決着《最強の三人》
ラストバトルが始まった。俺と美咲先生は同時に踏み込む。そして黒幕に接近し俺は蹴りを美咲先生は殴りかかった。黒幕はそれを軽く避ける。だが、俺も美咲先生もそうなることはわかっていた。俺はすぐに蹴りに使った足を地面につけ、それを軸に尚且つさっきの蹴りの時の身体のひねりはそのままもう片足で回し蹴りをする。それに合わせて美咲先生ももう片方の手で殴りかかる。だが男は両方とも避けて、すぐにカウンターを放ってくる。カウンターを食らったのは俺だ。そして俺は壁にまで吹き飛ばされる。それに一瞬だけ気を取られた美咲先生も黒幕の蹴りを食らう。
「お前は封印できないことはわかった。だがそっちの男はどうかな?」
黒幕はそう言うと俺の方向に凄い勢いで接近してきた。俺は能力を使う。黒幕には効かない。なら自分に使えばいい。自分自身に能力を使い、黒幕の動き以上のスピードで俺は美咲先生に引き寄せられる。そして美咲先生に当たる前に能力を解除する。
「ふむ、自分自身に能力を使うか。まあ、そうされたら俺の能力は関係ないしな。だがいつまで耐えられるかな?」
俺は考えていた。どんな能力にでもなにか弱点が存在する。俺の能力なら死人は復活できない。レミリアなら未来を大きく変えるような運命操作はできない。そのように弱点の大小はあるものの確実に弱点はあるのだ。だが、黒幕はそんな思考をする時間もくれない。俺は触られないように動きながら軽めに攻撃する。たまに捕まれそうになるが美咲先生が蹴り飛ばしてくれる。そして俺はポケットに入れていた砂を巻く。
「前使った技だが、意外と使えるんだぜ?」
俺は砂にかかっている重力を上げる。だが、前回とは違い威力はかなり上げている。黒幕は致命傷は受けてはいないが手や足に数か所の穴が空いている。
「痛いな。重力を上げる能力か?いや違うな。その程度の能力ならさっき俺から逃げる時のが説明できない。もしかして何個か能力を持っているのか?」
「敵の質問に答えるとでも?」
「それもそうだな。もし俺がお前の立場なら答えない。」
「ねえ、私のこと忘れてない?」
俺が会話で気を引いた一瞬のうちに美咲先生は後ろに回り、蹴りを放っていた。
「忘れてない。お前を一番警戒してたからな。」
黒幕はそう言って両腕で防御する。だがそれでも数メートルは飛ばされる。
「かなり力を入れて蹴ったと思うんだけどな。」
「危なかった。俺が再覚醒をしていなかったら腕が飛んでいた。本当に女性なのか?」
「失礼だな。私はれっきとした女性だよ。」
「力だけ見たら女性とは思えないな。」
「俺のことは無視してていいのか?」
そう言って俺は銀の玉を弾く。弾いた玉に能力で逆の壁に引っ張られるようにした。銀の玉はもの凄い勢いで黒幕の方に行く。黒幕はギリギリでその球を避ける。だが少し掠ったようで掠った場所からは血が垂れてきていた。そして銀の玉は壁にめり込んでいた。
「油断していた。ここまでの威力が出るなんてな。だが次はない。」
黒幕はそう言って俺に近づいてくる。俺はすぐに攻撃の体勢に移るがすでに黒幕は目の前まで来ていた。美咲先生もカバーできる位置じゃない。終わった。そう思った瞬間だった。黒幕に向かって凄い勢いで槍が飛んできた。黒幕は急ブレーキをかけて避ける。
「遅くなったわね。来たわよ。」
槍を投げたのはレミリアだった。
「マジか。最強がもう一人来たか。」
「これで状況は変わったね。これでも勝てるのかな?最強三人相手に。」
「さあな、だがやるだけやるがな。それにお前ら三人を殺せば後は簡単だろう?それにきっとお前らを同時相手にして勝ったら歴史上に残るだろ?灯楼信夜は最強三人相手に勝ったってな。」
「そうか。だがそれは叶わない。お前はここで俺らに殺されて終わるんだよ。」
俺はそう言って信夜に近づき蹴りを放つ。信夜はそれを余裕で避けてカウンターを放つ。俺はギリギリで手を挟んで防御する。そしてレミリアも槍で攻撃する。だが信夜はそれも受け止める。美咲先生がその槍を受け止めた手を攻撃するが、避ける。
