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最弱スキル〈保存庫〉を笑われ追放されたけど、中に神代の秘宝が眠ってました  作者: 妙原奇天


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第1話 追放――倉庫スキルの男、覚醒す

「――お前みたいな奴、もう二度と顔を見せるな」


 その言葉が、俺の人生を変えた。


 冒険者ギルド〈暁の剣〉の面々が、まるでゴミを見るような目で俺を囲む。

 リーダーのグレイが金の髪を払って、吐き捨てた。


「役立たずスキル〈保存庫〉。荷物を仕舞うだけ? そんなもん、猿でもできる」


 仲間たちの笑い声が響く。

「戦闘中に荷物整理?」「“倉庫の勇者”だってよ!」

 誰も止めない。誰も庇わない。


 剣士も、魔法使いも、かつて命を預け合った仲間すら、

 今は俺を“失敗作”として切り捨てた。


「……わかった。抜けるよ」


 静かに言い残して、俺はギルドを出た。

 扉を閉めた瞬間、背後で笑い声が弾ける。

「はは、荷物持ちが英雄になれるわけねぇだろ!」


 夕暮れの風が冷たく頬をなでた。

 街を離れ、森へと歩き出す。

 たった一つのスキル――〈保存庫〉だけを頼りに。



 ……俺のスキル〈保存庫〉は、確かに地味だ。

 ただ“しまう”だけ。出すのに三秒、戦闘では致命的。

 でも、ひとつだけ誰にも知られていないことがある。


 ――このスキル、底が見えない。


 最近、入れたものを取り出すたびに、奥に“何か”がある気がしてならない。

 深淵のような空間。その先に、扉のような――。


「……確かめてみるか」


 森の奥。

 陽が沈み、月光だけが地面を照らしていた。

 俺は掌をかざし、〈保存庫〉を展開する。


 空中に黒い魔法陣が浮かび、光が溢れた。


 その中に――“扉”があった。

 見覚えのない、古代文字が刻まれた漆黒の扉。


「……なんだ、これ」


 指先で触れた瞬間、

 脳裏に声が響く。


 ――〈封印を解く資格、確認〉

 ――〈所有者:レオン〉

 ――〈神代記録庫、起動します〉


 眩い光。世界が反転する。



 気づけば、俺は光のない空間にいた。

 そこには無数の“棺”が浮かび、ひとつひとつに刻まれた名――。


 〈秘宝:竜殺しの剣〉

 〈秘宝:世界樹の根〉

 〈秘宝:失われた王冠〉


 伝説。神話。すべてが、ここに眠っていた。

 俺の“倉庫”の中に。


「……これが、俺の〈保存庫〉……?」


 息を呑んだ瞬間、背後から声がした。


「ようやく見つけた――“継承者”」


 振り向くと、そこに立っていたのは蒼い鎧の女騎士。

 その瞳は氷のように澄んでいて、俺をまっすぐ見据えていた。


「あなたが、“封印庫”を継ぐ者なのですね」


 その言葉が、俺の運命を決定づけた。

 笑われた最弱スキル〈保存庫〉。

 それは、神々の遺した“世界再生の鍵”だった――。

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