動き出す殺し屋と異変
俺は目が覚めると見知らぬ交差点にいた。
『ここがあいつが言っていた世界か…てことは…』
俺は周囲を確認する。いるはずの人物を探す。そして見つけた。俺と同じように周囲を確認する女性。俺と一緒にいたときより大人っぽくなり、色気が現れている。その女性も俺のことに気が付いたようで俺の方に近づいてくる。
「あの…雪さん…ですよね?」
「…あぁ、久しぶりだな。海菜」
そこにいたのは長年俺とともに殺し屋をしていた。神崎海菜だった。海菜は俺を見るなり抱き着いてくる。俺は一度海菜を引きはがし人気の少ない場所に向かう。海菜も俺についてくる。そして人気の少ない路地裏まできた。
「あれから幸せな暮らしができたか?」
「はい…雪さんのおかげで幻想郷も平和で外の世界からの侵攻もなく、大きな異変もなく、平和に過ごせました。」
久しぶりの再会、だがそう長くこの感動を噛みしめることはできない。
「それじゃあ依頼の確認だ。」
「はい、今回の依頼人は管理人、私たちを作り出した人物と思われます。依頼内容は私たちは兄妹、神崎海菜と神崎玲としてこの世界の柳雪と関係を持ち、手助けをすることです。報酬は別世界への転生、それには私も含まれています。そしてもう1つ、能力の強化です。snowさんは生命力の減少がなくなり、私は発動できる時間制限がなくなりました、こちらの報酬は先払いされているため現在でもつかうことは可能とのことです。」
「よし、俺が聞いていたことと同じだな。で、sea、なぜおまえは俺が最後に見たときから姿が変わってないんだ?」
海菜は俺が死ぬ直前に見たままの姿だった。
「私の全盛期の姿にさせてもらったんですよ。それに好きな人との再会で老けた姿で会うのはちょっと…」
最後の方はぼそぼそで聞こえなかったが全盛期の力を出すためというのならその姿にも納得がいく。どうせあの管理人代理の野郎が変えたのだろう。
「そういうことか。それじゃあ、まずは情報収集だ。この世界のこと、柳雪のこと、今回の依頼内容には不明なところが多すぎる。何を手助けすればいいのかすら分からないからな。久しぶりの仕事だ。失敗は許されないぞ。」
「わかりました。玲さん」
「よし、行くぞ、海菜。」
そして俺たちは歩き始めた。
・・・
俺は美咲先生と少し雑談をしたのちに妖夢のもとに向かっていた。そして妖夢の仕事部屋の扉を開く。妖夢は焦った様子でパソコンをいじっている。
「大丈夫か?」
「あ、雪さん。帰ってきてたんですね。」
俺が部屋に入っていたことにすら気づいていなかったのだろう。額には少し汗をかいている。
「何かあったのか?」
「うん。それが、ここから少し離れた街で異変による被害が出ているらしくてね。能力もいまだ不明、異変解決に妹紅さんと輝夜さんを向かわせましたが、先ほど連絡で二人の手では今回の被害の収束は難しいらしく…」
「わかった。俺も行こう。」
「いいんですか?」
「ああ、ある程度行きたい場所には行ったし、今は俺も軍の1人だ。向かっても何の問題もないだろ?」
「うん。それじゃあお願いします。」
「おう。」
そして俺はすぐに妖夢に教えてもらった街に向かった。




