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19 嫁さん友人に見せつける

『ちーす。清隆起きてるかー?』


そんな声と共に意識が覚醒する。なんだかこれまでにない心地よい感覚だったなぁ………というか、現在進行形でなんか凄く柔らかいものに包まれてる気がするなぁと思いうっすらと目を開けてから……閉じる。


うん、気のせい気のせい。いくら昨日子供みたいに甘えたからっていくらなんでも抱きついて寝たりなんてしてないはず……そう思ってもう一度目を開けてから……俺は愕然とした。


「すぅ……すぅ……」


心地よさそうに俺を抱きながら寝ている美星さん。これって絶対俺が彼女を離さなかった的なあれだよね……だって、俺も起きたときになんか美星さんに抱きついてたし、これは泣き疲れて寝ちゃったパターンなのだろうか……?


だとしたら本当に申し訳ない。俺のせいでこんな体勢で寝てるなんて……俺は幸せだけど、美星さんを無理矢理巻き込んじゃったのかもだし、後で謝ろうと思っていると、足音が聞こえてくる。


『んだよ。まだ寝てるのか。あがるぞー………って、なんだこの靴?』


あ、美星さん靴見つかったか。というかこんな朝っぱらから本当になんてタイミングの悪い奴なんだと思っていると、美星さんは更に俺を抱きしめて寝言を呟く。


「うぅん……大丈夫ですよぅ……私がいますからぁ……」


……物凄く恥ずかしいけど嬉しいと思ってしまうのはどうしてだろうか?


『ん?なんか荷物が増えてる……こりゃ、ひょっとして……』


相変わらず勘のいい奴だ。多分美星さんの存在に勘づいてる。まあ、多分俺が女装を始めた可能性と最初悩んだのだろうが……俺なんかが女装しても誰も得をしないという思考に至ったから普通にそうなるだろう。


「開けるぞー……って、やっぱりか」

「……おはよう拓海たくみ。朝からどうしたの?」

「珍しく2日間オフだって聞いたから、ボッチのお前を連れ出そうかと思ってたんだが……無駄足だったかな」


そんな風に話していると、俺を抱きしめていた美星さんは可愛い唸り声をあげてから、ゆっくりと目を開けると俺に微笑んで言った。


「おはようございます清隆さん……昨夜は嬉しかったですよ」

「あ、はい……おはようございます」

「なるほどなるほど……デリヘルでも呼んだのかと思ったが……マジもんの彼女ってやつか?」


その拓海の声に反応して美星さんは俺を抱きしめたままニッコリと微笑んで言った。


「はじめまして。清隆さんの彼女の錦美星と言います」

「これはどうも。そいつの親友の羽田拓海はねだたくみです。まあ、よろしくするほどの仲にはならないでしょうが、お見知り置きを」

「はい。清隆さんのご友人としてよろしくお願いします」


そんな挨拶をする中で俺だけ美星さんに抱きしめられているのだが……凄く心地よいので言いづらい。あと、地味に俺の事考えての台詞が嬉しかったりする。




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