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生きる意味  作者: 餓狼
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新居

棟梁の仕事は完全に辞め、モニカとユウコ二人に養ってもらっていた。受験勉強に集中しろという二人からの忠告に従ったのだが、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


新居の建築は順調に進み、年内には完成する予定だった。俺はユウコとモニカの送り迎えをして、家事を手伝っていた。夕飯に私は最近覚えたボルシチを二人に振る舞った。牛肉は硬かったが、味はよくできたと思う。三人の食卓にみんなもう慣れて来ていて家族の絆のようなものも感じるようになった。


「ちゃんと勉強してたケンジ?大学受からないとね」

そうユウコに言われて順調だと答えた。もともと学歴ゼロの俺だったが、軍の学校を出たことになっていた。


ところでユウコのことで気になっていたのは、彼女に東欧人の面影が皆無だったことだ。俺もケイにそう言われたように純粋な日本人なのかも知れない。


「俺とユウコは純粋な日本人かもしれないが、モニカにはどう見える?」


そういうとモニカは今頃そんなこと言うんだ、だれが見たって二人は日本人よと言われた。二人が日本人だとしても家族としてなにか問題があるわけではなかった。


祖国でもユウコと俺は過ごしてきたし、多少はあったが、特別な差別やいじめを受けたわけではなかった。

「もうすぐ家が建つんだから、この国で生きることだけを考えなさい」

モニカに当たり前のことを言われてしまった。


「それにしても強くなったなユウコは」そう言うとあんたの血が入ってるんじゃないとモニカに言われ、俺は動揺した。


「冗談よ。日本人の顔は同じに見えるけど二人は似てないわ」

そう言われ俺はホッとした。


「ユウコ、今日はもう終わろう。お疲れ様」ユウコはにこにこした顔をしてこちらにやって来た。この軍事教練場は基本もう使われていないが、必ず軍に未使用の確認はしていた。万が一他の部隊と事故が起こったら困るからだ。


「銃声音だ!伏せろユウコ」俺とモニカはあっという間崖を駆け下り、にユウコを取り囲むように守った。銃声の位置は遠かったが、教練場内には間違いなかった。


銃声はまだ聞こえていた。3点バーストでの射撃訓練に思えたが、敵襲も考慮し慎重に銃声の鳴る場所に近づいていった。すると見慣れた問題児が射撃訓練をしていた、ナガルだ。阿呆なので声を掛けたら撃たれるかも知れないので無視した。


ユウコとモニカの居た場所に戻り、事情を話し撤退した。

帰ったらすぐに棟梁に連絡しナガラの行動をチクった。何を思って軍を辞めたあとも射撃訓練をしていたかは知らないが、あの場所は許可をもらわないと使えないはずだった。軍にも連絡しようかと思ったが逮捕されるかも知れないので止めた。


「その人特殊任務の時参加してたわね。馬鹿なの?」モニカに聞かれそうだと即答した。あいつは人の言うことは聞かないし迷惑しか掛けない。


「誰か守りたい人がいるんじゃないかな。ケンジ心あたりない?」

「あいつには彼女は間違いなく居ないから、もしかしたら家族かな?」

ユウコの問いかけにわりと適当に答えた。


「それにしてもユウコ体型も変わったな。特に腹筋が」そう言って誤って彼女の腹筋に触れると俺は鼻血を出した。とにかく欲求不満が酷かった。


ユウコに部屋に連れていかれ小声で言われた、「私を抱きたいの?」


なんのことかわからないと言って部屋を出ようとしたら、ユウコが強く抱きしめてくれた。モニカがいいって言ったらいいよと彼女は言った。滅茶苦茶な要求だった。


モニカにそれを言えたらとっくに言っている。もうかつての鈍感野郎ではない。家族を壊すような発言をむやみにしたくないので聞かなかったことにした。


秋になり家はだいたい完成していたので三人で見に行った。それぞれの部屋のチェックをまずした。


1Fはキッチンとリビング、2Fに俺の部屋と風呂で3Fは二人の部屋がそれぞれあった。敵襲に備え入口は鉄扉だった。当初の予定通り窓が小さい要塞のような家だった。モニカとユウコは気に入ってくれただろうか。


