試験
俺と妖夢は訓練場に向かっていた。
「緊張してますか?大丈夫ですよ。手加減はするつもりです。でもあなたが予想以上に強かったら本気を出しますが…」
「本気を出させられるように頑張ります。」
俺はそんなことを言ったが内心では焦っていた。妖夢は剣士だ。俺の太刀筋を見ただけでバレる可能性がある。
『どうしたものか…今の妖夢の実力は不明…本気を出さずに勝てる相手か?太刀筋を変えて戦うことは別に難しいことではない。だがいつもと違うことをするため実力を出し切ることは出来ない…』
俺がそんなことを考えている間に訓練場についた。そこにはたくさんの兵士が訓練をしていた。そして兵士は妖夢に気づくとすぐに頭を下げる。
「おはようございます!」
「うん。おはよう。あ、今からこの子と戦うから離れててね。」
「わかりました!」
そして兵士たちは全員離れていく。
「それじゃあ始めようか。武器は何が得意か覚えてるかな?」
『ここで刀を選べばバレる可能性が高くなる。それなら…』
「ナイフだったと思います。」
「そうですか。それじゃあこれで大丈夫ですか?」
「はい。」
妖夢は木製のナイフを渡してきた。妖夢も木刀を構える。
「それじゃあ試験を始めようか。」
・・・
私は雪弥君から強者の雰囲気を感じていた。強者のみが持つオーラのようなもの。手加減をするとは言ったが私は一ミリも油断するつもりはなかった。
「いつでも攻めてきていいからね。」
「はい…」
瞬間雪弥君の雰囲気が一気に変わる。久々に感じる負けるかもしれないという感覚。最近ではレミリアさんや靈華さんとも戦うことはなかったから忘れていたこの感覚。
『集中しろ私…彼に隙を見せてはいけない…』
その瞬間目の前の雪弥君の姿が消える。否、目で追えない速度で移動したのだ。私は木刀を後ろに振るう。すると重い攻撃が私の刀に当たる。
「ッ!!」
私は全力でその攻撃を跳ね返す。
『なんて力…油断していたら大けがを負っていたかも…これは』
「本気を出さないと勝てなさそうですね。」
・・・
俺の初撃を防ぐとは思っていなかった。妖夢は油断して俺の攻撃を食らい一発で終わると思っていた。だが妖夢はそれを防いだ。油断していなかったのか油断をしたうえで防いだのかは分からない。ただ1つ、俺が知っている妖夢とは比べ物にならないぐらい強くなっていることだ。
『ナイフにしたのはミスったか?』
そして妖夢の気配が変わる。俺の背中に冷汗がつたう…
『負けるのは別にいい。この試験の合格は勝利ではない。だが、今の妖夢の実力が知りたい…どうする…』
瞬間ある考えを思いつく。
「ここからは本気で行きます…雪弥君も本気で来てください。さっきのが本気ではないでしょう。」
「わかりました。では能力を使わせてもらいます。」
・・・
能力を使う…雪弥君はどんな能力を使ってくるのだろうか。最低でも戦闘に使える能力であることは多分確かだと思う。ならどんな能力?
「僕の能力は死人の魂をこの身に卸すことができる…」
「え?」
何を言っているのだろうか。能力を開示した?
「いいんですか?言ってしまって。」
「はい。これは僕の能力のひとかけらにすぎないので。」
魂を操る能力?自分の身に別の人格を作る能力?まだわからないが強い能力には変わらない。
「能力発動:降臨・・・」
その瞬間雪弥君がとある人物の名前を呼んだ。それは私の知り合いであり、私の目標であり、過去世界を救った一人、そして最強の1人…
「柳雪」




