決闘《異変解決部》
決闘当日になった。俺と霊夢、魔理沙は異変解決部の三人の目の前に立っていた。
「逃げずに来たんだな。てっきり逃げるモノかと思ってたぜ。」
「哲也!そんなこと言わないの!」
「わたしも逃げるんじゃないかと思ってた。瑠雨も思ってたんじゃないの?」
「ちょっと!栞奈まで!私はそんなこと思ってなかったよ!…はあ…気にしないでね?今日はよろしくね。」
「よろしくなんだぜ!」
「よろしくお願いします。」
「よろしく。」
俺たちがそんな挨拶をすると放送が流れる。
「では、ただいまから《Dクラス》"博麗霊夢"《Cクラス》"霧雨魔理沙"《Sクラス》"柳雪"対《Aクラス》"九鬼哲也"《Sクラス》"上野栞奈"《Sクラス》"山野瑠雨"の決闘を始めます。合図とともに始めてください。」
そして俺たちは戦闘態勢を取る。そして笛の音が鳴り響く。
……
私は開始と同時に空に飛び、哲也先輩に弾丸を放っていた。だが、哲也先輩は知っていたかのように全ての弾丸を避けた。私はリロードをしてまた撃つ。だが私の弾が当たることはなかった。
「ちっ…めんどくせえな…空を飛ぶ能力とかか?」
流石異変解決部…私の能力は一瞬で見破られた。空を飛んでいるから。バレるの承知の上だったので動揺はない。私は再びリロードをして撃ち始める。
「はあ…少し能力を使うか。」
哲也先輩がそんなことを言った次の瞬間、哲也先輩は私の眼前にまで来ていた。
「な!」
私がそれに気づいたときにはもう遅かった。哲也先輩は私のことを蹴り飛ばしていた。それにより私は地面にたたきつけられた。
「はあ…はあ…何が…」
「ふん。一撃で倒されないのは驚いたが、まあそれだけの話だな。」
私は理解できていなかった。何が起こったのかはわかっている。だが脳がそれを処理しきれていなかった。
「理解できないって顔だな。答えは単純だ。俺の能力で跳んでお前を蹴り飛ばした。俺の能力は身体能力強化だからな。筋力から五感までのすべてを強化できる。だから弾丸も避けれたし、お前を地面に叩きつけれた。」
そのことを聞いてやっとわかった。そして理解した。私と哲也先輩の間には埋められない差があることを…
「それじゃ気絶してもらうぜ。」
哲也先輩は私に対し拳でとどめを刺そうとしていた。その瞬間…
「まだトドメを刺すのは早いと思わないか?先輩。」
その声の主は雪だった。哲也先輩は空に浮かんでいた。
「俺の能力で無重力にしたんだ。動くことも困難だぜ?」
「クソが!瑠雨はどうした!」
「あの人なら向こうで重力と戦ってるよ。足の骨が折れていないのは凄いとしか言いようがないけどな。」
私は立ち上がりながら瑠雨先輩の方を見る。そこにはどうにか動こうとしている瑠雨先輩がいた。きっと雪の能力で重力が上がっているのだろう。
「なら栞奈!さっさとそっちの魔法使いを倒して加勢にこい!」
「それができたらとっくに行ってる。この子、私との能力の相性が良すぎる。」
「見た感じ、力の向きを変える能力だろ?私は複数の攻撃を放つことが多いから全部捌かなくてはいけない。でも能力は使うとモノによって量は変わるが体力を削られる。もう体力の限界が近いはずなのぜ。」
そういえばこの前、雪が魔理沙に言っていた。火力で押し切るのは相手が避けきれない時に使え、それ以外は体力を温存する戦い方をしろ、って。きっとそれのおかげで魔理沙は今勝てている。もしかしたら勝てるかも!…そう思った瞬間斬撃が私たちを襲う。全員ギリギリで躱せたが哲也先輩にかかっていた雪の能力が解けてしまった。
「はあ、助かったぜ瑠雨。」
「助けが遅れてごめんね。ここからは私も本気で行くから。」
瑠雨先輩がそういった瞬間大量の斬撃が私たちを襲う。私が避けるのに精いっぱいになっていた時…哲也先輩が急接近をして蹴りを放ってきた。私はその蹴りを躱せず、食らってしまい気絶してしまった…
