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人間界を救いに行きます?!  作者:
1章 いざ行かん!人間界へ!
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8

師匠の後を追うと地面に魔方陣が描かれていた。

これは一時的なものではない。特殊な魔術により形成されており、半永久的に使用できる。

この魔方陣が作動することでゲートが開く。そして魔方陣を起動させられるのはこの中で師匠だけである。


師匠は魔方陣をぐるっと一周して異常がないか確認しているようだ。半永久的とはいえ、長年の風化により紋章や呪文が掠れていたら正常に作動しないから。

そして師匠が「よし」と言って、俺らに振り返る。


「じゃあ始めるよ。君たちは俺の後ろにいてね」


ちなみに師匠を先頭に、やや後方に俺らは一列に並んでいる。


左から、俺、シンシア、あとシンシアお付きの少年。

そういやこの少年のことを聞いていなかった。シンシアとヴィルフェルラ家の話があまりに壮大で忘れてしまったようだ。

あとで、お互い自己紹介としよう。



俺がそんなことを考えていると、師匠が前を向き大きく息を吸い込む。そして息をゆっくり吐き出した。その直後空気が変わった。


さっきまで全く無風だったのに、突如として風が吹き始めたのだ。

それだけではない。魔方陣が微かに輝いている。


明らかに異常ともいえる雰囲気。しかし師匠は動じない。

真っ直ぐ魔方陣を捉え、詠唱を開始する。すると師匠の体も淡く光輝きだす。

師匠の神力に呼応するようにして魔方陣の輝きも激しくなっていく。


風が師匠に吸い寄せられるように集まっていく。やがて、それは光を纏って一束の光幕を形成した。


「我、ムール・アグリムの名に於て命ず。異界へ繋がりし堅扉、今此処に開かん!」


師匠が両手を掲げた瞬間、光幕がゲートに一直線に向かい衝突した。

直後、強烈な閃光が拡散し、逆風が俺らを襲う。

地響きを伴い、まともに立っていられない。

隣のシンシアも顔を歪めて衝撃に堪えている。お付きの少年といやシンシアの腰にしがみついて、吹き飛ばされないようにしていた。



やがて、光と風が収まり、辺りは静寂に包まれる。


目を凝らすとそこには直立不動の師匠。

始めから微動だにしていない。流石七賢者だ。


師匠の先、ゲートは扉が開いていた。


「……ふぅ」


安堵した様子で師匠が振り返る。額には汗が滲み、この魔術が如何に難関なものかを示している。


「扉は開いた。この扉も1分で閉じちゃうから、さぁ早く行くんだ」

「ああ!」「ええ!」


俺とシンシアふたり頷く。

そしてゲートの前へ進む。


「ふたりともくれぐれも気をつけて」


師匠が俺らを見据えて言う。


「シンシア。君には心配は無用だと思う。己の力を信じ、己の意思を貫くんだ。そうすれば必ず道は拓ける」

「はい!」

「そして……ベル」


師匠が俺に振り向く。


「君はまだ未熟者だ。だが、君の正義と人を想う気持ちは立派だ。決して自分を見失うな。そして自分が正しいと思う事を迷わずすること。大丈夫、君ならきっとやり遂げられる!」


優しく温かく、笑ってくれる。

俺は強く頷き返す。



シンシアを見る。あちらも俺を見ていた。


覚悟はできた。あとは踏み出すだけだ。


俺はシンシアに向かい頷く。


シンシアは連れの少年を伴い、ゲートに消えていった。


ゲートは白く輝いているが、明らかに光量が落ちている。間もなく閉じようとしているのだ。


俺は後ろを振り返り、師匠に手をあげる。


「師匠、行ってきます!」


そしてゲートの中へ。直後、俺の身体は光に包まれる。

師匠の声は聴こえなかったが、俺にエールを送ってくれているのが伝わってくる。


一歩一歩確かに踏み出す。


「いざゆかん!人間界へ」


高揚する気分を抑えきれなくなり、俺は叫ぶ。



魔王から人間界を救うための、壮大な旅が始まった。



第一部 完。です。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


次回は人間界から始まります。

メインヒロインの巫女様登場です。


続きも、また一読戴けたら嬉しいです!

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