最強の剣士対努力の剣士
そうだ。別に本当の能力を言う必要はない。前と同じようにすればいい。だから俺はこう唱えた。
《能力発動:降臨 柳雪》
・・・
私はゾクッとしていた。目の前の男性は雪弥君の姿だ。でも気配は全くの別物。私は息を呑む。冷汗が伝い心臓が大きな音を唱え私の本能が戦うなと言ってくる。
「一応聞きましょう。あなたは誰ですか?」
彼はゆっくり私の方を向き口を開く。
「久しぶりだな。妖夢。」
「雪さんなんですね。本当に。」
「ああ、で、どうする?やるか?」
「そうですね。きっと私は雪さんには勝てないでしょうね。でも今の私が雪さんにどれぐらいついていけるのか知りたいんです。」
今まで私は雪さんを目標に鍛えていた。そして気づくと軍のトップになっていた。でも私は雪さんに追いついた感じがしなかった。だけど今の剣士たちは雪さんと比べることもできないほどに弱い。故に私はこれ以上強くなる自分を想像できなくなっていた。それが今できる。
『雪さんに勝つ自分を思い浮かべる。負けるなんてこと考えなくていい。勝つことだけを考える。』
最初に動いたのは私だった。一瞬で距離を縮めて刀を振るう。雪さんはそれに合わせて刀の側面にナイフを当てて軌道を変える。私はすぐに逆袈裟に変える。雪さんはそれをナイフで防ごうとする。だが
「私の攻撃はそんなナイフじゃ止まりませんよ!」
そのまま押し切る。だが雪さんは私の刀とナイフの接点を軸に一回転をして私の攻撃を避ける。
「ふむ、強いな。」
「得意武器じゃないはずなのにここまで出来る雪さんの方が強いと思いますよ。」
「そうか…それじゃあ次は俺から行くぞ。気張れよ。」
瞬間目の前から消える。さっきの雪弥君の時とは比べ物にならない速さ。私は山勘で刀を振るう。
「バキッ!」
と木が折れる音がした。折れたのは私の刀だった。雪さんのナイフは少し壊れているが使えないほどではなかった。
「参りました。」
「ふぅ…強かったな。さっきの攻撃に刀を当てられた時は正直驚いたよ。」
私はそう言われて心が満足で包まれそうになる。でも私はそれを抑える。
「私はいつか雪さんを超える剣士になります。その時は再び立ち合いをお願いします。」
「ああ、それぐらいいくらでもやってやる。」
雪さんがそう言うとその場で気絶した。気配は雪弥君に戻っていた。
「妹紅さん、運ぶのを手伝ってください。」
「あ、ああ、わかった。」
・・・
俺は気絶したふりをした。その方が本当の能力だと思わせることができると思ったからだ。そして俺が目を開けるとそこは病室のような場所だった。
「起きたな。」
そこには妹紅がいた。
「あ、おはようございます。」
「おう、あ、起きてすぐで悪いが妖夢が呼んでたぞ。」
そして俺はすぐに妖夢のところに向かった。




