23 嫁さんとゲームセンター
「清隆さん。これ可愛いですね」
クレーンゲームの景品のぬいぐるみを見ながらそんなことを言う美星さん。デートだしここは男らしく取ってあげたいが……いかせん、やったことないので取れる自信がなかったりする。ここでお金を使うのは別にいいけど、何度も取れなくて申し訳なく思われるのが1番怖いのだ。
「ちょっとやってみますね」
そんなことを考えていると美星さんはそう言ってからあっさりと2つぬいぐるみを取ってから片方を俺に渡して言った。
「どうぞ、清隆さん。これでお揃いですね」
「あ、ありがとうございます……」
「これ、清隆さんの家に置かせて貰ってもいいですか?」
「えっと、はい」
「ありがとうございます」
嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめる美星さん。本当に可愛いと思っていると美星さんは思い出したように言った。
「清隆さん。あっちにリズムゲームありましたよ。やりませんか?」
「リズムゲーム……やったことないんですけど大丈夫ですかね?」
「大丈夫ですよ。やりましょう」
そう言って俺を引っ張ってくれる美星さん。太鼓を叩くゲームを初めてやってみたけど……なんだろう、美星さんと一緒だからか凄く楽しく感じた。俺1人だったらこんなに楽しくなかったはずだし、本当に美星さんは俺に幸せを運んでくれるなぁと思っていると美星さんは言った。
「ふふ、なんだか学生時代を思い出します」
「そうなんですか?」
「昔は友達とよく遊びに来てたんですよ。あ、彼氏はいなかったですけど」
その言葉に少しホッとする自分がいた。知らないうちに独占欲まで出てるのだから勝手だよね。
「でも、友達と行ってた時より今の方が楽しいです。やっぱり好きな人と一緒が1番ですね」
「……俺も美星さんと一緒なの凄く嬉しいです。あの……ありがとうございます」
「いえいえ、また来ましょうね」
そう言ってくれるのだから本当に美星さんは優しい人だと思う。そんな風に話していると、時間的に丁度よくなってきたので、2人でゲームセンターから出て映画館に向かおうとする前に美星さんは言った
「あ、清隆さん。最後にあれやりましょう」
「えっと……プリクラですか?」
「はい。記念撮影です」
そう言いながら俺を引っ張る美星さん。なんだかこうして美星さんに手を引かれてるのが堪らなく嬉しいと感じるのだから、俺も大概なのだろう。でも、好きな人に手を引かれて一緒に色々やる……これが楽しくないわけないし、俺はこの時間が本当にかけがえのないものだと感じていたのだ。
まあ、プリクラに2人で入るのは少し恥ずかしかったが……いい記念にはなったのでいいだろう。