……
霊夢がやられた。まあ霊夢の場合は相性が悪すぎたってのもあるし、相手はAクラス、それに対して霊夢はDクラス。これでもよく耐えた方だ。魔理沙の方も見たが魔理沙もすでに満身創痍だった。
「はあ、結局こうなるのか。」
3対1…できれば1人1撃破ぐらいで行きたかったのだがさすがに無理か…ランク差がある。そして経験の量が違う。負けて当然だ。
「残りは雪さんだけですね。負けを認めますか?」
瑠雨はそんな質問を問うてくる。だが俺の答えは決まっている。
「俺は言ってしまえばこの3人の中の大将だ。大将が負けを認めたら下に示しがつかねぇだろ?それにてめぇらみたいな雑魚は俺一人で充分なんだよ。」
「なんだと、てめぇ!」
哲也が俺の挑発に乗り俺に近づいてくる。だが俺は能力を発動し一瞬停止させる。そして俺は哲也を蹴り飛ばす。その瞬間大量の斬撃が俺を襲う。だがその斬撃は俺の身体を掠ることはない。そして瑠雨の能力に栞奈の能力も乗せられて軌道が分からなくなってくる。
「めんどくせぇな。」
俺はそう言いながら地面の砂を拾い相手に向かって投げる。砂は風によりばらける。
「砂も物体。物体ってことは重力がかかってるってことなんだぜ?」
「!!みんな逃げて!」
瑠雨は気づいたらしい。だがもう遅い俺は能力を発動する。さっきまで舞っていた砂は弾丸となり3人を襲う。身体強化ができる哲也と最初に感づいた瑠雨は何とか最低限のダメージで済んだが、栞奈は大量に食らって気絶していた。
「まずは一人だな。」
「クソが!俺が前衛に回る。後衛からの支援は瑠雨に任せた!」
「わかったわ。」
そして哲也は能力を使い俺に一瞬で近づく。だが俺はそれをわかっていた。それは哲也の腹にピンポイントで蹴りを放つ。哲也は身体をひねって何とか避ける。だがスピードはなくなっていた。俺は本命の刀で一文字斬りをするが、瑠雨の斬撃により防がれる。だがそれも想定済みだ。俺は斬撃ごと斬りに行った。斬撃のせいでスピードが落ちる。哲也は避けようとするが俺は能力で動けなくする。哲也も能力を使い動こうとする。だが俺の攻撃はその程度の強化じゃ避けられない。刀は哲也の胴体に当たり決闘場の壁まで吹き飛ばす。意識はあるようだがもう動けないだろう。
「最後はお前だ。」
「凄いね君。私たち相手に一人で戦って2人を戦闘不能にした。そこら辺のSランクじゃできない芸当だ。」
確かにそうなのだろう。だがレミリアなら多分勝てるのだろう。戦ったことがあるからこそわかるのだ。そう考えると今年のSクラスは規格外なのだろうな。
「俺が凄いとかはどうでもいい。俺が勝ったら霊夢たちのことも認めてもらうぜ?」
「それはできないな。だってここまでできたのは君1人の力じゃないか。」
「そういう考え方か…じゃあ、もう話すことはないな。」
俺はそう言い終えると地を蹴り瑠雨の眼前に迫る。瑠雨は能力を発動する。
「お前の能力はすでに理解している!だからもう能力の対策法も知ってるんだよ!」
俺は瑠雨の剣を蹴り飛ばす。瑠雨は後ろに下がる。だが俺は追撃をする。剣を蹴り飛ばした足とは逆の足を軸に身体を捻り刀で瑠雨に斬りかかる。瑠雨は咄嗟に跳び俺の攻撃を避ける。俺はそれを読んでいた。瑠雨が跳んだ瞬間重力を上げる。跳んでいる間は体勢が悪いため急に重力を上げれば相手は確実にバランスを崩す。瑠雨もバランスを崩した。俺はそれを見逃さない。蹴りを瑠雨の身体に放つ。通常の瑠雨なら避けれただろう。だが体勢が悪いうえに重力で身体が上手く動かせない状況だ。避けるどころか防御もできずに食らう。俺の蹴りを食らった瑠雨は数メートル飛んでいき気絶した。そして終わりの笛が鳴った。そして俺たちは決闘に勝ったのだった。