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反面世界  作者: 円周率
3/5

第二話 それぞれの一週間(神崎遥斗Side)

 昨日あのようなことがあったので、入学したばっかりだか一週間休みになった。

 照井先生が言っていたように、校舎が傾いたのは地盤崩壊が原因だった。

 勉強と言っても、午前中に終わってしまったのでやることがない。

 よし本でも買いに行こう。

 そう思ったのは季節外れの雪が降り始めたときだった。

 おれは財布などを持って近くの「みかんや」という本屋へ向かった。

 平日ということもあって本屋にはあまり客がいない。

 おれはいつもどおりライトノベルが売っているところへ移動し、なにかいいものはないかと探し始めた。

 と、探し始めていた時ライトノベルのコーナーの一角にひときわオーラを放つ本があった。

 その本を手に取ってしばらく読んでみると、内容は主人公がある日突然異世界から来た幼女に助けを求められ、その世界を助けるためにやってくる敵を倒していくというものだった。しかし、実際の目的は違って……というものだった。

 うん、異世界関係か……おれは基本日常系のラノベが好きなのでそれらを読んでいるが、たまにはほかのジャンルにも手をだしてみるか。なんか運命を感じたし。

 初めてだが最後まで読んでみよう。

 そして、その本と他の揃えているシリーズの本などを買うためレジに向かった。

「いらっしゃいませ。……また来たんですね」

 店員が話しかけてきた。ここの店にはかなり来ていて、この店員とはいろいろあったので顔見知りになった。

「まあな、勉強が終わって暇だから来た。そしたら、また運命の出会いをしたんだ」

「合計で3141円になります。ほんと、神崎さんは暇ですね……うらやましいです。私なんてほぼ毎日こうしてレジ打ちばかりで」

「オイオイ……はい3141円ちょうど」

「レシートのお返しです。ありがとうございました。雪が降っているので気を付けてくださいね」

 外に出ると家を出てきた時よりも雪が強く降っていて、場所によってはうっすら積り始めていた。これは積もるな。早く帰ろう。そう思いながら家にむかっていた。

 交差点でとまっていると、背後から視線を感じた。

 振り返ってみてみるがそこには誰もいなかった。おかしいと思ってよく見てみると建物の間の路地に捨てられた犬がいた。

 さっきの視線はこの犬だったらしい。

 しかし、どうしよう。拾うか見過ごすか。

 周りの忙しい通行人はその犬が見えていないかのように、平然と通り過ぎていく。

 それとも、見えていても見て見ないふりをしているのかもしれない。

 その時、幼いころの辛い記憶がよみがえってきた。

 そうだよな、そうだよな、おれは何を迷っていたんだ。あの時、自分に誓ったじゃないか、助けられる命に自分ができるだけのことはしようと。

 おれはその犬のところへ向かった。そばに近づくと段ボールの中に薄い毛布が一枚敷いてあるだけだった。

 そして、そこには「だれか心優しい人 この子犬を拾ってください」とだけ書いてあった。なんて無責任な飼い主だ。生き物を飼ったなら最後まで責任を持って育てないと。

 とりあえず、雪も降っているから家に連れて行こう。

「ただいまー」

 と言っても誰も返事をする人はいない。うちの両親と妹は海外に行っている。なぜこうなったかは、またあとで話すことにしよう。

 そんなわけで最近は一人暮らしで、家事をこなしている。初めのころは慣れないことばかりで大変だったがいまではもうだいぶ慣れている。

 高校生で一人暮らしなんていいなと思っている人もいるかもしれないが、いいと思うのは初めのころだけだ。

 最近は家に一人しかいなくてさびしくなっている。

 今日犬を拾ったのもそれもあったからかもしれない。さて、これからどうしよう。

 拾ってきてはいいもののおれは犬なんて飼ったことがない。ネットや本で調べるしかないか。あとは、二人にも聞いてみよう。

 これは、明日また本屋に行って本を買うしかないか。まあ、親から多めに仕送りがあるから余裕で生活できているが。

 よし、飼うと決めたからにはまず名前だろう。さて、何という名前にしようか。

 いろいろ名前を出してみた。しかしなかなか決まらない。一息つこうと横になると、

 外ではいまだ季節外れの雪が降っていた。

 そうだ、名前は雪の日に拾ったからユキにしよう。君の名前はユキだ!

 ワン!とユキはうれしそうにしっぽを振っていた。

 なんか結局単純に決めてしまったが、ユキが喜んでいるなら別にいいだろう。

「これからよろしくなユキ」

 さて、名前も決めたことだし明日に備えてもう寝よう。

「おやすみ、ユキ」

 翌日いつもどおりに起き、朝ごはんを食べて一休みしてからみかんやへ向かった。

 平日のなので、やはりお客はあまりいない。

「いらっしゃい……ませ」

「オイオイ、店員がそれでいいのかよ」

「いいのよ、別に顔見知りだし」

「……。まあ、いいや。それより犬の飼い方とかが載っている本はどこに?」

「三番目の棚のところにあります」

「そうか、ありがとう」

 そして、言われたとおり三番の棚へいった。

 そこには、ちゃんと犬の飼い方関係の本があった。

「よかった、いくらあんなことがあったからなんて間違っている場所は教えないよな」

 そして、そのコーナーにあった本をいくつか持ってレジに行き本を買った。

「犬、飼い始めるんですね」

「うん、昨日の帰り道に犬を拾ってな、飼うことにした」

「ちゃんと、ワクチンとか接種させてくださいよ。私も犬を飼っているのである程度のことならわかりますから。」

「わかった。なにかあったら相談するから」

「どんな犬拾ったんですか」

「うん、種類はわからなかったけど、雪のように真っ白できれいな毛をしていたぞ」

「……そうですか」

「じゃあな」

「お買い上げありがとうございました」

 家に帰った後さっそく買ってきた本を読み、必要なものや事をやってきて家に帰ってくると夕方になっていた。

 さあ、晩ごはんを食べて、残っていることを片づけよう。

 翌日の朝、明香里から電話がかかってきた。

 久しぶりに三人で集まろうというものだった。

 午後待ち合わせの明香里の家に集まった。

 集まった目的は勉強だが、そんなことするはずがなく三人でゲームをしたり最近の出来事の話をしたりして終わった。

 そして、4月18日登校日。

 いよいよ高校生活が始まる。やりたいこともやらなきゃいけないこともたくさんあるのでがんばっていきたい。

「じゃあ、行ってきます。ユキ」

 しばらく一人で登校していると、栄太と会った。

「おはよー」

「おはよう」

 とお互いあいさつをした。

 また、そのあと明香里が合流し三人で学校に向かった。


どうも円周率です。いろいろあってだいぶ遅くなってしまいましたが、(まあ待ってた人はいないと思うんですが)やっと投稿できました。まだまだいろんな意味で初心者です。間違っているところがあると思うので、あったら教えてくださると嬉しいです。

この話は地盤崩壊からまた学校が始まるまでの三人のそれぞれの過ごし方の話です。次は桜城明香里編です。では、また。

15/3/4に修正を行いました。

15/8/26に修正を行いました。

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