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この世界にも試験ってあるのですね・・・



「だから!ここはこの方式を使って解くと言っているではないですか!!」


春の暖かさは終わり、じめつくような暑さがやってきた今日この頃。

暑くなってきたので制服も衣替えした。

淡い水色の半そでのワンピースになり薄くストライプの線が入っており、常夏の夏が背景だったらきっとデート服にもなる、そのような服であった。


もうすぐ夏休み、ここにきて初めての長い休暇ということで何をしようかと胸を膨らませていたさなか、一人の教師の言葉で夢の世界から戻ってきた。

「来週はこれまで習った定期試験がありますので皆さん、復習を忘れないように。」


(え?)


そういうと教師は教室から出て行った。

確かにここは学校だ、貴族がいようが魔法が使えようが試験というものはこの世界にもあるらしい。


(しかしこんな急にさらっと伝えるようなもの?もっと大々的に前もって言わないかな?いや、まてもしかしたら軽いテストのようなものでそんな重く考える事じゃなくて大丈夫ってことかな?前世の世界でいうと小テストみたいな。)


しかしリリィに確認したところ成績の結果はなんと全員分点数順で表に張り出され、点数が悪かったものは補習があるとのことだった。

そこで私とリリィは今週の午後の稽古は中止にし来週の為の試験勉強をすることになった。

しかし勉強に追い付いていない私たち二人で勉強をしてもわからないところは永遠にわからないままだ。

ということであれ以降ちょくちょく関わるようになったペペローメに勉強を教えてほしいと伝えると上機嫌に受けてくれた。


「ここの魔法方程式は一般常識ですわよ?シンシーリア様は一体何をしてこられたのですか?」

あまりにも出来ていないと自分でもわかっていたためペペローメの皮肉な言葉にぐぅの根も出ない。

ゲームの補正なのかよくわからないが文字は前世の言葉ではなかったが難なく読めた。

しかし魔法の術式は前世の世界でいうと外国語のような感覚で絵のような文字で出来上がっており全く読めなかった。

この数か月間の間で一通り文字は覚えたがそれを一つ一つ繋げると分からなくなる。

単語はわかるが文法になると分からなくなるようなものだ。


「あなた魔法はそこまででしたが座学は上位でしたよね?

ここ最近のあなたは前にはやらなかったことばかりやっておりますし、まるで人が変わったみたいですわね。」

当たりだ。さすがペペローメ様。的確に当たっている。

「・・・我慢して頑張りすぎることをやめただけですわ。」

「そうですか。というかリリアン様も寝てないで勉強してください。」

寝ているわけではない。ショートしているだけだ。


「なに、試験勉強しているの?俺も混ぜてよ。」

私たちの席に一人の少年が近づく。

「ポーテルド様」

彼の名前はポーテルド・クレン。商人の子として生まれた次男だ。

亜麻色のくるくるの髪の毛のまんまるとした目でまだ幼さが残る顔は子犬を連想させる。

少し前から様子が変わった私に興味を持ち、リリィと一緒にいるときにちょくちょく絡んでくるようになった。

将来は商人の息子として兄と一緒に商家を継ぐからなのか天賦の才なのか、話し方がとても上手で彼との会話は楽しかった。


「ポーテルド様は勉強はどうですの?出来ますか?」

「それなりかな。まぁお二人よりはできると思うよ。」

「私たちは底辺ですので比べても価値はないですよ。」

「ハハハっ。自分でそんなこと言うかい?貴族なのにシンシーリアは変わってるね。

ほら、リリアン聖騎士固まってないでペンを動かして」

ペペローメは私を、ポーテルドはリリィに、ツーマンセルで教えてくれて少しははかどった。


太陽が沈みあたりが暗くなったところで今日はお開きにすることにした。

そこでポーテルドは3人に問いかける。

「ところでお三人方は試験が終わった後の終業パーティはどうする予定?」

そうだ!思い出した。乙女ゲームの世界でも夏休み前と冬休み前にそれぞれの期間で終業パーティという催しをやっていたのだ。

みなその日だけは華やかな格好をしてダンスを踊ったり、並んである豪華なご飯を食べて楽しい一日を過ごす。

乙女ゲームの主人公もその日は可愛らしいドレスを着て攻略相手とダンスを踊るのだ。

高等部になってからだと思ったが中等部にもそのような催しがあるとは。


「もしよかったら俺ん家の店で新しいドレス買わない?最近いいのが入ってきてさ。友人のよしみとして色付けるよ」

「私はホワイトローズ聖騎士団の一員として参加するから隊服でいく。」

「私もすでに新しいドレスを調達しておりまして・・・しかしクレン家のお店から買えるというのはすこし残念ですわね。貴族の間でもクレン家の商品はすべて評判がいいですもの。」

「それはありがたいお言葉ですね、でシンシーリアは?」

「私は・・・・」

シンシーリアのクローゼットを見たが大量のドレスがあった。

シンシーリアとしては一回は着たことがあるドレスなのだろうが私としてはまだまだ着たことないドレスばかりある。

しかもドレスと言ったらやはりお金も大量にかかるのだろう。

一般庶民から生まれた私は貧乏性がしみついているためいくら私のお金でなくてもホイホイと買える気性はない。

「私も今あるやつ着ていくわ。ありがとう、ポーテルド様。また次の機会にでもお願いできるかしら。」

「了解、そんでやっぱりシンシーリアはカイニス・アルファランス様にエスコートしてもらうのかい?」

カイニスとはあれ以降話してもないし、廊下ですれ違っても会釈をするぐらいだ。

パーティーの話もされてないし約束もしていない。


「いや、そんな話はしてないので・・・

そうだリリィ!聖騎士として参加するのなら私のエスコートしてよ!」

「え?わたし?」

「何言っておりますの!婚約者がおりながらほかの方と一緒に参加されるなんて!」

「でもアルファランス様とはそのようなお話はしておりませんし、きっと生徒会長として忙しいでしょう。ねぇリリィお願い?」

私はリリィに向けて両手を握り可愛くお願いポーズをした。シンシーリアの顔なので効果は抜群だろう。

「シンシアがそれでいいなら私もいいけど・・・」

「やった!それじゃあ決まりね!楽しみだわー!!」


いろいろな事を考えている間に一週間は過ぎ、あっという間に試験も終わった。


結果が張り出されたのを見にいったところ、私とリリィの名前は仲良く隣同士であった。









読んでくださってる方々ありがとうございます!

次から婚約者のカイニスがどんどんと出てくるようになるのでこれからも読んでくださるとうれしいです!

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