仮説
あれから数時間が経過した。先の出来事で気絶したみんなは全員目を覚ました。レミリアは最初の方はまだ冷静になり切れていなかったが、癒未とここのメイド長である十六夜咲夜によってなだめられ、なんとか冷静さを取り戻した。
レミリア「さっきは悪かったわ。ごめんなさい…あなたが全力で抗ったことも、あなたのおかげでフランの命があるのも、フランが自分で決めたことというのも全部知っていたわ。それなのにあんな行動を取ってしまった。ごめんなさい」
雪「いやいい。俺もフランを守り切れなかった。相手の技量を測り間違えたんだ。フランなら抑えられる。無事でいられると思っていた。そのせいで結果的にフランが傷付くことになってしまったことは否定できない。俺の方こそすまなかった…」
レミリア「そんなことないわ…と言いたいところだけど、あなたは今、そんな言い合いをしたいわけではないでしょ?」
雪「そうだ。お前に聞きに来たかった。今回ここに来た奴らの能力についてだ。1人は時間を止めたような動きをしていた。もう1人はお前のような《運命操作》に近い能力を使っていた。」
レミリア「具体的にはどんなことをしていたのかしら?」
俺は前回戦ったときの話をした。するとレミリアは少し考える素振りをして答える。
レミリア「私にはわからないわ。でも相手の能力は《運命操作》でも《時間操作》でもないわ。」
雪「なんでそんなことが言えるんだ?」
レミリア「この世界に同時に同じ能力が存在することはないのよ。今までそんな前例はないわ。そして《運命操作》は私の能力、《時間操作》はさっきいたメイド長の咲夜の能力よ。だからその二つはあり得ないわ」
雪「なるほど…」
雪『確かに今まで同じ能力の奴には会ったことがない…いや、1人だけ居たぞ?』
雪「前に行った聖凛能力学園のS級生徒の中にあいつの…灯篭信夜とにた能力者がいた。あいつの能力は《能力干渉不可》と《完全封印》の2つだ。そして俺があったやつは《能力無効》を持っていた。少し起こっている現象としては差異はあるが、それでもほぼ同じ能力だ。そんなものなら存在するのか?」
レミリア「ええ、似たような能力なら存在することがあるわ。でも1つ言えるのが確実に片方は時間操作系ではないわ。あなたの話を聞いて一つの仮説を立てたわ。それは《無意識》、過去S級に居た古明地こいしの能力よ。それと似ている能力である方があり得ると思うわ。」
雪「無意識か」
俺は考える。無意識の内にばらまいた攻撃だったから気づけなかったのか?それとも俺たちが無意識の内に関係ないと思わせていた?全然あり得る話だ。そう考えると時間操作よりはあり得そうな能力だ。俺も能力操作に関してはあまり納得をしていなかった部分があった。
雪「そっちの方が納得するかもしれない。だが、対策をどうするかだな…確定はしないが無意識の能力である可能性を考えて挑まなければならない…」
レミリア「もう1つ聞いていいかしら?」
雪「なんだ?」
レミリア「そのZeroと名乗った人物は柳雪を手助けしろという依頼を受けて動いているのよね?それならあなたがその柳雪であることを明かしたら?」
雪「それなんだが…本当にそうなんだろうか?嘘という可能性はないか?」
レミリア「その可能性はあるかもしれないわね…あなたが柳雪であるかどうかを探っているという考え方もできなくはないわ…」
雪「まあ…すでに敵対関係なりつつあるし、言っても問題はないのかもしれないが…得体のしれない奴に生き返ったことを知られるのもな…」
レミリア「でも、この賭けはした方がいいと思うわ。あんな奴が敵になったら困る…あなたの存在がバレるなどのデメリットを考えても、彼が仲間になる可能性があるというものの方がかなりデカいわ」
雪「そうだな…」
雪『まああいつは俺が生き返っていることを知っているだろう。管理人からの依頼を受けているんだ。俺を生き返らせたことも話されているはず。そう考えると知らない方が可能性としては低い。』
雪「わかった。次出会った時にでも話してみる。だがそれでも敵対的だった場合は…」
レミリア「その時は私も戦闘に参加するわ…それより美咲先生は大丈夫なのかしら?ほら、Zeroが言ってたんでしょ?戦ったって」
雪「美咲先生なら大丈夫だと思うんだが念のため見にいくよ。」
レミリア「それならさっさと見に行ってあげなさい」
雪「ああ、それじゃあまたな」
そう言って俺は紅魔館を後にするのだった。




