22 嫁さんと待ち合わせ
「お待たせしました清隆さん」
そう言いながら駆け寄ってきた美星さん。私服姿は何度か見てるけど今日は一段と華やかに思えた。
「いえ、俺も今来たところです」
まあ、本当は1時間前に到着したのだが……美星さんも待ち合わせの30分前には来てるので本当にいい人だと思う。というか、リアルでこのセリフを言えるとは思わずに少し感動していると美星さんはくすりと笑って言った。
「昨日は楽しみすぎてあんまり寝れなかったんですよ」
「俺もです」
今日も美星さんは可愛いなぁと思っていると美星さんは思い出したように聞いてきた。
「それで映画は何時からでしたっけ?」
「えっと、11時からですね」
今が9時30分だから若干時間がある。すると美星さんは少し考えてから笑顔で言った。
「まだ時間ありますし、少し寄り道しませんか?」
「えっと、構いませんがどこに?」
「そうですね……清隆さんはゲームセンターは行ったことありますか?」
「いえ、ないです」
「じゃあ、ゲームセンターに行きましょう。色々お店回るのは映画の後にして少し時間潰しましょうか」
完全に彼女が仕切ってくれているので申し訳なくなるが……楽しそうなのでいいのかな?男としては俺はあまり褒められた感じではないけど、美星さんが楽しそうならそれでいいとも思うしね。
あと、地味に映画の後も一緒にいてくれるという考えが嬉しかった。やっぱりこれってデートなのだろうか?なんだか学生みたいなノリだけど、初デートがこういう風なのは嬉しかったりする。と、その前に俺は言わねばならないことを言うことにした。
「あ、あの……美星さん」
「なんですか?」
「その……私服凄く可愛いです。いつもの服も素敵ですけど、今日のも凄く可愛いです」
ボキャブラリーがあまりないのでそんな簡単な感想になってしまうが……美星さんはその言葉に目を丸くしてから嬉しそうに微笑んで言った。
「ありがとうございます。清隆さんに褒められると凄く嬉しいです。清隆さんも……素敵ですよ」
「……!あ、ありがとうございます……」
やっぱりまだまだ敵わないなぁと思う。即座にこんな切り返しが出来るのが本当にすごい。俺は美星さんに素直な気持ちを言うだけで手一杯なのだが……美星さんはそれを受けてしっかりと返せるのだから本当に凄すぎると思う。
「さぁ、行きましょう」
そう言ってから俺の手をナチュラルに握る美星さん。遅れて俺も恋人繋ぎをするけど……こうして人前でするのは少し恥ずかしくもあった。でも、隣の美星さんは上機嫌なので俺としては何の文句もなかったりする。
俺なんかと歩いてると色々誤解を受けそうだけど……それでも美星さんの隣にいたいって気持ちは本物だからね。それだけは何があっても変わらないって断言出来るのだ。