恩人との再会と殺し屋の転生
俺は森の奥地に来ていた。妖夢曰く美咲先生は森でひっそりと暮らしているらしい。俺が森に入って数十分歩き続けると小さな小屋が見えてきた。俺がその小屋をノックすると中から見知った顔が現れる。
「やっと来たね。」
聞きなれた声に聞きなれた喋り方。
「久しぶりです。美咲先生。」
目の前には前世俺が庇った誰もが認める最強がいた。
「いやぁ、あの時はありがとね。」
「あの状況では俺が犠牲になるのが一番ダメージが少ないと判断したからです。」
「そう言ってくれると嬉しいよ。で、今日は挨拶だけかい?」
「挨拶もありますが、今回は異変について美咲先生も何か知らないかと思ってきました。」
「そうなんだね。私も少しは異変については知ってるよ。死んだ者たちの能力が人の形となり暴れているってやつだよね。」
「そうです。他には何か知りませんか?」
「私が知ってるのはその程度だよ。ただ、あの灯篭信夜の能力も復活したって噂で聞いたよ。」
その瞬間空気が歪む。それを抑えるかのように美咲先生が俺の手を掴む。
「大丈夫、次は殺させない。」
・・・
僕はその光景を見て水晶越しに見ていた。
「もうそろそろ異変で生まれた存在と戦わないかなぁ。」
僕がそう思っていると一つの手紙が降ってくる。それには差出人の名前は書いていなかったが僕はすぐに誰なのか分かった。僕はその手紙の内容を読む。
「ふむふむ。なるほどね。」
僕はその手紙を読み終えると背後の扉を開いた。
「雪君、いや、snow、君に依頼だよ。」
僕はある男に声をかけた。
「・・・もう死んだ身だ。依頼が来てもどうしようもねぇよ。」
「管理人直々の依頼なんだよ。断ることは出来ない。」
「・・・はぁ、それは依頼じゃなくて命令だろ…で、どういう依頼だ?」
「とある世界の柳雪を手助けしてほしい。」
「・・・自分の分身みたいなやつを助けろって?」
「もちろん報酬もある。」
「…その報酬による。」
「1つは君を生き返らせる。もちろん同じ世界ではないけどね。2つ目、今回の依頼に海菜も参加させる。この海菜は君の知っている海菜と同一人物だよ。3つめは君の能力の強化だ。生命力を削らないようにしてあげよう。」
「1つ目はわかった。2つ目の海菜が参加するというのはどういうことだ?海菜は死んだのか?」
「うーん、簡単に言うと寿命で死んだって感じだね。君と会うのを期待してたらしいよ。」
「・・・そうか。で、3つ目は強すぎないか?デメリットなしで使えるということか?」
「その通りだよ。で、他に質問は?」
「海菜も俺と同じ世界に生き返るのか?」
「そうする予定だよ。」
「なるほどな。で、俺と海菜の偽名はなんだ?」
「神崎海菜と神崎玲だよ。二人は兄妹ということにしてね。」
「・・・わかった。その依頼、受けよう。」
「それじゃあ、いってらっしゃい!」
僕がそう言うと彼は光に包まれ消えた。
「はは、これでもっと面白くなりそうだなぁ。どうなるのかなぁ。」
僕はその部屋から出て一人でワクワクしながら再び水晶を見始めた。




