ライバルとの再会
私は驚いていた。確実に彼は油断をしていたように感じた。そして手加減はしていたものの私の攻撃を避けたのだ。
「これはただの不審者ではなさそうですね。」
「そっちから見れば不審者だな。で、俺はその奥にいるレミリアさんに用がある。通してくれないか?」
「通すと思っているんですか?」
「そうか。なら無理やりにでも入らせてもらう。」
瞬間目の前から彼が消える。目では追えない速度、私は山勘で防御をする。
「マジかよ…」
彼の拳を止めすぐに腕を掴む。
「今度は当たってもらいます。」
私は思いっきり殴った。彼は吐血をしていた。
「クソったれが…」
・・・
まさかレミリアのところの門番がここまで強いとは思わなかった。俺は吐血した血を拭い再び門番に目を合わせる。そして唱える。
《能力発動:降臨 柳雪》
・・・
彼がそう唱えると空気は一瞬で変貌した。背中に嫌な汗が伝う。
「これはお嬢様並…ですね。」
「おい、もう一度言うぞ。通せ。」
「私は紅魔館の門番です。死んでも通すわけにはいきません。」
「そうか…それなら…死ね。」
再び彼は姿を消した。それを認識したときにはすでに遅く私の後ろで何かと何かがぶつかるような音がした。
「私の家族に何をしているのかしら?」
「やっと来たか。レミリア。」
・・・
俺は門番の後ろに回り込み木刀で気絶させようとした。その瞬間俺の木刀を槍が防ぐ。その槍の持ち主が誰なのか、答えを出すのに時間はかからなかった。
「やっと来たか。レミリア。」
「久しぶりね。雪。で、何の用かしら?」
「少しな。二人で話せるか?」
「ええ、いいわよ。でもその前に。」
レミリアは一瞬で視界から消えた。俺はすぐに木刀で後ろからの攻撃を防ぐ。
「私の家族に攻撃したんだから。死ぬ覚悟はあるわよね?」
「じゃあ俺に攻撃をしたお前も死ぬ覚悟はあるんだよな?」
・・・
お嬢様と彼が激突した瞬間、気温が上がったように感じた。汗が溢れる。そして嫌な予感がする。お嬢様が負けるかもしれないというそんな予感。お嬢様の力はもちろん知っている。だが彼の実力は未知数。お嬢様と彼は知り合いのような感じだった。そしてお嬢様は最初からかなりの力を出していた。つまりそれほどの相手…
「待ってください。お嬢様!」
私がそう言うと二人の動きが止まった。
「私が最初に攻撃をしたのです。」
「・・・そうなの?」
「ああ」
「はあ…わかったわ。悪かったわね。」
お嬢様はそう言って槍を収めた。彼もそれを見て木刀を収めてくれた。
「美鈴」
「は、はい!」
「今後雪が来た際はすぐに通しなさい。そして強敵と判断したらすぐに合図を送りなさい。」
「わかりました。あの、彼とはどういった関係なんですか?」
・・・
「彼は妖夢の部下よ。魂魄雪。記憶喪失の子らしいわ。」
レミリアには事前に妖夢から連絡してもらっていた。そのためすんなりいくと思っていたのだが…
「そうなんですか…申し訳ありませんでした。」
「いえ、少し吐血した程度なので大丈夫です。で、入っていいですか?」
「はい。」
そして俺はやっと中に入ることができた。
俺はレミリアに案内されてレミリアの仕事部屋にいた。
「で、どういうことかしら。雪。」
「俺にも分からん。能力も使えないしな。」
「そうなのね。で、美鈴はどうだった?」
「どうだったって…強かったぞ。"あの学園"にいたらSにはなっていただろうな。」
「そうでしょうね。」
「なあ、俺が死んでから能力者の強さがかなり高くなってないか?」
「あなたが死んだからよ。」
「?どういうことだ?」
「あなたが死んですぐ、私と美咲先生と妖夢たちと一緒に復旧をしていったわ。そして復旧は進んでいった。でも私たちの不安は取れなかった。美咲先生の能力は最強だし私も強い。でもあなたが居たときほどの安心感はなかった。だから雪がいなくなって空いた空洞を他の能力者の強化で埋めたのよ。だからあなたが生きていた時より能力者の質はかなりよくなっているわ。悪い意味でもね。」
「犯罪者か…」
レミリアは軽くうなずいた。予想はしていた。あんなに強い能力者がたくさんいるなら全員を善人にすることは不可能だ。そして犯罪者となった強い能力者は捕まえにくいということか…
「もしかしたらあなたが生き返ったのはそれをどうにかするためなのかもね。」
「そうかもな…」




