27 嫁さんとデート2
「あの……美星さん。少し寄りたいところがあるのですが……いいですか?」
思いきってそう聞くとあっさりと頷いてくれる美星さん。その反応にホッとしつつも俺は普段なら入らないようなアクセサリーショップへと足を運んでいた。
「清隆さん。何か買うんですか?」
「えっと………その、美星さんに何かプレゼントしたいと思って………その、別に貢ぎとかじゃなくて、俺からの初デートの記念みたいな感じでプレゼントしたいんですが………ダメですか?」
その言葉に美星さんは少し驚いてから頬を赤く染めてこくりと頷いてくれた。
「わかりました。じゃあ、私からもワガママいいですか?」
「ワガママですか?」
「せっかくですし、ペアリング買いませんか?ほら、そこのハート型のやつ。可愛いですし」
そうして指さしたのは確かにペアリングだが……俺がこれをはめていいものか少し悩んでから、美星さんが望むならと頷くことにする。
「わかりました。じゃあ、これにしましょう」
「はい。じゃあ……着けて貰えますか?」
そう言って左手を出してくる美星さん。俺は緊張しながら定員さんから受け取ったリングをそっとーーー左手の薬指にはめた。美星さんは少しだけ驚いたように目を丸くしてから嬉しそうな笑みを浮かべてくれたのでホッとする。
「じゃあ、私の番ですね」
そう言ってから美星さんも同様に俺に指輪を着けてくれた。なんだかお揃いの指輪というのはなんとも恥ずかしい感覚になるが……同時に嬉しくもあった。
お礼のつもりもあったのだが……俺がこんなに幸せな気持ちになって良いのだろうか?後で絶対罰がありそうではあるが……でも、この幸せの後なら耐えられる気がした。
ここ最近は本当に幸せな時間が多くなってきてるが、いつかその反動は来る気がする。それでも、2人には絶対にいかないように気をつけるつもりだ。2人にはこれから先絶対に幸せになって欲しいからだ。
「ふふ……お揃いですね」
ペアリングを眺めてくすりと笑う美星さん。無邪気な笑顔に思わず見とれてしまうが………あぁ、やっぱり俺はこの人のことが本当に大好きなのだとそう改めて認識させられる。
本当なら今すぐにでも一緒に住んで四六時中一緒にいたいという本当に愚かな考えも浮かんでしまうくらいだ。俺なんかがそんな大きなことを望めるわけもないのに、それでもそれくらい好きで大切だと思うのだ。
本当に……きっと、これが最初で最後の恋というほどの気持ちでいるくらい重いのだから自分でも呆れてしまう。