「強そうでいいわね!籠城戦出来るわよケンジ」

「殺風景だけどいいお家だよ。4Fの使い道考えなきゃね」


モニカとユウコ共に好感触だった。やはり自分たちの家というのが大きいのだ。俺は敵からの狙撃ポイントと弱点がないか入念にチェックした。


「ん、俺の部屋と風呂がすぐ傍?」そう考えただけで鼻血を出したのでモニカにすぐ勘づかれてしまった。たまになら一緒に入ってあげると言われ俺は逃げだした。


家に戻ると俺は二人に現在の俺の鼻血の原因を話したのだが、とっくに知っているといってスルーされてしまった。大変重大な問題なのだが...


その話をした直後、働いている店で買ったというシースルーを着て二人は上から降りてきた。下着が丸見えだったので急いで隠れたが包囲されてしまった。


「もうケンジは18才なんだからいい加減に女の身体に慣れなさい」そうモニカに言われたが、二人と数回キスしたのとラッキースケベで乳房を見ただけなので無理だと答えた。そもそも触りたくても触れない現状に弱り切っていた。


二人が意を決して目を閉じてキスをねだってる様子だったが、キスする順番を間違えただけで大変なことになりそうだった。軍人ケンジとは違い作戦成功率は限りなくゼロに思えた。なのでコインを投げて表が出た方とまずキスをすることにした。


表を引き当てたのがモニカだったので、ユウコは床をドンドンと叩いていた。それを見ただけでもう危険な気がしたが約束なのでモニカとまずキスをした。


「義務的な感じがしたけどまあいいわ」この場面で愛情たっぷり込めることに無理があるだろうと思ったが言わなかった。


次にユウコとキスしたが同じように軽くキスをした。平等はこれで保たれたはずだ。

「モニカと私、どっちが好き」とユウコが聞いてきたので、戦場での動きでシャワー室に逃げた。シャワー室ではユウコと聞こえないよう小声で囁いていた。


棟梁の仕事場に久しぶりに顔を出すと、ナガルもいたのでこの間の軍事教練場に居たことを問いただした。すると守りたい女がいるからと言ったので意外だった。


「付き合ってる訳じゃなくて片思いなんす。でも強くないと相手にされない気がするので、ケンジさんが教官やってた場所を聞いて勝手に使っていました。許可を取らずに本当にすいませんでした、まさかケンジさんたちが居るとは思わなくて」


軍にも棟梁にも相当説教されたようだが、許されたようだ。


「ナガル、今度は一緒に来い。成長したか見てやる」山を切り開いた軍事教練場に四人でやってきた。基本は狙撃だが、ランチャーやグレネードも訓練した。何故こんなものがあるのかと言うと、軍は私が復帰するのをまだ狙っていて無償でくれるのだった。


「ユウコの勝ち。負けナガル」軍人経験もないユウコに負けて落ち込んでいたナガルだが、お前はそもそも戦いに向いてないんだと思った。


嬉しそうに勝利報告をして抱きついてきたユウコに、俺はキスしてしまった。

すぐにモニカに言い訳をしに行ったが、「恋人でしょ。堂々としてなさいよ」

そう言われたので堂々とすることにした。


この街に厳しい冬が訪れる晩秋に、新居は完成した。三人とも自分の荷物を持ち込み、元職場や軍の仲間が引っ越しを手伝ってくれた。


「今日からこっちで暮せるね。夕食作るから待っててね」ユウコの言葉に俺は甘え、モニカは彼女の手伝いをした。


重たいものを主に運んだので汗でぐっしょりだった。なので風呂を最初に使うのは俺になった。湯を溜めゆっくりと入ると熱すぎた。日本流の温度だがこれは無理だ。それでも気持ちがいいので長く浸かっているとモニカが入ってきた。日本流に全裸だった。


