化け物
俺は鋼駅の前で妖夢が来るのを待っていた。すると遠くからこちらに歩いてくる二つの人影が見えた。一人は妖夢だった。もう一人は俺の知らない人物だった。多分軍人の1人だろう。そんなことを考えていると妖夢がこちらに気づき走ってこちらに近づいてきた。
「雪さん。遅れました。待ちましたか?」
「いや、それより横のそいつは誰だ?」
俺がそう言うと横の女性は自己紹介を始めた。
「葉加瀬那奈です。妖夢さんより一つ地位が低い感じですね。」
「俺は柳雪だ。よろしく。てか妖夢ってそんなに地位上なのか?」
「まあまあですね。軍は司令官、副司令官、元帥、大将、中将、少将、准将、大佐、中佐、少佐、大尉、中尉、少尉、軍曹、伍長、一般兵って感じで分けられてるんですよ。私は准将ですね。あ、那奈は中佐ですね。」
「思っていたより高いんだな。靈華はどれになるんだ?靈華も軍に入ったって聞いたからな。」
「靈華さんは中尉ですよ。」
「凄いな。俺がもし軍に入ったらどこぐらいまでならいける?」
「雪さんなら元帥程度なら余裕かと。」
「そんな話よりも夏の死体を確認しないと!」
那奈のそんな発言で話は切られる。
「そうだな。死体はそこだ。」
俺は夏の死体を指差す。妖夢と那奈はその死体による。
「窒息死でしょうか?しかもかなりの速度で窒息させられてますね。どうやったらこんな死体ができるんでしょうか?何をしたんですか?」
「能力を使って一瞬だよ。ただの雑魚だったしな。まあ身体能力は高かったが俺が両腕あった頃よりは低かったがな。」
「ほんとに雪さんは化け物じみてますよね。夏は今まで軍の大将レベルでも殺してきた人物なんですよ?」
「能力の相性がよかったのもあった。だが一番はあいつが油断したからだな。あいつが油断していなかったらもしかしたら逃げれたかもしれないのにな。」
「油断してても今まで勝てたからでしょうね。」
「てか、お前らはこの先どうするんだ?」
「私は予定はないですね。夏の死体は回収班がもう少しで到着しますし。」
「私もないですね。」
「そうか。それなら暇つぶしになんかするか。」
俺がそんなことを言うと爆発音がした。
「また再覚醒者ですか…」
「そうらしいな。行くか。」
そう言って俺たちはそこに移動した。
俺たちがそこに着くと見知った人物が戦っていた。
「お、レミリアが戦ってるのか。」
その声にレミリアは気づいたらしく再覚醒者を蹴り飛ばす。
「退院したのは知ってたけどまさか妖夢たちと一緒にいるなんてね。」
「レミリアさん。お久しぶりです。」
「久しぶりね。」
「てかレミリア。手こずってるようだが大丈夫か?」
「なんか最近再覚醒者の力が増してるのよね。それこそSランクの人間とですら互角にやり合えるほどにね。」
「手伝おうか?」
「手伝ってくれるならお願いしたいのだけれど。」
そんなことを話していた時、吹っ飛ばされた再覚醒者が一瞬で俺たちに近づいていた。レミリアは反応が遅れたのか少し体勢を崩していた。俺はずっと警戒していたのでそんなことはなかった。なので俺は能力を使って再覚醒者をミンチにした。
「はあ、助かったけどかなりグロイことするのね。てか腕がなくなる前より強くなってない?」
「あの頃は手加減しないとだったからな。」
「まあそうよね。こんな一瞬でミンチにする能力、学園で使っていたら終わってたでしょうからね、いろんな意味で。」
俺たちがそんな会話をしていると
「な、なんかすごい会話ですね。」
そんなことを那奈が言っていた。
「私はレミリアさんを何回も見てきたので慣れてましたが、初見の人ならこうなるでしょうね。私も雪さんの力には少し驚いてますし。」
「これぐらい余裕だ。そうじゃなきゃ夏には勝てねぇよ。」
「夏に勝ったのね。私も戦ったことあるけど逃げられたわ。」
「まああいつの能力とお前の能力は相性最悪だしな。」
夏の能力は自分にかかる力の無効化、レミリアの能力で運命操作しても無効化されただろうな。だからこそ相性最悪なのだ。そんなことを思っていると日が沈み始めていた。
「もう夕方か。時間の流れは速いな。お前たちは何するんだ?」
「私は家に帰るわ。フランや咲夜が待ってるし。」
「私は一旦拠点に帰りますね。」
「私は見回りがあるので。」
「そうか、じゃあ俺も帰るかね。それじゃあな。」
そういって俺たちは解散した。そして俺は久しぶりに家に入るのだった。学園に入ってからは家に帰ってなかったし、妹も避難しているため家は誇りまみれだった。
「汚いな。少し片づけるか。」
俺はそう言って能力で部屋をきれいにする。やっぱり俺の能力は使い勝手いいな。そして俺は冷蔵庫を開くがほとんどが腐っている。それも俺は能力で腐る前に戻す。
「前まで本当の能力隠してたが正解だったな。こんなチート能力、教えられないしな。」
俺は腐る前に戻した材料を使って軽く晩御飯を作り食べて、風呂に入ろうとするが…
「風呂場もきたねぇのかよ…もういっそ家全体に使うか。」
そう言って俺は家全体に能力を使う。そして家の中は新居かのようにきれいになっていた。俺はそんな家の中で風呂に入って、自分の部屋で眠りにつくのだった。
……
「さて、明日は彼とまた戦うのね。」
夏を倒したのだ。学園であった時よりは強くなっていると考えた方がいい。
「まあ油断しなければいいか。今日は寝ようかしらね。」
そう言って私は眠りについた。