「さすがに三人だときついな。」
「攻撃を食らってないくせによく言う。」
「そうだな。だが、俺的にはお前の方が舐めてるようにしか見えない。」
「なんでだ?」
「だってお前、その腕、治せるだろ?能力で。お前の能力はなんとなくわかってきた。完璧にはわかってはいないが腕ぐらい治せるんじゃないのか?俺はそう思えてならない。」
「そうか…これはいざって時の切り札に取っていたんだがな。」
そして俺は春に奪われた腕をもとに戻す。本当は信夜の隙を突いて元に戻し攻撃しようと思っていたのだが、バレているのなら意味がない。
「やはり治せたか。ここからが本気ってことだな。」
「ああ、ここからは全力だ。」
そして俺は思いっきり地を蹴る。そして信夜の目の前まで行く。俺はパンチを放つがそれを軽く避け俺の腕を触ろうとしてくる。それを防ぐように美咲先生が信夜の腕を殴る。だがその拳が当たる前に腕をひっこめる。その間に後ろに回っていたレミリアが槍で攻撃する。信夜は避けるのが遅れ、攻撃を掠る。だがすぐさま俺を蹴り飛ばす。蹴り飛ばされた俺は入り口の壁まで吹き飛んだ。俺はすぐに立ち上がる。その時、声をかけられた。
「雪さん!」
後ろを振り向くと妖夢たちだった。
「雪さんの本当の得意武器は刀でしたよね。私の刀、白楼剣と楼観剣です。使ってください。」
そう言って妖夢は自分の刀を差しだしてくる。
「いいのか?」
「いいんです。私はこんな形でしか役に立てないので。それより急いで加勢に行ってください。」
「ああ、ありがとう!」
俺はそう言って戻っていった。
俺が戻っているとレミリアが攻撃を食らいそうになっていた。俺は地を蹴りレミリアと信夜の間に入って楼観刀で攻撃を止める。
「やっと戻って来たわね。」
「ああ、すまない。ここからは全力だ。」
「雪が全力なら私も出さないとね。」
「私も久しぶりに全力出そうかな。」
「おいおい、さっきので全力じゃないとか、冗談きついぜ?」
「しゃべってる暇があるのか?」
俺は一瞬で信夜の背後に回り斬りかかる。だが避けられる。連続するようにレミリアも槍で攻撃する。それも避けるが避けられた瞬間レミリアは槍を投げる。信夜は槍を蹴り飛ばす。だが変な体勢で蹴ったため体勢が崩れる。そして美咲先生の攻撃をもろに食らう。そして信夜はその場に倒れこむ。
「さすがに…3対1は…勝ち目ないな…」
「じゃあ、もう死んでくれ。」
「勝ち目はない。だが道ずれならできる。」
信夜はそう言ってすぐ立ち上がり、凄い勢いで美咲先生の方に行く。そして手を伸ばす。俺は今までに出したことのないスピードで走り間に入る。俺は信夜に触れられた。
「別にお前でもいいか。」
俺は信夜の隠し持っていたナイフに刺された。俺はすぐに刀で信夜を斬った。そして俺と信夜は同時に倒れる。
「それで刺された人間は能力を無効化する能力を強制的に使われる。そしてお前はもう致命傷。これが…俺の…最期だ。」
信夜はそう言って死んで行った。
「雪!」
レミリアが近づいてきた。
「すまん。最期の最期にしくじった。」
「しゃべらないで!死ぬわよ!」
「見たらわかるだろ?もう回復は見込めない。能力も使えない。もう終わりなんだよ。」
「なんでよ…なんであなたが死ぬのよ!」
「俺は今まで運が良すぎた。強い能力は手に入れたし、お前のような友達はできたし、美咲先生のようないい先生とも出会えた。今まで来なかった不幸がここで収束しただけだ。泣くことはない。お前にはまだ妖夢もフランも輝夜も美咲先生もいる。俺がいなくても幸せに生きていけるだろ?」
「そう…ね。」
レミリアはそう言って涙を拭う。
「そろそろ意識が持たなそうだ。それじゃあな。」
「ええ、じゃあね。」
……
そう言って彼は死んだ。その後来たみんなは泣いていた。家族が死んだことや仲間が死んだことなどいろいろだ。彼のために泣いたのは私と妖夢、妹紅、輝夜、フランだった。フランが泣くとは思わなかった。そしてたくさんの被害を出したこの異変は幕を閉じた。




