作戦会議
俺は扉のノック音で目を覚ました。そして美佳が扉を開ける。
「はい。何でしょうか?」
「もうすぐ会議の時間なので会議室に案内するために来ました。」
「ほら、雪。起きなさい。行くわよ。」
「わかった。」
俺はそう言って起き上がり、俺らを呼びに来た女性の後をついていく。するとすぐに会議室に着いた。俺たちは会議室の中に入る。
「あら、あなたたちも来たのね。雪は来ないと思ったのだけれど。」
「レミリアもいるじゃないか。久しぶりだな。」
そこには霊夢と魔理沙がいた。ほかにも靈華、妖夢、瑠雨がいた。そのほかは俺の知らない人物たちだった。そんなことを考えながら席に座ると、指揮官らしき人物が来て、すぐに会議が始まった。
「では今から作戦会議を始める。まずは私の自己紹介から私は軍の指揮官東条秀明だ。今回集まってもらったのは今回の敵を殲滅するために集まってもらった。」
秀明がそう言うと1人の男が手を挙げる。
「何かな?」
「少し質問だ。なんでこのタイミングなんだ?ある場所では大量の再覚醒者が現れたと報告を受けている。そんな状態でわざわざ赴いたんだ。それ相応理由がないのなら俺は帰るぞ。」
「理由はある。1つは最近再覚醒者の質が上がってきているからだ。これ以上強くなられると勝ち目がなくなってしまう。もう1つは敵幹部2人が死亡したからだ。」
その瞬間周りが騒がしくなった。幹部とはそれほどに強大なのだ。それが死んだとなれば誰だって驚くだろう。
「誰が殺したんだ?まさか自殺とは言わねぇよな?」
「ああ、ここにいる柳雪さんが二人とも殺した。」
そしてさっきまで秀明の方に向かっていた視線が一気に俺に向く。
「おい。それは本当か?」
「ああ、本当だ。」
「殺した幹部は誰と誰だ。」
「春と夏だ。」
俺がそう言うと周りはさらにざわつき始める。
「なんでそんなにざわつくんだ?」
俺のその質問に霊夢が答えた。
「それはね。春と夏は幹部の中でも大きく動いている2人だったからよ。大きく動いているのに殺せない。逆に何人も殺されたわ。それほど強い二人をあなたは一人で倒したのよ。」
「ふーん。そうか。」
「俺はお前が倒したとは思えない。そこにいるレミリア・スカーレットならまだしも、名前も聞いたことのないお前が倒せるとは思えない。」
「はあ、じゃあやり合うか?」
「ああ、上等だ!」
「ちょっと!二人とも!」
妖夢が止めに入る。だが男はすでに能力を使いだしていた。男の能力により周りの花瓶が動き出す。そして花瓶は俺に向かってくる。俺は能力を使い、男を一瞬で床にひれ伏させる。
「クソが…この程度じゃ俺は能力を解除しないぞ!」
「はあ、そんなことしなくてもいい。」
俺は花瓶から男の能力を引き離した。そして花瓶は重力に従って落ちる。床に当たる前に能力で重力を操り花瓶は割れなかった。
「はあ、雪、その程度にしなさい。能力も解除して。今は味方同士で戦ってる場合じゃないでしょう?」
霊夢がそう言うので俺は能力を解除する。能力を解除した瞬間男は俺に殴りかかってくる。
「ちょっと!栄人さん!そこまでにしてください!」
妖夢がそう言うが男の耳には届いていない。
「はあ、めんどくさいが少し眠っとけ。」
俺は能力で男から意識を引き離した。そして男は気絶した。
「こっちは能力解除して戦う意思がなくなったのは示したのに襲ってくるとか、こいつはバカなのか?」
「言い過ぎよ。彼は意外と強いって有名なのよ。そんな彼が一瞬で床にひれ伏されたのよ?プライドが傷つけられたはず。それでキレてもおかしくないわ。」
「そうか。今後は気をつける。」
気づくと周りは静まり返っていた。そしてその静寂を破ったのは秀明だった。
「見ての通り、彼の実力は本物だ。まあ、私も初めて会ったのだがね。ここまでとは思わなかった。と、では会議を再開しようか。で、今は敵組織は幹部が2人いなくなって戦力が下がっている。今が攻め時だと私は思っている。そのため君たちに来てもらった。君たちには二つのグループに分かれてもらう。敵組織を攻めるグループと地下シェルターを守るグループだ。君たちはどちらに就きたい?」
