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芸能人薬

「あなた、早くなってよ!」


「はいはい、ちょっと待って。今、その久保田劉生くぼた・りゅうせいとかいう奴になるから」


「もう、早く劉くんになってくれないと、誕生日終わっちゃうじゃん! 私は誕生日に、憧れの劉くんに会うって決めてたの! だからこの薬を買ったのに!」


この薬を飲めば、1時間だけ芸能人の体になれる。


当然体を借りている人間が許可すれば、何をしてもいいのだ。


妻が最近好きになったという芸能人に、妻から変身を迫られていた。


「はっ……!」


「おっ、きたきた!」


「ふっ……! どうだ?」


鏡を見ると、30代くらいと思われる美青年に生まれ変わっていた。


「わあー! りゅ、りゅう……くん! ほん……もの?」


私は呆れる。


「そんな訳ないだろう」


「体もその声も劉くんそのもの! せっかくなんだから本人らしくしてよね」


「本人がどんな奴か知らないしなあ……」


苦笑いする私だが、なんとなく若者らしく振舞っている。


すると、妻は照れているようだった。


「どうしたんだ?」


「キス……してもいい?」


「えっ!?」


妻とは10年以上肌を合わせてはいない。


「何を言ってるんだ……」


「だって今は劉くんなんだから、いいわよね、あなた」


「やめなさい、そんなの」


「それに、変身中に子作りしたら、変身した人物のDNAが組み込まれるのよ! 私、劉くんの子供が欲しいわ」


「な、なんだって!? ……あっ」


妻は私に口づけていた。




1時間後、私達は裸のままベッドで横たわっていた。


「幸せな時間だったね、劉くん」


「あ……ああ」


久しぶりに妻の肌に触れるのは幸福だった。


「できるかなあ、赤ちゃん」


幸福感で忘れてしまっていたが、これで子供ができてもなんとかっていう芸能人の遺伝子で、私の遺伝子ではない。


そんな子供を愛せるのだろうか?


「はっ」


私は元の私に戻っていた。


「……もうっ、早く服を着てよ、気持ち悪い!」


「はぁ……」


ため息をつきながらシャツを着た。




しばらくして、妻の妊娠が判明した。


「あなた! 赤ちゃんだって」


「ああ……そうか。良かったな」


間違いなくあの時の子供だった。




生まれてきた子供は、赤子なのに美しさが際立っていた。


「なんて可愛い男の子なの。ねえ、あなた。見て」


「ああ……可愛いな」


俺は複雑だった。


だけど妻は他の男と寝た訳ではない。


私と寝たのだから、責められるはずもない。




4歳にもなると、顔立ちがはっきりしていた。


でもどう見ても外国風の顔立ちだった。


あの芸能人とは全く違う風貌だった。


私は疑いを持つ。




DNA鑑定すると、妻と別人の子供だということがわかった。


それを妻に問いただす。


「なんだ。手軽な芸能人薬で隠蔽できると思ってたのに。残念ね」


妻は子供を連れて出て行ってしまった。


妻を迎えに来た男は、あの子供にそっくりだった。



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