは上級生を含めて待たせておく。


「クロス。何か有ったら転移魔法で報せに来てくれ」


「分かりましたけど…………オレも行かなくて大丈夫ですか? 何か有ったら逃げれるし」


 いざという時を考えるなら、転移魔法を使って安全圏まで逃げることができるレオンハルトが居るかどうかで危険度が違ってくる。


「安全かどうかを調べに行くんだ。生徒は連れて行けない。万一私たちが帰って来ない場合は転移で学校まで帰って報告を頼む。上級生は下級生の面倒をしっかり見ろ」


 そう言い含めて、教官たちは山が在った場所に歩いて行った。





「レオ君レオ君」


 教官たちが向かって20分ほどして、フィーリアがレオンハルトの袖を引く。


「ん? どうしたんだ?」


「強い魔力を感じるんだけど」


 不安そうな表情で呟く。


「強いってどれくら──確かに凄い魔力だ」


 レオンハルトも遅れて気付く。


「リア! 学校まで皆を送ってからオレは遺跡に向かう!」


「わかったよ! 気を付けてね」


 瞬時に決断したレオンハルトのサポートをするために、フィーリアが杖で大きな魔方陣を描く。

 全て魔力で作るより、魔力を流すだけで済むので消費が少なくなることを、レオンハルトと遊んでいる時に発見した。

 具体的にはフィーリアが描いた魔方陣に、フィーリアの魔力を流して、レオンハルトが魔力を足す。

 魔力で魔方陣を描かずに地面に描くため、図形という媒体を利用するので協力して魔力を流せるようになる。

 発動場所を限定するので研究されていなかった技術だが、転移魔法などには便利だ。


 時空魔法に分類される転移魔法は難しい上に魔力消費が激しく、使い手が少ない。

 研究があまりされていないので、いろいろ試したところ、この方法なら大きな魔方陣を描けば、レオンハルトの魔力で大勢を運ぶこともできる。


「描けたよ! えっと、皆さんはこの魔法陣の中に入って下さい。レオ君は魔力溜まった?」


 レオンハルトも周囲の魔力を集めて魔力を流し終わる。


「それじゃ、リア。説明は任せた! トランスポーター」


「レオ君も気をつ」


 フィーリアは最後まで言えずに転移した。


 トランスポーターは、他人や物を送ることに特化している。

 トラベルゲートのほうは目視できる範囲の移動に適した魔法だ。


「よし。安全な場所に送ったし、教官たちの所に行こう」


 今度は自分が転移する。

 景色が急に変わり、レオンハルトの目に飛び込んだ光景は、瓦礫の山の上に倒れる教官たちと女性の姿だった。

 教官たちを見下ろす赤い眼、前髪を切り揃え、金色の髪を腰まで伸ばしている。

 薄い青色のライダースーツのような服を着た女性だった。


「強力な魔力反応ですね。次のお相手は貴方でしょうか?」


 レオンハルトに向き直り、確認するように問い掛ける。


「教官たちを倒したのはお前か?」


「はい。敵性を確認しましたので、無力化させて頂きました」


 真面目で丁寧な言葉は敵意を感じないが、強力な戦士であることは確かなので、レオンハルトは構えを取った。

 横目で倒れた教官たちの無事を確認するのも忘れない。


「敵性を確認しました。排除させて頂きます」


 拳を握り、地面を抉るほどの脚力で突進してきた女性を、レオンハルトも拳で応戦する。

 攻気功を纏ったレオンハルトの拳と女性の拳がぶつかり、衝撃波が発生する。


「教官たちを巻き込みたくない。場所を移動するけどいいか?」


「構いません。弱者を巻き込みたくないのは同意見です」


 拳を打ち合わせたままトラベルゲートで移動する。


「それじゃ本番だ!」


「はい」


 高まる2人の気功と魔力が激突して、大地が裂け始めた。

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