最強対元最強
俺は今回の事件について妖夢に報告後、とある場所に来ていた。
雪「通っていいか?」
美鈴「雪さんですね。お通りください…あと気を付けてくださいね。」
来たのは紅魔館、理由は今回戦った相手がレミリアと同じようなことをしていたからだ。レミリアに聞けば何かわかるかもしれない。そう思った俺はここに来ていた。
レミリア「来たわね…」
俺が部屋に入るや否や急に槍が飛んでくる。俺はその槍をギリギリのところで躱す。
雪「何のつもりだ?」
レミリア「何のつもりかですって?妹を傷つけられた怒りをあんたにぶつけてるのよ!」
そう言ってレミリアは一気に距離を潰して蹴りを放つ。俺はその蹴りを躱しざまにカウンターを放つ。本来なら当たらない一撃。だが、レミリアは冷静さを欠いていたかめ普通に当たる。そしてレミリアは後方にぶっ飛んでいく。
雪「お前がそこまで冷静さを欠くとはな…それほどの怒りということか、だが俺もお前に殴られるほどやさしくないんでな…しょうがない。ここでぶっ潰させてもらう。」
俺が吹っ飛んだレミリアに近づこうとした瞬間、空間がねじれたかのように俺は逆方向に向かって走っていた。
雪「ッ!」
この能力のことを俺はよく知っている。何故なら俺がこの使い方を教えたからだ。
雪「まさかここで出てくるとはな…」
癒未「これ以上、お嬢様には手出しさせません」
癒未は俺とレミリアの間に入る。レミリアは立ちあがっている。目を見ればわかる。まだ正常な判断ができていない。癒未の能力は空間を捻じ曲げる能力だ。強さは半端ないが癒未は元から想像力が乏しかったせいで能力を使いこなせずにいた。唯一使えるようになったのは相手の向きを変えること。前世で俺が教えた能力の使い方だけだ。
雪『レミリアが別の使い方を教えた可能性もあるが…』
雪「どけ、最初に手を出してきたのはレミリアだ」
癒未「ダメです!お嬢様が悪かろうと私はお嬢様に救われた身!そちらに着くことは出来ません!」
俺はどこか、悲しくなった。昔は俺のことを慕い、俺の言うことを疑わず信じてくれた妹が今では俺の言葉すら聞いてくれないように感じたからだ。だが、それならやることは決まっている。
雪「間に入るってんならお前ごとぶっ潰してやるよ!」
今世では癒未との関わりは薄い。それに今回は妹だからと言っていられる状況でもない。相手は元ライバル、元最強、手加減できる相手ではない。俺は一瞬で地を蹴るすると即座に方向が変わる。だが、これでいい。地を蹴ればもちろん煙が立つ。煙は質量がある。それなら…
《能力発動:重力強化》
煙はものすごい勢いで地面に食い込む。それは弾丸となり、癒未の身体を貫いていく。致命傷ではないが、さすがにもう動けないだろう。それを見たレミリアはさらに怒りを露わにして俺に近づいてくる。
レミリア「あなた…人の心がないのかしら?」
雪「あるならこんなことしねぇよ。てめぇも冷静さってもんは捨てたのか?」
両者同時に踏み込む…その瞬間紅魔館の扉が吹き飛んでくる。その扉と一緒に美鈴も吹っ飛んできた。
???「この世界線の紅魔館はこんな感じなのか…」
???「こんな入り方をしなくてもよかったのでは?」
雪「Zero…Sea…」
俺がそう言うとレミリアがSeaの方向を向く。
レミリア「あなたが…フランを傷つけたのはあなたね!」
レミリアが飛び掛かる。だが、その瞬間、レミリアの足が消し飛ぶ。
Zero「冷静さの欠片もない奴が気安く近づくんじゃねぇよ。俺らは殺し屋だ。今この場でお前を殺してもよかったんだぜ?」
レミリアは斬られた足を抑えながら苦悶の表情でZeroを睨む。
Zero「今回は確認だ。」
雪「確認?」
Zero「ああ、最強がどこまで最強なのかのな…美咲ってやつともやり合ってきたが、中々だったな。だが、こっちは想像より数倍弱いな…冷静だったらもっと強かったかもな。それだけだ」
雪「そう簡単に逃げられるとでも?」
俺がそう言うとその場は濃い殺気で包み込まれる。
Zero「どうした?来るなら来い。お前の殺害は依頼には入っていないが、俺としてはやっても構わないんだぜ?」
勝てない。直感的に感じ取った力の差、俺とZeroには技術や能力以上に経験の差があるように感じた。そして二人は気が付くといなくなり、斬り落とされていたはずのレミリアの足はもとに戻っていた。なんなら遠くにいたはずの癒未と美鈴の怪我でさえ完治していたのだ。
雪「お前は何者なんだ?」
さっきまで奴がいた方向を向きそう問うのだった。




