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最強無敵のユーミルファナー  作者: 王国民
1章 英雄誕生
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魔力の利用法

「ところで若、魔法剣って何です? 魔法を合成するっていうのも初めて聞きましたが」


 レオンハルトが落ち着くまでゴブリンの牙を剥ぎ取っていたダレンが訊く。

 魔法の属性は魔方陣の模様で決まるので、合成を(こころ)みた人間は居なかったのだ。


「ん? 魔方陣を少し変えて呪文もアレンジしたらできたけど?」


 レオンハルトはお絵描きが好きなので、魔方陣の模様を必要な部分だけ残して合成したのだ。

 呪文も魔法の効果を端的に現しているので必要な部分を繋げたり変えたりしたようだ。


「攻撃魔法を剣にまとわせたらカッコいいと思ったんだ。それで付与魔法なら身体に使えるから、そこを変えたらできるかなって。まだ火魔法しかムリだけどね」


 天才の適当なセンスは恐ろしい。


「さすがはぼっちゃまです! 歴史に名前を残す偉人たちができないことを易々(やすやす)と。今日はぼっちゃまの好きなオヤツにしましょう!」


 ピアは歴史的快挙もレオンハルトのことに比べればどうでもいいらしい。


「レオ君はスゴいなぁ。おいてかれないようにリアもがんばるね!」


「いや、凄いっちゃあ凄いんですけどね。若、なるべく人前では使わないでくださいね。国が黙ってないですから使う時は確実に止めを刺すか国より強くなってからで」


 ダレンの心配ももっともである。


「わかったよ。それでダレン。ゴブリンから魔力が吸収されなかったけど何で?」


 ダレンの冒険者証(ライセンス)に吸収されずに空気に溶けていったのが気になったらしい。


「俺が倒した訳じゃないですからね。止めを刺した人間のライセンスに吸収されるんです。そうでない魔力は世界に漂っていて、それを魔法に利用してるわけです。ライセンスに吸収されるのは登録の時に識別のために自分の魔力を記録しているからだそうです。この世界に生きる者はみんな魔力を持ってますし、魔力パターンが違いますから」


 生き物が死んで魔力が世界に還る。そうして世界の魔力は循環している。


「さて、ゴブリン退治の依頼も終わりましたし、冒険者ギルドに向かいますか?」


「おなかへった~」


 街に帰るとなったら急に腹が減ってきたのか、レオンハルトのお腹がグーグー鳴った。


「レオ君のおなかの音だいすき!」


 何が面白いのか、フィーリアはレオンハルトの腹の虫が鳴くたびに喜ぶ。

 今日もお腹をつついて楽しげだ。


「それではお昼ご飯はギルドでお弁当を食べて、お夕飯はぼっちゃまの好きな物を作ってもらいましょうね」


 グーグー鳴った音を聴きながらレオンハルトたちは冒険者ギルドに急いだ。



 冒険者ギルドの受け付けに並び、順番を待つ。

 レオンハルトが我慢できないのでピアがお弁当を出して、それをフィーリアと一緒に食べる。

 2人が肉を避けていたのを、ピアは少し心配している。


 レオンハルトが食べ終わる前にダレンの順番がきたので、お弁当の蓋を閉めて受け付けに向かう。


「ゴブリン退治をしたんだ。報酬を頼む」


 ライセンスとゴブリンの牙を出しながらダレンが用件を伝えた。


「かしこまりました。少々お待ち下さい」


 受け付け嬢はライセンスを受け取り、機械に通した。

 空中に透明なスクリーンが現れて文字と数字が浮かび上がった。


「ゴブリン7匹ですね。牙は現在数えていますからお待ち下さい」


 牙のほうは別の受け付け嬢が数えている。

 レオンハルトとフィーリアに対してもニコニコ笑顔を向けている。子どもが居ても疑問は挟まないらしい。


「お待たせしました、ダレン様。まず、討伐依頼の報酬が3000リラ。牙の買い取りが72匹分で7200リラ。魔力の買い取りが7匹分で70リラ。合計1万270リラです」


 ダレンは報酬を受け取り、外に向かって歩きながら説明する。


「さっきの機械に通すと魔力を吸い出して、どの魔物の何匹分かが判るんです。その魔力は街にある魔道具の動力として利用されます。利用者は使った分の料金を払っています。その一部が報酬として払われるんです。今回はゴブリンなんで大した金額じゃないですけど、魔力の多い強力な魔物とかだと高いですね」


 ピアに手を引かれながら家に向かう。


「魔力は街の街灯とか水を出す魔道具、水精霊の宝珠なんかの動力として使われ、街の人たちの暮らしに役立っています。若たちの屋敷にもいろいろな魔道具がありますよ。一月ごとに利用料金を払っています」


 魔道具は高いので富裕層しか持っていない。

 街にある魔道具は公共施設に使われて、街の人が料理の種火や水を利用して生活している。


「冒険者に限らず騎士や兵士なんかもデザインのちがうライセンスを持っているので、魔力には困らないわけです」


「ダレンさん、ダレンさん。熱弁しているところを悪いですけど、ぼっちゃまもリア様も退屈で寝てしまいました」


 ダレンが振り返ると、ピアの腕の中ですぴすぴ寝ているレオンハルトたちの姿があった。

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