決着
決闘は終盤に入っていた。俺は地を蹴り今まで以上の速さでレミリアに接近する。レミリアは槍を投げたため武器は持っていないはず…そう思っていたのだが、後ろからナイフを取り出し刀を止める。普通はそんな芸当は出来ないはずなんだが、レミリアはそれをいともたやすく起こしてしまう。俺は蹴りを放つがレミリアは後ろに下がりその蹴りを避ける。だがその動きは予想していた。俺は能力を使いレミリアにかかっている重力を上げる。
「な!?」
レミリアはそれに驚き動きが止まる。俺はそのレミリアに対して真向斬りをする。レミリアは寸でのところでナイフで防ぐ。俺は防がれた瞬間蹴りを放つ。レミリアは防ごうとするが、重力が上がっている状況でいつも通りの動きができるわけもなく、レミリアは槍が落ちている場所まで飛んで行った。
「はは…もろに食らっちゃったわ…」
「きつそうだな。降参したらどうだ?」
「そんなことするとでも?」
「まあどっちでもいいがな。」
そんな会話をしてる間にレミリアは槍を拾う。そしてレミリアは槍を投げる。俺は槍を弾こうとする。その瞬間風が吹き砂埃が舞う。俺の目に砂が入り俺は目を開けられなくなった。だが槍の軌道と距離は覚えている。そして俺は刀を振る。そして槍に俺の刀が当たり防ぐことができた。だがその瞬間俺の腹部に痛みが走る。俺は咄嗟に数メートル下がる。そして目の砂を取る。すると目の前にはすでにレミリアがいた。俺は防ぐことができなかった。俺はもろに食らいさらに数メートル飛ばされ決闘場の壁に背中が当たる。
「いってぇな…」
「はは…本来は槍も当てるつもりだったのだけれどね。でもこれでダメージは五分五分ぐらいかしら?」
「そうだな…俺の方が食らってるように見えるがな…」
俺もレミリアも息が上がっていた。
「残りの力…全部使わせてもらうぜ…」
「ええ…私もそのつもりよ…」
俺とレミリアは睨み合う。俺は地を蹴る。レミリアはそれを見た瞬間、近づいてくる俺に槍ではなくナイフを投げる。俺は避けるために減速する。レミリアはそれを逃さない。減速した俺に近づき槍で突いてくる。俺はギリギリで身体を捻り避ける。だがレミリアはそれを読んでいたかのように横なぎをする。俺はその攻撃を刀で受け止める。そして武器の押し合いになった。レミリアが槍を押した瞬間俺は槍の下をスライディングで避ける。レミリアは予想していなかったらしく身体がそのまま力を向けていた方に倒れそうになる。俺はその隙をつき一文字斬りをする。レミリアは避けようとするが体制が整っていない状況で避けたからかレミリアは倒れてしまう。俺はそのレミリアに対し重力を上げ刀を向ける。
「負けを認めたらどうだ?それともまだ勝ち筋が見えるか?」
俺はレミリアに対してその質問を投げかける。
「はは…見えないわね。降参よ…私の負けよ。」
レミリアがそう言うと終わりの笛が鳴り響く。周りからは拍手が送られる。俺はレミリアにかけていた能力を解き、手を差し出した。レミリアはその手を取り起き上がる。
「お前…まだ本気じゃないだろ?」
「そういうあなたこそ…手加減かしら?」
「そんなわけないだろ?こんな一年の開始早々能力を明かすのはバカだからな。」
「私もそうよ。」
そんな会話をしながら俺たちは決闘場を出ていく。そして俺は一番気になっていたことを聞く。
「なあ、なんで俺に決闘を挑んだ?」
「それはSクラスの中であなたが一番強そうだと思ったからよ。能力的にもだけど雰囲気的にもね。それでどれぐらいなのか気になったから挑んだのよ。もしかしたら敵になることがあるかもしれないからね。でも想像より強かったわ。まさか本気同士じゃないとはいえ負けるとは思ってなかったからね。」
「そうか。まあ俺もお前の能力は気になっていたからいい機会だったよ。かなり強いな、その能力。」
「そうね。でもあなたの能力も相当だったけどね。予想外の連発だったわ。」
