コンロってすごいよね
体の芯に流れているものを感じ、それを手のひらに集中させる。
体現させるものをイメージさせ一瞬に力を入れる。
「はあっ!!」
ぽっ、と手のひらに小さい炎が出る。
「おめでとう、マッチの火レベルから脱せられたね。」
「…………」
リリィからの魔法の特訓をしてもらっているがその成果はやっと手のひらの大きさぐらいの火の玉が出せるくらいだ。
「シンシアは魔力が少ないのもあるけど体に流れてる魔力を感じ取れてないって感じだね。」
「魔力を感じ取るって…あっ!」
集中力がきれてしまい炎が消滅する。
元より魔法がない世界の生まれなのだから魔力を感じ取れるわけがない。
どういう意味だ?体の中を流れてる血液を感じ取るようなものだろうか。無理じゃないか?
今は魔法の授業中。
周りの人びとは軽やかに魔法を出している。
その中で私が1番できていないのは目に見えている。
「ほらこんな感じ」
リリィは手のひらに魔法を作り出す。
強い風が円のように回っておりそれがバスケットボールぐらいの大きさの球体に見える。
リリィは風魔法の持ち主だ。通常より魔力が非常に高く、魔法の力の段階を10で表すと7もある。
ちなみに私は当然1である。
「オーホッホッ。見るに耐えない姿ですわ。シンシーリア様」
甲高い声で笑う声が私に話しかけてくる。
そこには恐ろしいほどきつい巻き髪をした女性がこちらに歩いてくる。
(すごい髪だな、トルネードポテトを思い出すな)
ここにもそのような食べ物はあるのだろうか、串に刺さっているので貴族ははしたないといって食卓には出ないかもしれないが、町におりたら売っているかもしれない。
「あのカイニス・アルファランス様の婚約者でもあろう方が魔法もまともに使えないとは…恥ずかしくありませんて?」
「ペペローメ様、少し言い過ぎではありませんか。」
リリィがペペローメという女性を諌める。
ペペローメの手のひらから何かがたれる。
地面についたそれはジュッと音をするとそこの地面が腐っていた。
「私の魔法は毒魔法。闇魔法の派生でありますが魔力は5。魔法士レベルですわ」
この世では魔力0が半数を占め、魔法が使える者でも魔力が2.3.4レベルが沢山いる中、5以上となると数が少ない。
ペペローメはそのような中なので魔力が高い方となる。
「カイニス様なんて魔力が7もあるのにシンシーリア様がそれしか魔法が使えないなんて…
というか貴方、魔法使うの下手になって?確か魔力は3でしたわよね?」
なんと驚き。シンシーリアは元は魔力が3はあったというのだ。ということは私の頑張り次第でもう少し魔法が使えるということだ。
暗闇の中から一寸の光が見えた。
「そうなのですね、ありがとうございます。ペペロンチーノ様」
「ペペローメですわっっ!!!と、いうかなんで感謝されてますの?」
「私今スランプ状態でしてうまく魔法が使えないのです。よろしければ教えていただけますか?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたペペローメは、教えてくれる中大袈裟に褒めるとニヤケが止められないらしく、それに気づいた私とリリィはそれを伝えと顔を真っ赤にして否定する、可愛らしい人だった。
ペペローメにも教えてもらったが授業中にはやはり成果がなかった。
(あーあ。一体どうしたら魔法上手く使えるのかなぁ。マッチの火の大きさから成長はしたものの、今の私はコンロレベル。いや、まてそういえばコンロって温度めちゃ高いよね、青い火だし。どんぐりの背比べだと思ったけどもしかしてつきとスッポンぐらいの差かな⁈)
「ねぇ、リリィ。青い炎を出せたらどんぐらいすごいの?」
「え、火魔法の中で1番の高位魔法じゃない。そんなの魔力10の人以外使えないわよ。まぁその中でも使えない人がほとんどよ。」
「………そっか。」
やっぱりコンロはすごかった。