幹部"冬""秋"
私たちは目の前の敵を睨んでいた。相手の能力は私たちには効かない。なら私たちに負けはない。だが油断はできない。身体能力は私よりはあるだろうし、妹紅やフランでも追いつけるか分からない。
「ねぇ、君たちはなんで僕が氷を作る能力だと思ってるの?」
冬がそう言った瞬間、みんなが凍えだした。
「大丈夫?」
「なんだか、とても寒い。」
「ああ、急に寒くなりやがった。」
「私はそんなことはないけど。」
「僕の能力で君たちの体温を下げた。体温が下がっている君たちじゃ僕や秋には身体能力では勝てないよ。」
そう言うことか。私は能力のおかげで体温が下がらないが、二人はそうではない。しかも私の能力は一度変わったことを戻す能力ではないため、二人の体温を上げることは出来ない。私の能力はあくまでも永遠と須臾、不変になるだけ。
「私が体温が下がっただけで動けなくなるとでも?」
妹紅はそう言うと炎を纏う。
「私の本当の能力は炎を操る能力だ。体温なんていくらでも上げられる。」
「私は変えられないけど、能力自体は使えるから、そんなに変わらないよ。」
「それでもさっきよりは動けないでしょう?」
そう言って秋が一瞬でフランに詰め寄り打撃を与える。フランは避けようとするが体温が下がっているためうまく避けられず壁まで吹っ飛ぶ。
「やっぱりダメージを与えても私の能力は効かないか。」
「そりゃあね。私の能力であなたの能力は効かないようにしているから。」
「じゃあ、あなたから殺してあげる。」
秋は次に私のところに来る。私は避けようとするが、その瞬間足が凍る。それを見た妹紅がすぐに氷を溶かす。
「凍らせてるんじゃねぇよ。」
そして私はギリギリで避ける。だが、私は気づいたら吹っ飛んでいた。何故吹っ飛んだのか、すぐには理解できなかった。数秒経って理解した。私が秋の攻撃を避けることをわかった瞬間、冬も私に近づいていたのだ。そして私は冬の蹴りを食らった。私の能力で能力を無効化しているとはいえ痛みはある。たくさん食らえば負けるだろう。
「もうそろそろ、本気を出さないとね。」
私は能力を発動する。そして私の周りの時が止まる。正確には止まってはいない。ゆっくり動いてはいるのだ。だがほとんど止まっていると言っても過言ではない。須臾とは時間の単位、人間はそれを認識できない。私はその時間を自由に移動できる。だがこの能力にも弱点はある。常時発動されている能力には意味がないし、これを使っている間はとてつもないスピードで体力が減る。それはそうだ、行ってしまえば私は今、周りから認識されないスピードで動いているのと同じなのだから。そして私は能力を使った状態で冬と秋を全力で蹴る。そして私は能力を解除する。瞬間私が蹴った場所に風穴ができる。そして両者その場に倒れる。だが冬は最期の力を振り絞り私と妹紅を氷漬けにしようとしてきた。私は体力の限界で防げない。妹紅は溶かそうとはするがその温度がかなりの低温であるため妹紅の炎ですら溶かせない。道連れかと思った瞬間だった。
「きゅっとしてドカーン。」
その声が響いた。そして私たちの周りの氷が壊れる。
「はあ、痛いし疲れた。」
「そうだな。いったんここから避難して休憩するか。」
「そうね。ここにいると雪と先生の邪魔だしね。」
私たちはそう言って地下シェルターから抜け出す。
……
俺と美咲先生は苦戦していた。今回の異変の黒幕である男がかなり強いからだ。何故か俺の能力が効かない。美咲先生の能力ですら効かないのだ。
「その能力、本当に厄介だね。」
「俺からすればお前の能力の方が厄介だと思うがな。それにその口ぶりからして俺の能力はわかっているのだろう?」
「ええ、あなたの能力はありとあらゆる能力から干渉されない能力、そしてもう一つ、封印する程度の能力。能力二つ持ちでしょ?」
「さすがだな。だが、それを知ったうえで勝てると思っているのか?」
「それなら物理で倒せばいいだけでしょ?」
「触れられれば封印される状況でか?」
「こっちは最強2人よ?そっちこそ勝てるとでも?」
「二人では俺には勝てんよ。」
そして始まった。正真正銘のラストバトルが。