そして俺たちは通路を抜け、決闘場から出るとSクラスの全員が集まっていた。
「レミリアお嬢様!大丈夫ですか!?」
「大丈夫よ。私も彼も本気でやり合ってなかったから。本気ならどちらかがかなりの重傷を負っていたでしょうね。」
レミリアの言う通りだろう。今回は両者本気じゃなかったからこの程度の怪我で済んだが本気ならどうなっていたのか想像もつかない。
「雪、あなたも大丈夫かしら?」
「輝夜か。ああ、大丈夫だ。」
「あら、輝夜のことはお前呼ばわりしないのね。」
「昨日あいさつしに行ったときに言われたからな。」
「じゃあ私のこともレミリアって呼んでくれるかしら?」
「ああ、わかった。」
「ほら!みんな!教室に帰るよー。」
「はーい」
そして俺たちは教室に帰っていった。
……
教室に帰り、教科書をもらい帰りのHRも終わっていた。そして俺が帰ろうとしたとき
「あら、雪じゃない。」
「ん?」
俺がその声の方に振り返ると霊夢と魔理沙がいた。
「お前らか。」
「お前らって言うのはやめてくれない。で、雪は帰る途中なの?」
「ああ、霊夢と魔理沙は何してるんだ?」
「異変解決部に入りたくてね。異変解決部の部室に行く途中なのよ。」
「異変解決部か…俺もついていっていいか?」
「私は構わないのぜ。」
「私もいいわよ。」
そして俺と霊夢、魔理沙は異変解決部の部室に向かった。
「先生から教えてもらった部室はここのはずよ。」
霊夢がその部屋のドアを開ける。中には数名の2,3年生がいた。
「あら?あなたたちは新入生かしら?何かあったのかしら?」
「えーと、私たち異変解決部に入りたくて…」
「ふーん、でもお前らCとDじゃねぇか。そんな足手まといいらねぇよ。もう一人の男子はSらしいがそんな奴らと絡んでいる辺りそこまで強くないんだろ?いらねぇよ。」
「ちょっと!哲也!そんなこと言わないの!」
「でも事実だよねー。足手まといが増えても困るのは私たちだし。」
「そうだけど…」
そんな話を先輩たちがしていると。
「私たちは異変で困っている人を守りたいんです!」
霊夢がそう言った。それを聞いた男の先輩が口を開く。
「その心意義はいいが、その程度で入れると思うなよ!」
「はあ、哲也は言いすぎなんだって!ねぇ君たちこうしない?私たちに決闘で勝ったら異変解決部に入れてあげる。」
「本当ですか!?」
「ええ、決闘は来週の日曜日!どうかしら?」
「私は大丈夫です。」
「私も大丈夫だぜ。」
「俺も構わない。」
「よし!じゃあ二人とも来週の日曜日、空けといてね!」
「はーい。」
「はあ、分かったよ。」
「じゃあ今日は帰ってもらえる?」
「はーい。」
そして俺たちは異変解決部の部室を後にした。
「どうしようかしら…今の私たちの実力じゃ通用しないでしょうし…」
「うーん、そうだな…」
2人がそう悩んでいると魔理沙が何かを思いついたらしかった。
「そうだ!雪が私たちのことを鍛えたらどうだ?」
「は?なんで俺が?」
「だって雪はSランクの中でも上位の実力者だろ?今日の決闘を見た感じ…それなら雪に鍛えてもらうのが手っ取り早いだろ?霊夢もそう思うだろ?」
「まあ、そうね。訓練場っていう能力の訓練用の場所もあったし。」
「ということでお願いできないか?」
俺は一瞬迷った。俺にメリットはないからだ。だが俺は戦うのが意外と好きだ。今回のレミリアとの決闘も楽しかった。そして霊夢と魔理沙がSランクの奴らにも通用するぐらい強くなったら俺的にも楽しみが増える。だから俺は了承することにした。
「はあ、分かったよ。」
「ありがとうなのぜ!じゃあ明日から始めよう!」
「わかったわ。わたしから先生には言っておくから、帰りのHRが終わったら訓練場前に集合ね。」
「わかったのぜ。じゃあ今日は解散だな。」
「そうね。それじゃ。」
「ああ、じゃあな。」
そして俺たちは解散した。