入学
俺は柳雪。今年から能力学園に通うことになったことを除けばごく普通の高校生だ。
この世界には能力者が結構存在する。割合にするなら無能力者7の能力者3程度だ。今や戦争がいつ起きてもいいように全ての国が能力者を育成している。そして俺が今年から通う能力学園《聖凛能力学園》もその一つだ。
「はあ、やっぱ能力者の育成のために作られただけあって、かなりデカいな。」
学園の広さはそこら辺の遊園地程度なら丸々一つ入りそうなデカさだった。そして門を通ると、そこにはSからEまでのランクに分けられたクラス表が張られていた。ランクとは能力の強さを表す単位的な奴だ。Eは一般人程度、Dは一般人が20人程度いても勝てる程度、Cは爆弾程度の威力を出せる程度、BはCランクの能力者の三倍以上の火力が出せる程度、Aは一人で軍隊を相手にできる程度、Sは一国を亡ぼせる程度とされている。だがこれはただの基準。能力が戦闘系じゃない人の場合はまた別の基準があるらしい。身体強化系なら能力者本人の身体能力も考慮してランク付けされるだろう。そして俺はSランク判定だったらしい。まあ一年生の頃のランク付けなんてそこまで重要じゃないのだがな。
そして俺はSランクの教室に入った。中にはすでに数名の生徒が座っていた。そして残っている椅子の数は一つ。そこが俺の席。つまりはこれでSクラスは全員ということだ。まあ一国を亡ぼせる能力者がゴロゴロいるわけがないからな、そりゃそうか。そんなことを考えていたら俺が席に座るとドアが開き教師らしき人物が現れた。
「全員そろっているな。今日は入学式を行った後またここに戻り、帰りのHRを終えたら解散だ。じゃあ廊下に適当に並べ。」
教師がそう言うと俺らは廊下に行き並んだ。並び終わると先頭が歩き始める、それの後についていく。そして体育館に着く。そこにはすでにEからAまでの生徒は座っており、残されたのはSクラスの席だけだった。そしてSクラスの全員が席につくと入学式が始まった。
入学式ではクラスごとの担任の紹介や学園の校則について話された。俺たちSクラスの担任は乱堂美咲らしい。乱堂美咲は有名なSランク能力者だ。かなり強い能力の持ち主らしいが、その能力は明かされていない。Sクラスの担任の選抜としてはこれ以上ない人選だ。そして学園にはいくつか校則があるらしい。1つ目は能力を使用する場合は教員の誰かに許可を取ること、ただし例外として異変解決部は異変時のみ教員の許可なしに能力発動が許されている。ま2つ目はこの学園には決闘が存在する。決闘は下のランクの人物が上の人物に挑むことができる。下の人物が勝った場合上の人物とランクを交換。EランクとCランクが決闘を行いEランクが勝てばCランクに上がり、CランクはEランクになるということらしい。逆に上の人物が勝った場合は変動なしの一か月間だけ下の人物は決闘を挑めない。そして決闘時は能力の使用許可が出る。ただし決闘場の外にまで影響が及んだ場合は負け判定となるらしい。3つ目は異変を起こした者の処罰について。異変とは教員の許可なしに能力を使用したことを意味する言葉だ。異変は範囲によって処罰の範囲が変わるが退学もあり得るらしい。主な校則はその3つらしい。そして入学式は終わり教室に戻っていた。
「じゃあ帰りのHRの前に自己紹介をしちゃおうか!」
先生がそういうと自己紹介が始まった。
「まずは先生からね!入学式でも言ったけど私は乱堂美咲。なんて呼んでも大丈夫だよ!能力は秘密!よろしくね!」
その自己紹介に続いて次の人物が立ち上がった。
「私はレミリア・スカーレット。能力は運命を操る能力。よろしく。」
「私はフランドール・スカーレット。レミリア・スカーレットの妹だよ!能力は破壊する能力。よろしくね!」
姉の方は大人しいイメージだが妹の方はかなり元気だな。
「私は十六夜咲夜です。レミリアお嬢様のメイドです。能力は時間を止める能力です。よろしくお願いします」
何なのだろうか。先生以外は全員能力を言うんだな。まあ圧倒的自信があるのだろうな。
「私は蓬莱山輝夜。能力は秘密。3人みたいに自信がないからね。よろしくね。」
「俺は神崎災羅。能力はサイコロの目で全てを決める能力だ。よろしく。」
「私は古明地こいし。能力は秘密ね!あんまり戦闘向きの能力じゃないから戦い挑まないでね!仲良くしていこうね!よろしく!」
そして俺の番がやってきた。
「俺は柳雪。能力は重力を操る能力だ。よろしくな。」
Sクラスは俺を合わせて7人卒業時にSクラスはこのメンツから変わっているのだろうか。そんなことを思っているとHRが始まっていた。
「明日は学園を案内するから必要なものはないよ。あ、でも少し教科書は配るからバックは持ってきた方がいいかもね。じゃあ今日は解散!みんなはSクラス用の寮に行ってね!」
そしてHRも終わり全員が帰宅していった。俺も帰宅していたら金髪の女性にぶつかった。
「いってぇな。」
「すまん!大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。」
「っておま…あなたはSランクの方なのか?」
「?そうだが?」
「本当にごめんなさい!」
?金髪の彼女は急にしゃべり方を変えて謝り始めた。すると後ろの方から赤いリボンを付けた女性が近寄ってきた。
「魔理沙~。大丈夫?」
「ああ、私は大丈夫だけどSランクの方にぶつかってしまって。」
「…うちの魔理沙がごめんなさいね。」
「?ああ、別に気にしてないがなんでそんなに謝るんだ?」
「えーと、さっき魔理沙はAランクの人にぶつかってめっちゃ言われたばかりなのよ。」
「そういうことね。えーと魔理沙だっけか?」
「はい。」
「そんな怯えんな。別にとって食うわけじゃねぇんだし。俺は柳雪だ。そんなに謝るんだったら俺の願い一つ叶えてくれね?」
「ああ、何でもかなえます!」
「ちょっと!魔理沙!」
「じゃあ、友達になってくれねぇか?」
「へ?」
「いやぁまだ俺この学園内での友達いなくてさぁ。かなえてくれるんだろ?」
「ああ、分かりました。」
「その敬語も外せ。敬語苦手だろ?しゃべり方で分かる。」
「ああ、分かったよ。これで大丈夫か?」
「ああ、できればそっちの赤リボンとも友達になりたいんだが?」
「ええ、いいわよ。あなたは悪い人に見えないし。」
「それならよかった。できれば名前を聞きたいんだが?俺はさっき名乗ったしな」
「私は霧雨魔理沙だ。魔理沙って呼んでくれ。ランクはCだ。」
「私は博麗霊夢よ。霊夢でいいわ。ランクはDよ。」
「そうなのか。じゃあ二人ともまた明日な。」
「ええ。」
そう言って俺は寮に向かった。