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最強無敵のユーミルファナー  作者: 王国民
1章 英雄誕生
12/31

冒険者ギルド

 ダレンとの勝負の翌日、2人は早起きして装備に身を固めていた。

 あまりに早く起きたために、一緒に寝ていた両親も起こしてしまい、食事の時間まで両親に叱られていた。

 早寝早起きは大事だが、疲労を残すのは冒険者として間違いだ、と。


 朝食を食べ、2人は屋敷の庭で待ち合わせをしていた。

 レオンハルトは我慢できずに、時間より早く庭に出て訓練をしていた。

 ピアもぼっちゃまのお世話が必要ですから、と言って依頼に付いて来ることにした。


 レオンハルトの身長に合うように作った鉄剣を腰に下げ、急所を守れるように軽い魔法銀(ミスリル)の胸当てを付けて、レオンハルトは庭を走り回っていた。


「ぼっちゃま。そろそろリア様がやって来ますから汗をお拭きしますねー!」


 呼ばれて駆け寄ると、ピアがメイド服のエプロンのポケットから取り出したハンカチで汗を拭いた。

 汗を拭き終わり、ピアとベタベタしていると、セレスティーナと自慢の大剣を背負ったダレンが屋敷から出て来てレオンハルトに声を掛けた。


「レオ、気を付けていくのよ? お水は浄化してから飲んでね? ケガなんかしちゃダメよ?」


 セレスティーナも付いて行きたがったが、ダレンが勉強にならないと止めた。

 水も屋敷で浄化している物なのに、飲む前にも浄化するようにとの念の入りようだ。


「姉御、だから水は川で見付けますって」


 普通は準備していくのだが、勉強のために水がなくなった時を想定して、水を見付ける訓練をしようと考えていた。

 近くにしか行かないので、大丈夫だと解っているはずだが心配性だ。


「持っていくだけだからいいでしょ?」


 ダレンが言い返そうとしたところで、フィーリアとエステルがメイドを連れてやって来た。


「セレスは相変わらずね~。レオ君なら大丈夫」


「そうだよ? レオ君は強いんだから」


 母娘揃ってユルい。

 女性陣が話し込んでいると、レオンハルトが早く行きたがったので出発する。


「お夕飯までには帰るのよー!」


「あらあら。遊びに行くみたいね~」


 母とメイドたちに見送られて街に繰り出した。


 フィーリアがいろいろな店に興味を向けたが、レオンハルトが冒険者ギルドを早く見たいのを察して我慢する。

 昼に近いので人出も多く、レオンハルトやフィーリアにとっては壁みたいだ。

 ダレンが空けた道をピアに手を引かれて歩いて行く2人は、活気の(あふ)れる場所に着いた。


「着きましたよ。若、お嬢。ここが冒険者ギルドのグランフォード支店です」


 喧騒に驚き、キョロキョロしていた2人が顔を上げると、漆喰の塗られた大きな建物が在った。

 ダレンが両手で扉を開くと騒ぎがピタリと止み、武具を身に付けた屈強そうな戦士たちが警戒感を出す。

 荒っぽい者が多い冒険者なので、危ない奴が入って来ないか警戒しているのだ。


「へ~! ここが冒険者ギルドか~。強そうな人がいっぱいだ~!」


 レオンハルトの言葉に内心喜ぶ冒険者たち。頬がピクピク動いて得意そうに胸を張る。


 ──若のほうが強いんですけどね。


 ダレンは苦笑いだ。

 見た目で強さは決まらないと教えなければ、とでも考えているんだろう。


「さあ若。掲示板に行きましょう。依頼が貼ってあります」


 19歳と若いが、ダレンはこの中でもレベルが高い。

 だからか、行く手を遮らないように皆が避けてくれるので、小さな2人だけでなく、ピアも助かっていた。


「ダレン君が有名でよかったですね。ぼっちゃまのために排除しなくてすみます」


 物騒な理由だったが。


 掲示板にたどり着くと、ダレンがレオンハルトを抱き上げた。


「見てください。貼ってある紙に依頼内容が書いてあるんで、この中から自分の条件に合った依頼を受けます」


 見え(やす)くなったからか高いからかは知らないが、レオンハルトは嬉しそうに足をプラプラさせた。


「ねえねえダレン、このレベルって何?」


 指を差し、後ろのダレンに訊く。やはり嬉しそうだ。


「これは依頼の難易度です。冒険者にはレベルがあってギルドが認定しています」


「なんいどって何? にんてーは?」


 さすがに6歳には難しいらしい。


「えーと、難易度は依頼の難しさ。認定はギルドがこのくらいの実力がありますよ、と保証……大丈夫と言ってくれてるわけです」


 フィーリアも理解したのかコクコクする。たんにレオンハルトの真似をしているだけかもしれないけれど。


「冒険者レベルは0からで、上限……1番上はレベル100です」


 冒険者レベルは実力と貢献度で決まり、実力は倒した魔物などから判断されたり、戦闘試験と筆記試験で実力を示すとレベルが上がる。

 筆記試験では知識を試されるので、冒険者レベルは戦い以外の実力も示している。

 貢献度は請けた依頼が、レベル以上に高難度だったり、請ける人間が居ない依頼を引き受けると普段より上がりやすい。


「ちなみに若のお父さんたちはレベル82です。途中で引退して国に仕えてますしね」


 引退はレオンハルトが産まれる時だが、若いにも関わらず高レベルなのは、レオンハルトが産まれる1年前の戦争で活躍したからだ。

 ダレンはその戦争で親を喪い冒険者になった。村を襲撃され、親と一緒に殺されるところをエルネストたちに救われた。


「旦那たちに拾われて、パーティに置いて貰ったんですよ。若とお嬢が産まれた時に国からの勧誘で武術指南役になったんです。俺も若の護衛に誘われたんですが、冒険者を続けて実力を(みが)いたんです」


 実力を付けてから護衛を請けたのだ。エルネストは護衛より遊び相手のつもりだった。


「俺の昔話はこのへんにして、冒険者の仕事を始めましょう。俺の冒険者レベル、39以下の依頼しか請けれません」


 レオンハルトが魔物退治が見たいと言ったので、冒険者レベル1の依頼、ゴブリンを5匹退治するものを選んだ。

 本来なら高レベル冒険者が低レベルの依頼を請けるのはマナーが悪いとされているが、ゴブリンなどの繁殖力の高い魔物退治の依頼は常に出ているので問題ない。


 依頼書に常時依頼と書いてある物は、他の冒険者とかち合ったりしないので剥がして受付に持っていく必要がない。

 常時依頼でない物は剥がして持って行き、詳しい説明を受けてから出発する。


 4人は冒険者ギルドをあとにした。

感想とかアドバイスは歓迎です。

自分では気付かないこともあるので。

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