20.5 お泊まりの感想
「あら、お帰りなさい美星……って、なんかご機嫌ね」
「まま、おかえりなさーい」
駆け寄ってきた琴音を抱きしめながら私はお母さんに言った。
「お母さん琴音の面倒見てくれてありがとう」
「いいのよ。可愛い孫だもの。でも、彼氏ばっかりじゃなくて娘のこともしっかり見なさいね」
「うん。でも……清隆さんも私が気にかけないと危ないから」
そう言いつつも私は清隆さんの傍に1秒でも長くいたいのだろう。そんな私の言葉に苦笑するお母さん。多分見抜かれてるのだろう。
「まま、おじちゃんげんきだった?」
「うん。琴音にも会いたいって言ってたよ」
「ほんと?」
「うん。今度は一緒に行こうか」
「わーい♪」
琴音も清隆さんには懐いてる。やっぱり清隆さんの純粋さは子供を引き寄せやすいのだろう。そこも彼の魅力であり……私の好きなところのひとつなのだ。
「そうそう、今度彼氏さんも1度家に連れてきなさいな。お父さんも会いたがってたしね」
「清隆さんの予定が空いてたらね」
「もう、そう言って誤魔化さないの。今度はちゃんと見極めるってお父さん息巻いてたわよ?」
「大丈夫だよ。むしろ清隆さんに失礼したらお父さんと親子の縁切るって伝えといてね」
それくらい私は清隆さんが大切なのだ。
「そうだ、お母さん。次も琴音を預かって貰っていい?」
「いいけど……どうしたの?」
「うん、ちょっとデートの予定が入ったの」
「まあまあ!夜までコースかしら?」
「私はそうしたいけど……清隆さん私のこと大切にしてるからまだそこまではないかな?」
昨日だって私は別に清隆さんになら抱かれても良かったのだ。でも、清隆さんが私のことを大切にしてるからこそ、下手に手を出さないと分かってたので何もしなかったのだ。
それに……清隆さんが実際に悪夢にうなされる所を見たらむしろ守りたくなるだろう。清隆さんは平然と言ってたけど意識飛ぶほど疲れてないと寝れないほどの睡眠障害。本来カウンセリングが必要なレベルなのにまともに日常生活を送れてるのは多分本当に清隆さんがそれに慣れきっているからだろう。
なんて痛々しくて悲しいのだろう……そう思ってたら自然と彼を抱きしめて寝ていた。私も実は少し悪夢を見やすい方なのだが……清隆さんと寝てるとそれが不思議と消えてたのだから、きっと私達は相性がいいのだろう。
「ねえ、お母さん。多分私今本気で恋してるよ」
その私の言葉にお母さんはキョトンとしてからくすりと笑って言った。
「そう。なら、目一杯楽しみなさい。でも、貴女は母親でもあるから娘のことも忘れないようにね」
「うん。わかってるよ」
むしろ清隆さんも琴音のことを考えてくれているのだ。私が忘れるわけがない。可愛い娘なんだしね。