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夏の華  作者: 藤原 愛里
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バイバイ。

初めまして。藤原 愛里といいます。ここに掲載する、初の小説なので緊張していますが、頑張ります!

いつだって、誰かが側にいてくれた。寒い夜は、そっと肩を抱いてくれる、暑い日は、寝付くまで扇子であおいでくれる……。そして、寂しい時に、何も言わずに隣にいてくれる、そんな人が。


―――気付いたら誰もいなかった。暗闇に、一人、ぽつんと取り残されたような、そんな感じ。

そして、いつだって泣きながら目を覚ます。そんな毎日。


―――私はリコ。坂口 梨子、14歳。とても普通の14歳だとはいえない。私は不登校児。

都立の中学校が嫌で嫌で仕方がなかった。何もかも、始まりは自分があの一言を言ってしまったからだと言うことくらい分かっている。でも、それには……。


私が不登校になってから、両親は私の事を見捨てた。世間体ばっか気にするような、馬鹿馬鹿しい種族。元々、性格が荒く、頭も悪い私に愛想をつかしていたのは知っていたけれど、とうとう捨てられた。そう思うと、ほんの少し、涙が出てくる、そんな自分が嫌で思いっきり頬を打った事もある。

今、私は遠い親戚の家にいる。ひどい田舎。コンビニも、ゲーセンも、大きな店もない。

一日中、ぼうっと過ごす大体は涼しい縁側。ここで、遠くの山並を見つめると、何故だろう、心が安らいでいく。

エツコおばあちゃん……平田 悦子さんは、私の面倒をよくみてくれる。だんなさんはとうの昔に天国へ旅立ってしまったので、今は独り身なんだそう。”おばあちゃん”って呼んでるけど、本当は血がつながってるかどうかも怪しい。

そんな私を目を細めながら見て『息子がいた時の事を思い出すよ』と、おばあちゃんはよくいう。

でも、分かっていた。また捨てられるって事を。

夏が終われば、私はこの町の中学へ行く。きっとそこでも……私は前と同じ過ちをおかすんだと思う。


ちりん、と風鈴がなった。


全部なくなったんだから、今さら何を失うっていうの?自分に問う。

そうだった……まだ失っていない物があった。

それはなくしてはいけないもの。でも、なくせば何も辛くはない。


『……捨てよう。自分を捨てよう。何でも言う事を聞く、可愛い御人形さんになってしまえばいい。』


また、風が吹く。風鈴が風に煽られている。ぼうっと、その光景を眺める。

何も感じない人形になる、瞬間、私は別れを告げた。



『バイバイ。…………坂口 梨子。』



―――その日から、私は本当の暗闇に入ってしまった。

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