「熱っついわねこれ、正気なの」俺から言わせると全裸で風呂に侵入してくる、モニカが正気なのか問いたかった。


「モニカ、裸が見えて困るんだ。どうにかしてしまいそうだ」そういうとどうにかしていいわよとモニカは答えた。真剣なようだったので、後ろから乳房を揉み愛情を込めたキスを何度もした。随分長いこと胸を揉み続け、俺の理性は吹っ飛びそうだった。モニカの本気に本気で応えユウコのことは考えなかった。


引っ越し早々何をしてたんだ俺は。我に返って猛省した。しかし性欲が勝った。我になんて返っていなかった。夕食を三人で摂ったあと、俺はユウコを風呂に誘った。突然のことにユウコは戸惑っていたが、手を引くと付いてきてくれた、「嫌なら言ってくれ」


ユウコは全裸で首を振り、熱すぎる湯にびっくりしていた。

「これが日本流らしいが、明日から東欧風温度にする」そう言いながらユウコの肢体から目が離せなかった。触れていいのか悩んでいたが、ユウコが目を閉じたのでやさしくキスをして身体に触れた。


出会ってから一年以上経って初めての性的行為だった。

「毎日一緒に入る?ケンジ」そうしたいが流石に多すぎると言って年一回と答えた。するとユウコに頭を叩かれた。


最近煩悩まみれなので、冬に向けてきちんと勉強することにした。雪のこの街は美しさを増していた。迎えに行く前に最近買ったスタッドレスタイヤで街並みを眺めた。一年遅い入学になるが学力は既に問題なかった。


「もうすぐクリスマスだね。美味しいものたくさん作るよ」

ユウコがそういうとモニカもやると燃えていた。


「そのことなんだけどね。ナガルが来たいって言ってるんだがどうしよう」

「お客さんなら問題ないわ。男としては見ることは一生ないけれど」

モニカの言葉が辛らつだった。


クリスマス当日にナガルはやって来た。フォーマルな服装でやけに気合が入っていた。我々は多少の酒も飲みながら盛り上がっていたところで、ナガルとモニカの姿がなかった。心配して見に行くと言うとユウコが俺を止めた。


しばらくするとモニカが帰って来て、複雑な顔をしていた。ナガルは帰ってしまった。

「告白とか何考えてるのかしら、順番があるでしょう」


やはり俺は鈍感だった。ナガルが守りたいのはモニカだと気が付いた。


「三人家族で暮らすと決めたんだ。ナガルは認められない」独占欲丸出しでそういうとモニカが抱きついてきた。

「ユウコはどう思うんだ」そう聞くとなんとも複雑な顔をしていた。やはり二股は嫌なのだろうとすぐに察した。それでも俺は三人家族にこだわりたかった。


それから勉強も身が入らず、ドライブしたり冬の教練場に通っていた。モニカのことを真剣に想ってくれるなら、ユウコがいる俺よりナガルのがいい。


やっと気持ちが落ち着いてきた頃、ドライブしながらモニカに聞いた、「ナガルと最近逢ってるみたいだけどどうだ。付き合いたいとか思うか」


「彼は悪い人じゃないわ。むしろいい人で、信頼できるかもしれない。だけど私はケンジがいいの。あなたと一緒に居たいってことは絶対に忘れないで」

喋らなかったがきちんと頷いた。


ドライブを終えたあとモニカを家に入れるともう一度走った。ナガルがしっかりしていてモニカも大切にしてくれるなら、それが一番良いんだ。二人を幸せにはできない。三人家族にこだわっていたがすぐにモニカが居なくなるわけじゃない。最善の未来を三人と話し合ってみよう。

























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