「私は攻めかしらね。」
「俺もだな。」
最初に俺とレミリアが答えた。
「私は守備ね。」
「私もだな。レミリアと雪と同じだと自分の実力に自信がなくなりそうだしな。」
「私も守備がしたいです。」
霊夢、美佳、魔理沙は守備のグループにしたらしい。
「俺も守備だな。俺の能力はそこまで攻めには向かないからな。」
「私は攻めね。」
「私は…
そして十数分で全員のグループが決まった。
「ではグループごとに集まり自己紹介と作戦を考えてほしい。」
グループごとに分かれたのだが同じグループの7人中3人は知っている人物だった。
「私はレミリア・スカーレットよ。今回はよろしくね。」
そしてレミリアから自己紹介が始まる。
「俺は柳雪だ。よろしく。」
「私は江渡島靈華。よろしく。」
「私は魂魄妖夢です。よろしくお願いします。」
「私は神崎海菜よ。よろしくね。」
「俺は山崎潜葉だ。よろしく頼む。」
「俺は拝藤嵩雷だ。よろしく。」
「私は小野塚小町だ。よろしくね。」
そんな自己紹介が終わり、作戦会議が始まった。
「まずはどうやって相手の拠点に侵入するかよね。」
「正面突破だろ。結局侵入はバレる。てか作戦会議をしていることはバレているはずだ。なら正面突破が一番楽だし、相手の裏をかける可能性もある。」
「うーん、でもなるべく体力は残したいのよね。」
「俺一人で雑魚程度なら倒せる。」
「私はあなたの実力を知らないから任せられるか分からないのだけれど。」
「俺の能力は攻撃を必中にする能力だ。まあ、別の能力が干渉してきたら効果はなくなるし、自分より身体能力の高い人間にも効かないけどな。そこら辺の再覚醒者なら確実に当たる。」
「うーん、それなら任せるわ。」
「一応私も手伝います。」
「じゃあ雑魚処理は妖夢と潜葉か。残りはどうする?」
「私は能力的にそこら辺の索敵かしらね。あ、私の能力は生命を感じる能力よ。」
「俺は後ろからのアシストをする。能力が相手の動きを鈍くする能力でアシスト向きだからな。」
「私は距離を操る能力で攻撃系の能力じゃないんだよね。だから私もアシストに回るよ。一応鎌もあるから戦えるには戦えるけどね。」
「それじゃあ私と雪が幹部の時は潰しましょうか。」
「そうだな。それが妥当だろうな。」
そしてこちらの作戦は決まった。
「おい。守備の方は話し合いは終わったか?」
「ええ、ある程度の位置とか役割は決めたから、大丈夫よ。」
「どっちとも終わったらしいね。それでは作戦開始は明日だ。今日はここでゆっくり休んでくれ。」
「俺は運動をしたいんだが、ここは軽く運動できる場所はないのか?」
「地下に訓練場はあるが、さすがに今日は休んだ方がいいと思うが?」
「軽く運動し終わったら寝るよ。それじゃ俺はそこにいってくる。」
「私も行くわ。」
俺とレミリアは地下に向かった。この時の俺たちは気づいていなかった。明日、この異変のピークが訪れることを。
……
「はあ、起きちゃったわね。」
「あ、秋も起きたんだ。」
「冬も起きたのね。」
「さすがにそんなにたくさんは寝れない。作戦の用意はどんな感じ?」
「準備万端よ。冬はちゃんと攻める場所は確認したの?」
「うん。攻める場所は、"地下シェルター"。そこを潰して相手の精神を壊してその間に殲滅する。」
「そうよ。きっと相手はこっちの拠点にも戦力を割くはず。私たちがすでに移動の用意をしているとも知らずにね。ボス曰く相手が来るのは私たちの作戦開始と同じ明日らしいわ。」
「そうなんだ。でもボスはなんでそんなこと知ってるの?」
「ボスの能力はそういう能力なのよ。それに攻めてくる戦力の方が大きいとも聞いたわ。ならこれはかなりのチャンスよ。」
「うん。ここでこの国を終わらせる。」




